信長最後の五日間

石川 武義

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5日目

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 信長は、夢の長いにいる。
 信長は、不気味な夢を見た。
 桔梗の紋の旗が、本能寺の周りを囲み、信長を討とうとしているのである。
 信長は、悪夢を見て飛び起きた。すると、信長は外が騒がしい事に気がつく。
「上様!」
 森蘭丸が走って来る。
「惟任日向守謀反であります。」
 「是非に及ばず。」
 信長は、弓を持ち、本能寺に攻め込む明智の兵を殺して行くが、三本目を放ったところで、弓の弦が切れる。
 次に信長は、槍を持ち、明智軍を殺して行くが
 明智軍の鉄砲隊が信長目掛けて並んでいた。
「放て!」
 鉄砲の火が吹き、信長の右肩に命中する。
 それを見た蘭丸は
「殿、奥へ。ここは、この蘭丸にお任せ下さい。」
 信長は、奥へ足を進めて。蘭丸は、太刀で明智兵を斬り払う。 
 しかし、明智軍の勢いは死なない。
「押せー!押せー!根絶やしにしろ!」
 明智軍は攻めに攻めに攻めまくる。
 障子を倒し、襖を倒して信長を探す。

 光秀の本陣では、早馬が駆け巡り逐一報告する。
「申し上げます。信長の命は最早風前の灯かと。」
 光秀は
「何としても、信長の御首を取るのだ。」
「はっ。」
 光秀が信長の首にこだわる理由、それは、信長の首を取れば、織田領にいる。地侍が光秀に味方をし、五万近くの兵力が集まる可能性があるからである。
 もし、信長の首を光秀が取っていたら、後の山崎の戦いでは、秀吉軍は勝てないであろう。

 一方、信長の嫡男信忠はこの時、二条御所に泊まっていた。
 信忠は、信長の救援に行けば逃せるはずなのになぜしなかったのか。それは、まだこの時夢の中だったのである。

 蘭丸は、奮闘する。もう何人殺したのか分からない。右を観ても左を見ても敵だらけ、そして背中に痛みが現れた。
 気づけば、槍は体を貫通していた。
「上様…」
 蘭丸は、床に倒れ、永遠の眠りに着いた。

 燃え盛る炎の中、一人の男が足を進める。
「光秀、この信長の首が欲しいのだろう。だがやらん。」
 信長は、短刀を抜き、踊り出す。
「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり。」
 信長は、火に包まれていく。
「光秀、わしは死なんぞ。」
 信長の体は、燃えていく。そして本能寺の奥深くに消えてった。

 伝令が光秀の下に走ってきた。
「申し上げます!織田信長を討ち取りました。」
 光秀の家臣団は、歓声を上げた。
「して、御首は?」
「炎が激しく、まだ見つかっておりません。」
「何としてでも、見つけるのじゃ!」
 斎藤利三が叫んだ。
 伝令は、走り去っていく。
 結局、信長の首は、見つからず。光秀は、信長の嫡男信忠を殺して、天下を取ったがこの五日後、秀吉に討たれる。
 世にいう、三日天下である。

 信長が死んだことにより、後の世は、豊臣、徳川と政権交代を繰り返し、江戸時代に入っていく。
 ちなみに、この本能寺の変で得をしたのは誰なのであろう。
 光秀を倒して、天下を取った羽柴(豊臣)秀吉?
 いいえ、堺にいた徳川家康です。
 家康は、この本能寺の変の報告を聞いた時、急いで三河に戻り、織田領の甲斐、信濃に攻め込み、領地を拡大していきました。


 信長という男が死んだことにより、歴史という大きな川は流れを変えていきます。
 信長が生きていたら恐らく、明(中国)と戦をして、世界大戦が起こっていたかも知れません。
 その時、今の日本は消滅しているか、大国になっていたか、その結果は誰にも分かりません。ただ、たった一つ分かるのは、信長が生きていたら、今の日本は存在しなかったでしょう。
 果たして、光秀が起こした謀反は、正義か、はたまた、悪か、その真実は誰にも分からないでしょう。
(完)
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みんなの感想(1件)

堅他不願@お江戸あやかし賞受賞

 いくら信長でも天皇弑虐はまずかったと思います。光秀には同情を禁じ得ません。

解除

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