うつし世はゆめ―人間とダンピールと吸血鬼ですが家族やってます―

深山瀬怜

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吸血鬼狩り

炎と魔法銃・2

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「――大体こんな感じの経緯で一緒に暮らすことになったんだけど」
「おれは今、榛斗がほいほい人を勧誘してたことにびっくりしてるよ。上弦の参なの?」
「俺は今、お前が何の話をしてるのかさっぱりわからないんだが」
「まあ今はいいや。でも、よくそんな何にもわからない状態で一緒に住もうと思ったね?」

 譲が言う。それは当時、ハルコにも散々言われた。自分でも大胆なことをしたと思う。言ってしまえば直感に従った行動で、根拠は後からついてきたものに過ぎないのだ。

「で、そのあとも特に素性を探ったりはしないままだったと」
「色々バタバタしてて、それどころじゃなかったし……落ち着いたかなってくらいで紅羽がうちに来たからさ」
「まあそりゃいきなり素性の知らない男と一緒に住むとかバタバタするだろうけども」
「結構大変だったよ。だって民警の試験受けるのに身分証明書とかない、みたいなところからだったから。葛城先生に何とかしてもらったけど」
「弁護士遣いが荒くてびっくりだよ。まあでも手続きに追われて、民警試験受けさせて……ってやってたら、そりゃ調べる余裕はないか」

 それもあるし、榛斗もあえて調べようとはしていなかった。時間があるときでいいと先延ばしにしていたのは、碧都はあの日に自分自身をやり直したいと思っていたのではないかと考えていたからだ。

「まあ、そんな感じだったから……本当に知らないんだよね、碧都の過去って」
「…….調べるのか?」
「まずは本人に聞いてみるけど。聞いて答えてくれるならそれが一番早いし」

 榛斗の言葉を聞くと、譲は納得したように頷いた。

「確かにそうだな。おれはちょっと聖槍会の動きを探ってみるとするよ。最近静かだったのに急に動きを見せたのにはなんか理由があるだろうからな」
「よろしく。でもくれぐれも気をつけて」
「わかってるって。でもなぁ、破門した奴らの悪事を暴いたらちょっと出世できるかもしれないし。夢は大きく大教皇ってな」
「お前がそこまで昇り詰めたら世も末だろ……」

 譲もそこまで本気ではなさそうではある。そもそも出世しすぎて自由がなくなるのは嫌だと思っていそうでもある。

「あ、そういやもう一個聞きたかったんだけどさ」
「何だ?」
「榛斗が使ってた鳥のやつってどういう仕組みなの?」
「ああ……火食鳥ヒクイドリという鳥がいるだろ? あの名前を聞いたのは中学生のときで、最初は鳳凰みたいなめちゃくちゃかっこいい鳥をイメージしたんだけど、実物はそうじゃなくて、というかそもそも飛べない鳥で……だから自分がイメージした火食鳥を作りたくてさ」

 術式としては有用だが成立経緯は少し恥ずかしい。要するにイメージしたかっこいい火食鳥を作るために、火を食らう性質を持つ光り輝く鳥の形をした魔法を作ったのだ。

「火を食うというか、火の負属性なんだ。そこに火があれば火の絶対量を減らすという性質がある」
「へぇ。じゃあ体内の炎を消したのもその魔法か」
「そうだな。正直、見た目が鳥である必要は全くなくて……」

 言ってて少し恥ずかしくなる。形は自由に変えられるので、小さく固めてそれを飲み込ませることも可能なのだ。

「昔から手数が多いタイプだったってことか」
「……一番欲しい魔法は手に入らないんだけどな」

 火食鳥は遊びで作ったようなものだが、魔法を研究するのは自分の呪いをどうにかして解きたかったからだ。増えてしまった副産物には大いに助けられているが、一番の望みはいまだに叶えられない。

「じゃあそろそろ帰るよ。あの状態で長いこと家を空けても問題だしさ」
「おいしいものでも買って帰ってやれよ」
「そうだな」

 榛斗は譲に手を振って教会を出る。扉を開けた後の空気は日常の生ぬるさをまとっていて、トップが軽薄司祭でも、やはり教会は神聖な場所なのだろうと榛斗は思った。

***

「……えーとね、それは調べてるとは言わなくないかな?」

 榛斗が教会に行っている間、ハートピアに戻った蛍は、まずハルコと紅羽を買い物に行かせた。そして碧都と二人になったのを見計らって、直接碧都に尋ねた。聖槍会と何か関係があるのか、と。

「刑事事件では自白だけでは証拠にならないけど、別に今はそういう状況でもないので。だって本人が話してくれるなら本人に聞くのが一番早いでしょう」
「それはそうなんだけど、俺が話すと思ってるの?」
「紅羽が聞くよりは可能性があると思ったのだけど」

 蛍の赤い目が碧都をまっすぐに見る。蛍はさらに続けた。

「紅羽には調べてほしいと言われたけど、あなたが望むなら紅羽には秘密にしていてもいい。けれど――私はあなたの口から話が聞きたい」
「それはどうして?」
「そうね……何となく、というところかしら」

 堂々と「何となく」という答えを出され、碧都は思わず笑ってしまった。しかし蛍が大真面目なのはわかる。碧都は少し考えてから、服をめくりあげ、その脇腹を晒した。蛍は咄嗟に手で目を覆う。

