夢じゃなかった！？

マジェストーラ国立魔法学院 編入

侮るなかれコーヒー占い6

「ただね、好む生き物・・・って普通、ありきたりなのは小動物系とかが多いんだけど……。」

「勿体もったいぶらずに教えてくれ。」


「…竜ドラゴンだったわ。」


「竜ドラゴン…？」


(犬猫はわかるが、竜ドラゴン…だと？)


「やっぱり、女性で竜ドラゴンが好きなんてちょっと変わってるわよね。私も、まさか？！とは思ったわ。でもね～、どう見ても竜ドラゴンの部類らしいのがでてたから本当に好きなんだと思うわ。あと、魔法や学ぶことも好きなようね。」


(竜ドラゴンに関連する物？何だ？防具か？武器か？魔導具か？竜ドラゴンの鱗は確かに希少価値があるが…。

騎竜、翼竜、色々いるが、そもそも何で竜なんて獰猛どうもうそうな生き物が好きなんだ？！
花を貰ってのほほんお気楽に喜んでいた人物がまさか竜ドラゴンが好きだなんて。

ああ、わけがわからない…。

それなら魔法に関する魔導書か？いや、いきなりあんなに厚くて重たい物を贈っても困らせる。せっかくわかった好みだが、何を贈ればいいのか更にわからなくなった。)


「一体、どうしたら…。」

「何だか相当お困りのようね。私で良ければ話してみない？」


「最近…とある女性の誕生日を知ることになったんだが…。すでに過ぎてはいて…。

遅ればせながら贈り物をと思ったんだが、どうにも何を贈るべきか決まらなくて、せめて何か手掛かりにならないかと、占いを受けたんだ。」

「あら、素敵じゃないの！適当にじゃなく、ルゥちゃんがしっかり考えて決めた贈り物をしたいのね。

で、占い結果を聞いて多少なりとも好みを知ることはできたものの、具体的な贈る品が定まらず困っているってところかしら？」

「そ、そうだ。」

「ルゥちゃん、貴方あなた肝心なことを忘れていない？」

「…？」


「占いにあったでしょう？助言者が二人いると。」

「助言者…そうか！？」


「一人は相談を今受けている私で、もう一人は心当たりあるでしょう？今夜その相手に今日の占い結果を伝えて相談なさいな。そこで、貴方が何を贈るべきかすんなりと決まると思うわ。」


(そうだ。そうだった。助言者だ。おそらくエルシオン殿だ。)

「確かに、心当たりは…いる。どうにも気が急せいて、見落としてしまったようだ。感謝する…シャル店長。」

一方、カフェ『パール』から出ていったルヴァニレットを見送ったシャルドラクは食器の片付けをしながらふと、その手を止めた。


「あら嫌だ、ルゥちゃんにカップの占い結果しか伝えてなかったわ。ソーサーについていい忘れちゃった。」

(まあ、悪いことが出た訳じゃないから伝え漏もれても問題はないかしら…。『喜び』ってだけだし。)


「どういたしまして。ルゥちゃんのお役にたてて良かったわ。また、気軽にいらっしゃいね。」


「また寄らせてもらう。」


席を立ち、会計を済ませたルヴァニレットに笑顔でシャルドラクが告げる。

「そうそう、シーちゃんと、アーちゃんによろしくね～。新作スイーツがあるから試食に来てって言っておいて～。」

「？！…何故、僕が？」


「だって、仲いいし、同じクラスなんでしょ？」

エルシオンとアーヤ(綾子)の名を聞き、内心ドキリとしたルヴァニレット。


「…了解した。」



カランカラン…♪


(ああいう自由な振る舞いをする人物は疲れるから今まで関わらずにいたが…。

ヘラヘラした印象しかなかったから軟弱な言動をするのかと思いきや、意外にもはっきりした物言いで、真面目な顔して話を聞いていたな。それに鋭い洞察力には目を見張るものがあった。見かけによらないとはこの事か。)


ある意味個性豊かなシャルドラクに対し、苦手意識が強く避けていたルヴァニレット。

しかし、今回の占いや助言が助け船となったことから苦手ながらもシャルドラクという人物を見直すきっかけとなったのであった。