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6・近くて遠い人_3
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全てを洗いざらい話せたわけではなかった。深色が知っていて恭一が知らないことについてはあえて言わなかった。天花が話し終えると、恭一は深く息を吐く。
「体は大丈夫……ってそういや熱があるのか」
「多分深色のこととは関係ないと思うけど……」
薬は飲まなかった。飲み物は天花自身が用意したものだし、その中に何かを入れるような隙はなかった。あの実についても一粒では影響はない。
「いや、関係あるとかないとかじゃなくて、熱があるなら休むべきだって」
「でも」
「――俺が何とかするから」
天花の肩を支える恭一の手には、不自然なほど力が入っていた。表情は冷静で感情は読み取れない。天花はおずおずと恭一に尋ねた。
「怒ってる……よね?」
「当然怒るだろ、こんなの」
「……ごめんなさい」
「いや天花じゃなくて。普通自分の妹に薬盛られそうになったら誰でも怒る」
「未遂だったって言ったじゃん」
「それでも嫌なものは嫌なの」
そういうものなのだろうか。天花は戸惑いを覚えながらも立ちあがろうとした。けれど体が重い。ふらついた体を恭一が腕で支えていた。
「とにかく休んでた方がいい。この状態で動いたら悪化する」
「でも、私が殺したんだよ」
「俺たちはもう共犯だ。前にも言っただろ」
強引に布団のところまで連れて行かれる。天花は溜息を吐きながらも、言われた通りに布団に潜り込んだ。
全てを洗いざらい話せたわけではなかった。深色が知っていて恭一が知らないことについてはあえて言わなかった。天花が話し終えると、恭一は深く息を吐く。
「体は大丈夫……ってそういや熱があるのか」
「多分深色のこととは関係ないと思うけど……」
薬は飲まなかった。飲み物は天花自身が用意したものだし、その中に何かを入れるような隙はなかった。あの実についても一粒では影響はない。
「いや、関係あるとかないとかじゃなくて、熱があるなら休むべきだって」
「でも」
「――俺が何とかするから」
天花の肩を支える恭一の手には、不自然なほど力が入っていた。表情は冷静で感情は読み取れない。天花はおずおずと恭一に尋ねた。
「怒ってる……よね?」
「当然怒るだろ、こんなの」
「……ごめんなさい」
「いや天花じゃなくて。普通自分の妹に薬盛られそうになったら誰でも怒る」
「未遂だったって言ったじゃん」
「それでも嫌なものは嫌なの」
そういうものなのだろうか。天花は戸惑いを覚えながらも立ちあがろうとした。けれど体が重い。ふらついた体を恭一が腕で支えていた。
「とにかく休んでた方がいい。この状態で動いたら悪化する」
「でも、私が殺したんだよ」
「俺たちはもう共犯だ。前にも言っただろ」
強引に布団のところまで連れて行かれる。天花は溜息を吐きながらも、言われた通りに布団に潜り込んだ。
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