「いや、その見られて困るようなところではないからさ」
「……男性の肉体に耐性がないのよ」
「そうなんだ」

 蛍が手を外すと同時に、碧都が自分の脇腹の皮膚を撫でる。するの何もなかったその部分にぼんやりと見覚えのある紋章が浮かび上がった。

「聖槍会のマークね。それじゃあやっぱり……」
「そうだよ。二年位前までかな」

 再び碧都がその部分を撫でると紋章が消える。どうやら魔法を使って普段は隠しているようだ。

「二年前に脱走するまで……五年くらいかな。あそこの戦闘員だった。それがどういうことかわかる?」
「どういう組織かは知っているわ。十字教本部は現状を鑑みて怪異とも融和する道を選んだ。そのときに破門された組織なのだったら――」
「……とても数えきれない数の怪異をこの手で殺してきた。特に吸血鬼は」
「そうね。ダンピールの血は私たちには猛毒になるから」

 蛍は動揺してはいなかった。おそらく予想はついていたのだろう。そしてどうしてこれまでこのことを言わなかったのかにも気付いている。

「あの子、聖槍会に両親が殺されたことがトラウマになっているのね」
「魔法銃もね。……俺のは大丈夫って言ってくれてたんだけど」
「正体を明かしたらそれもなくなってしまうかもしれないわね」
「少なくとも紅羽の両親を殺したのは俺の元仲間なのは間違いない。それに気付いてしまってからは……何もなければ黙っていようと思ってしまったんだ」

 それが不誠実な態度だと言われたそうなのだろう。けれど今の幸福を崩したくなかったのだ。

「たまに夢を見るんだ。俺は昔のように言われるがままに仕事をして、二人の吸血鬼を殺して――そこで、まだ小さい紅羽を見つけてしまう夢を」
「でも、あなたの在籍期間と紅羽の両親が殺された時期は合わない。やったのがあなたでないことは間違いない」
「それでも、同じようなことをしていたんだよ。紅羽から見れば憎き相手の同類だ。それが見破られてしまうのが……怖くて」

 蛍は溜息を吐いた。そう言いながらも碧都もわかっているだろう。紅羽はそんなことを碧都を嫌うようなことはしない。彼が紅羽の両親を殺していないことは客観的に明らかだからだ。それでも懊悩してしまうのは、彼自身が彼の過去を許せていないからだろう。

「このまま黙っていたい?」
「すごく自分勝手なことだと思うんだけど……話して、楽になりたいとも思ってる」

 秘密を抱え続けるのは苦しいことだ。蛍は自分の髪の毛を指に巻き付けながら答えた。

「じゃあみんなに言っちゃえば? 二人きりじゃなければまだ何とかなるでしょ」
「そうだね。……こうなったら言わなきゃいけないと思うし」

 蛍は碧都の言葉に満足そうにうなずき、それから碧都に向き直った。

「それから、もう一つ聞きたいことがあるのだけど」
「何?」
「聖槍会が今になって活動を活発化させた理由は何だと思う?」

 蛍にはそこが気がかりだった。これまで通り、表面に出ないところで活動を続けることだってできたはずだ。それなのに一歩を踏み込んだのは何故なのだろうか。

「わからないな。でも……何かの後ろ盾を得たとか」
「後ろ盾?」
「あそこは十字教を破門されたあとから、先鋭化はしていたけれど大きなことが出来なくなっていた。何か、資金とか大義名分とかを得たんじゃないかな」
「大義名分ね……十字教のことは聞いていたけれど、それがらみで何かあったかしら」

 蛍が所属していたサーペンティンという民警会社のトップは十字教の天使だった。それもあって蛍は十字教のことには少し詳しいのだった。

「本部は破門にしてるから支援なんかするはずないし……いや、でももしかしたら……」
「何か心当たりが?」
「……守護天使も、後ろ盾には違いないと思って」
「でも今のところ大人しく捕まってるって話だよね」
「そうね。でも別に天使って一人ではないし……可能性として念頭に置いておいた方がいいかもしれないわね」

 かつてあれほど心酔していた相手なのに、もう蛍の中では吹っ切れているようだった。碧都は微笑みながら蛍を見つめる。

「君は強いね」
「ええ。あらゆる面で強さを求めて生きてきたもの」

 そのとき、ドアが開く音がして足音と話し声が聞こえてきた。紅羽とハルコが帰ってきたようだ。蛍は立ち上がり、紅羽から袋を受け取った。

「ねぇねぇ、言ってた新作アイスってこれでいいんだよね?」
「ええ。よく見つけたわね」
「二個目のスーパーで駄目だった段階で、NNNを使ったけど……」

 NNNねこねこネットワークはアイスの販売場所までわかるらしい。恐ろしい情報網だ。蛍はアイスを食べる準備をしながら言う。

「もう少し手こずるかと思ったのだけど」
「手こずるのわかってて頼んだわけ?」
「そうだけど?」

 紅羽は蛍におちょくられたと怒っている。けれどわざわざ手こずるようなものを注文したのは時間稼ぎの為なのだろう。碧都は一気に騒がしくなった空間を見つめて笑みを浮かべた。
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