夢じゃなかった！？

エスリアール王城 出会い

ピアスとネコ6

ニャ～オ

ノワールかわいい。応援してくれてるんだね？私、負けない、頑張る。

スイッ…　コロン…

つまみたいのにつまめない…


「サリアン様、アーヤ様は初めての術が掛けられたピアスを前に緊張なさっているのでしょう。よろしければラナ様がお手伝いなされてはい如何いかがでしょうか？」

えっ？違いますって。さっきまでの色々が原因です。

「そうですね。さっき、緊張から手元も冷えていましたし、思うように動かないのなら私がお手伝い致しましょう。」

「えっ？いいです。ほら、摘まめましたよ。」

「遠慮は要りません。私にお貸しください。」

「いえいえ、大丈…」

「アーヤさん？」

「う…。」

ノーと言えない日本人がここにも…。クスン。

「はい、お預かりします。では、こちらから失礼します。」

左の耳元や首筋を触れられるのは私は弱いらしい。耳に囁かれたり、触れられるのはくすぐったい。

耳たぶを撫で、ホールの位置を確認しているだけなのだろうが、何だかゾワゾワしてしまう。スーとピアスが通るのがわかる。裏側でバラのキャッチャーが固定されてカチッと音がした。

メガネを買う時のフレームのツルと顔のフィットを確認する調整があるが、あれも毎回恥ずかしいし、緊張していた。

しかし、メガネなんか大したことなかった！ピアスを入れて貰うこっちの方が何百倍も恥ずかしい新事実！別に知らなくてもいいですぅぅ～。ひい～。

右も同じようにつけられた。
術が掛かっているって、私の魔力をセーブするやつだよね？別にあまり変わらない気がするけど。変わったのかな。


「アーヤ様、体調に変化はございませんか？」

「はい、ほとんど変わりないと思います。」

「では、封印による負荷はないようでございます。魔力を体全体に流してみてください。」

大丈夫「はい。」

体全体に向かってへそから出すイメージで。あれ？毛糸が前より小玉になって、太さも極細になった？
出せるけど、力が抑制されるってこんな感じなんだ。今までと同じやり方でもセーブがかかっている。


「流してます。どうですか？」

「成功ですな！魔力が封印しきれない分が体内で活動しております。」

「ええ、ほぼ当初の予定通り残魔力が16000位です。」

残魔力って。電子マネーの残高みたいな。多すぎるお金は貯金して持ち歩かないに越したことないから魔力も一緒なのかも。多すぎるお金は身を滅ぼすと私は思うし。

ピアスで封じているだけだから、いざって時には外せば魔力は使えるんだから、わざわざATMに行くような手間もないし、自宅のタンス貯金のような安心感があるかも。


「これなら、学院でもやっていけそうですか？」

「ええ、魔力量の問題は解決しました。後は、属性です。」

「ああ、全部っていうやつですね。」

「難しいのですか？属性を隠すのは。」

「使わなければ、いいだけのように思いますが、そうもいかないといいますか。

召喚魔法の実技授業では、大体個人の魔力量と属性に比例した何かが現れますので、精霊や幻獣、妖魔、神獣などが主に認めてもよしとする自分の好む魔力の質を感じ取っているので、アーヤさんの場合どうなるか私にも想像がつきません。」

「属性の隠蔽いんぺいか、封印ってできないのですか？」

「オーナー、属性の封印とはできるものなのですか？」

「正直申し上げますと、我が国で扱っている様々な石で抑制具や今回は封印具も造りましたが、属性を増やしたいご相談はあって補助目的の作用がある石を用いた属性補助具はありますが、封印する石の扱いはないですね。おそらく他国にも…。」

「そうですか。」

「お力になれず申し訳ありません。」

「いえ、とんでもない。術で何か方法がないか編入までに探してみます。」


「あるいは…新しい鉱石が見つかって補助ではなく封印の作用があれば、属性すらもコントロールできるのかもしれないのですが。雲を掴むような話ですな。忘れてください。」

「新しい石……？そうだ！」

思わず呟いて立った私。

シャラン♪