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「麻友ちゃん、カードゲームで遊ぼ~」
「ほら、俺はいいから行ってこいよ」
「うん」
そういうと、あいつはみんなの輪の中にすっと戻っていった。
雨も少し小降りになってきたことだし、俺はそろそろ帰るか……。
マグカップを手にスタッフの女性が出てきた方の部屋に向かう。
「あの、ご馳走さまでした。俺はこれで失礼します」
先ほどの女性は今度は夕飯の用意でもしているのか、濡れた手を布巾でひと拭きしながら、こちらに出てきてくれた。
「いえいえ、もっとゆっくりしていってくださっても。
また良かったら、いらしてくださいね。子供達もお兄さんに興味津々みたいでしたし」
「もの珍しいだけっすよ」
「いえ、麻友ちゃん、とっても嬉しそうでした。
普段、1人で静かに本を読んでる時もあって。今日はなんだかいつもより楽しそうで」
「そうなんすか。ここまで来る途中も、よく喋ってましたよ」
「麻友ちゃんは兄弟がいないから、お兄さんができたみたいで嬉しかったのかも」
「ハハっ。そうなんすっかね」
俺はなんだか久しぶりに褒められた気がしてむず痒かった。
マグカップを渡して帰ろうとすると、ふと食事を作っているであろう配膳室の様子が見えた。
このスタッフの女性以外には誰もいないようだ。
「えっ。この食事って1人で作ってるんすか?」
「あ、はい。今日は雨がひどいですし来られるお子さんも少ないみたいで、私1人なんですよ」
話を聞くと、食堂はボランティアスタッフ等が中心となり運営されている事が多く、なかなか運営費とスタッフの確保が難しいらしい。
ここも少人数の当番制でどうにか運営しているとのこと。
あの明るい子供達の笑顔の裏には、こうして善意ある大人達が頑張っている背景があったのだ。
「あの……」
「はい?」
「あ、なんでもないっす。俺が言うのもなんですが、頑張ってください。
子供食堂、応援しています!」
俺は自分でも大人の女性に、青臭いガキが何言ってるんだろうと恥ずかしくなった。
ただ、何と言ったらいいのか分からないけど、気持ちを伝えたかったんだ。
「あ、ありがとうございます。私たちもそう言って頂けると、励みになります」
彼女も急な俺の言葉に少し動揺しながらも、深々と頭を下げてお礼を言ってくれた。
帰り際、ふと友達と遊ぶあいつを見ると、視線に気づいたらしく、
小走りでこっちに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、今日はありがとう。今度また、ここに来て」
「いや、俺は子供じゃないしなぁ。まぁ田中さんの家の前ででも、また会えるさ」
一瞬、あいつは寂しそうな顔になったが笑顔に戻った。
「そっか。うん、じゃぁ、またね。バイバイ」
「おう。じゃぁな」
俺は、大げさに手をぶんぶん振ってドアを開ける。
すると、あいつはケタケタと笑って負けじと手を振り返した。
「ほら、俺はいいから行ってこいよ」
「うん」
そういうと、あいつはみんなの輪の中にすっと戻っていった。
雨も少し小降りになってきたことだし、俺はそろそろ帰るか……。
マグカップを手にスタッフの女性が出てきた方の部屋に向かう。
「あの、ご馳走さまでした。俺はこれで失礼します」
先ほどの女性は今度は夕飯の用意でもしているのか、濡れた手を布巾でひと拭きしながら、こちらに出てきてくれた。
「いえいえ、もっとゆっくりしていってくださっても。
また良かったら、いらしてくださいね。子供達もお兄さんに興味津々みたいでしたし」
「もの珍しいだけっすよ」
「いえ、麻友ちゃん、とっても嬉しそうでした。
普段、1人で静かに本を読んでる時もあって。今日はなんだかいつもより楽しそうで」
「そうなんすか。ここまで来る途中も、よく喋ってましたよ」
「麻友ちゃんは兄弟がいないから、お兄さんができたみたいで嬉しかったのかも」
「ハハっ。そうなんすっかね」
俺はなんだか久しぶりに褒められた気がしてむず痒かった。
マグカップを渡して帰ろうとすると、ふと食事を作っているであろう配膳室の様子が見えた。
このスタッフの女性以外には誰もいないようだ。
「えっ。この食事って1人で作ってるんすか?」
「あ、はい。今日は雨がひどいですし来られるお子さんも少ないみたいで、私1人なんですよ」
話を聞くと、食堂はボランティアスタッフ等が中心となり運営されている事が多く、なかなか運営費とスタッフの確保が難しいらしい。
ここも少人数の当番制でどうにか運営しているとのこと。
あの明るい子供達の笑顔の裏には、こうして善意ある大人達が頑張っている背景があったのだ。
「あの……」
「はい?」
「あ、なんでもないっす。俺が言うのもなんですが、頑張ってください。
子供食堂、応援しています!」
俺は自分でも大人の女性に、青臭いガキが何言ってるんだろうと恥ずかしくなった。
ただ、何と言ったらいいのか分からないけど、気持ちを伝えたかったんだ。
「あ、ありがとうございます。私たちもそう言って頂けると、励みになります」
彼女も急な俺の言葉に少し動揺しながらも、深々と頭を下げてお礼を言ってくれた。
帰り際、ふと友達と遊ぶあいつを見ると、視線に気づいたらしく、
小走りでこっちに駆け寄ってきた。
「お兄ちゃん、今日はありがとう。今度また、ここに来て」
「いや、俺は子供じゃないしなぁ。まぁ田中さんの家の前ででも、また会えるさ」
一瞬、あいつは寂しそうな顔になったが笑顔に戻った。
「そっか。うん、じゃぁ、またね。バイバイ」
「おう。じゃぁな」
俺は、大げさに手をぶんぶん振ってドアを開ける。
すると、あいつはケタケタと笑って負けじと手を振り返した。
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