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エスリアール王城 出会い
はじめての転移3
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「では、アーヤさん参りましょうか?」
「はい。シュナイゼさん、行ってきます。夕げ頃迄には戻る予定ですから。」
「お気を付けて。ブラム殿、アーヤ様を頼みます。」
「はい。お任せください。」
「アーヤさん転移は一瞬ですが、希に魔力酔いの様な状態になる方もいます。転移後体調に変化があれば我慢せず教えてくださいね。もう少し近くに失礼します。」
「あの、ラナ先生の腕を疑っているわけじゃないんですが、はじめてで不安…緊張してて、先生が不快じゃなければ、どこかに掴まらせて貰えませんか?」
「そうですよね。配慮が足りず申し訳ありません。手をこちらに。」
正面で向かい合わせに立ち、私の右手を握ってくれてほっとしたと思ったら、スイッと引き寄せられてダンスをするくらいの距離にドキドキした。
「どうぞ、どこでもお掴まりください。」
「は、はい。し、し失礼しまふ。」
あっ、噛んだ。すみませんが、私の安心の為に我してください。
えいっ。
思いきって、ラナ先生の左腕に掴まらせて貰った。羞恥心よりも安心が優先だ。
すると、フワッと先生からコロンなのか、少し甘い香りがした。
「……転移します。」
いよいよと、キュッと腕に力を入れたところで空気が揺れた気がした。
「…アーヤさん、無事着きましたよ。」
ん?本当に一瞬だ。ゆっくり目を開けて回りの景色が変わっているのを確認してから腕を掴む力を緩めて、慌てて離れ頭を下げた。
「すみません。ありがとうございました。あれ?」
頭を上げてから先生の顔へ視線を上げたら視界がチカチカしてホワイトアウトしそうな貧血の時のような眩暈《めまい》に襲われた。足の力が抜けてフラッとしてしまう。
「アーヤさん!大丈夫ですか?やはり魔力酔いになってしまいましたか。」
「だい…じょぶです。」
「顔色も良くない。失礼致します。」
「っ?!」
先生に横抱きにされてしまった。
「せん、せすぐ収まります。降ろしてください。」
「店はすぐそこです。中で休みましょう。」
えー、そんなの悪い。申し訳ない。でも体重い、眩暈も……。
「…すみません。」
「いいえ、魔力感知に敏感な方は、慣れるまでなり易いのです。お気になさらず。」
話ながらラナ先生はスタスタと店の入り口に向かう。扉を開けられないと思って降りると言おうとしたらギイィ…と勝手に開いたのでびっくりした。
入店してすぐに声がかかる。
「いらっしゃいませ。お連れ様はどうなさいました?」
「転移の後、魔力酔いを起こしてしまって。ちょっと休ませて貰えませんか?」
「こちらにソファーがあります。まずはそこでお休みください。」
「ありがとうございます。」
大きなソファーは私の身長158㎝よりも広々していて幅もあり余裕で横になれた。
「すみません…。先生。」
ぼやけた視界の中声のする方へ向かって謝る。
「このまま少し休みましょうね。」
言い聞かせるように優しく頭を撫でながらラナ・ブラムは微笑む。
「私はお飲み物を用意して参ります。お連れ様の靴や上着を脱がして差し上げた方が体が休まるでしょう。お頼みしてもよろしゅうございますか?」
「ええ、ここは私が。」
「はい。シュナイゼさん、行ってきます。夕げ頃迄には戻る予定ですから。」
「お気を付けて。ブラム殿、アーヤ様を頼みます。」
「はい。お任せください。」
「アーヤさん転移は一瞬ですが、希に魔力酔いの様な状態になる方もいます。転移後体調に変化があれば我慢せず教えてくださいね。もう少し近くに失礼します。」
「あの、ラナ先生の腕を疑っているわけじゃないんですが、はじめてで不安…緊張してて、先生が不快じゃなければ、どこかに掴まらせて貰えませんか?」
「そうですよね。配慮が足りず申し訳ありません。手をこちらに。」
正面で向かい合わせに立ち、私の右手を握ってくれてほっとしたと思ったら、スイッと引き寄せられてダンスをするくらいの距離にドキドキした。
「どうぞ、どこでもお掴まりください。」
「は、はい。し、し失礼しまふ。」
あっ、噛んだ。すみませんが、私の安心の為に我してください。
えいっ。
思いきって、ラナ先生の左腕に掴まらせて貰った。羞恥心よりも安心が優先だ。
すると、フワッと先生からコロンなのか、少し甘い香りがした。
「……転移します。」
いよいよと、キュッと腕に力を入れたところで空気が揺れた気がした。
「…アーヤさん、無事着きましたよ。」
ん?本当に一瞬だ。ゆっくり目を開けて回りの景色が変わっているのを確認してから腕を掴む力を緩めて、慌てて離れ頭を下げた。
「すみません。ありがとうございました。あれ?」
頭を上げてから先生の顔へ視線を上げたら視界がチカチカしてホワイトアウトしそうな貧血の時のような眩暈《めまい》に襲われた。足の力が抜けてフラッとしてしまう。
「アーヤさん!大丈夫ですか?やはり魔力酔いになってしまいましたか。」
「だい…じょぶです。」
「顔色も良くない。失礼致します。」
「っ?!」
先生に横抱きにされてしまった。
「せん、せすぐ収まります。降ろしてください。」
「店はすぐそこです。中で休みましょう。」
えー、そんなの悪い。申し訳ない。でも体重い、眩暈も……。
「…すみません。」
「いいえ、魔力感知に敏感な方は、慣れるまでなり易いのです。お気になさらず。」
話ながらラナ先生はスタスタと店の入り口に向かう。扉を開けられないと思って降りると言おうとしたらギイィ…と勝手に開いたのでびっくりした。
入店してすぐに声がかかる。
「いらっしゃいませ。お連れ様はどうなさいました?」
「転移の後、魔力酔いを起こしてしまって。ちょっと休ませて貰えませんか?」
「こちらにソファーがあります。まずはそこでお休みください。」
「ありがとうございます。」
大きなソファーは私の身長158㎝よりも広々していて幅もあり余裕で横になれた。
「すみません…。先生。」
ぼやけた視界の中声のする方へ向かって謝る。
「このまま少し休みましょうね。」
言い聞かせるように優しく頭を撫でながらラナ・ブラムは微笑む。
「私はお飲み物を用意して参ります。お連れ様の靴や上着を脱がして差し上げた方が体が休まるでしょう。お頼みしてもよろしゅうございますか?」
「ええ、ここは私が。」
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