私はモブのはず

シュミー

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14救出

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あっれ~?シリアス~
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 あれ?いない!!え?マジで?フィーネ様?

「.......どうしよ......」

 ん?風?私はフィーネ様がどこへ行ったか探すべく、部屋を見渡した。一見何の変哲もないが、さっき、風が通っている音と、感触があった。私の互換はステータスと神様が作ったこの体で強化されているから、風が通っていることなんてお見とうしだ。まぁ、スキルの能力が使われていたなら、スキルを発動しないと気づかない時もあるけど。私はフィーネ様のタンスを開け、たくさんある衣服o押しのけ、奥を見てみると、ビンゴ!大人一人がギリギリ通れるほどの穴があった。

「たしか今日から勉強だって聞いてたはずだから....多分勉強が嫌だったんだろう。私も昔....」

 って、違う!そう言えばこの家の裏の森は初心者冒険者が行く森だったような.....そこまで考えて、私の顔の血がサーと引いて行くのがわかった。血が引いて行くのって、意外とわかりやすいんだぜ!

ーー翡翠ひすい!!今すぐにフィーネ様を探して!!

 今呼びかけたのは風の精霊王。人をさがすのは翡翠が一番適している。早くしないと!魔物に教われるかもしれない。

『前にあった金髪の奴か?』

ーーうん!

『わかったぞ。森に入って、1km先、魔物に囲まれているらしい』

ーーふぁ!?まじで!かなり遠くまで行ってらっしゃる!!

 私は抜け道を抜け、森に入り今出せる全速力で走った。確かこれもイベントの中にあったはず。なんで忘れていた!!乙女ゲームで、フィーネ様が悪役になるかならないかの一番の原因なのに!!因になんで公爵家の屋敷が魔物が出る森に面してるかは、ご都合主義だ!制作者に聞いてくれ!!

 ものすごい早さで通り過ぎて行く風景を見ながら、フィーネ様を探す。小さい枝とか葉っぱに少し当たって傷ができるが、気にしない。メイド服も少し破けていく....新しいのに.....まあ、傷のほうはこれぐらいならすぐに治る。

 乙女ゲーでは、フィーネは背中に大きな傷がある。昔魔物に襲われてできた物だ。簡潔に言うと、その傷が原因でアルノ父様が過保護になったと言うことだ。フィーネ様がわがままにならないようにするには、これを対処するのが一番の近道。まだ先だと思ってた!乙女ゲームでのフィーネ様の傷はまだ背中全体を覆っていたから、こんな子供のときだとは...!

 チッ!魔物....ワーウルフが6体。群れに囲まれたフィーネ様が見えてきた。あくまで、見えただけだが。この時点で、枝や葉っぱで傷ついた傷はもう消えている。さすが神様がくれたスキル《超回復》。

 神様からもらったスキルに感心している間、一番前に居たワーウルフがフィーネ様に襲いかかる。

「まにっ.....あえ!!」

 届かない。私はそう思った。

 フィーネ様には一歩足りなかった。そしてその足りなかった分を補うように、魔法で肉体を強化し、スキルを使い、すべてを、私が使い得るものを使い、一歩を踏み出す。体は軋み上げ、激痛が走る。

 1kmはそんなに遠い距離ではない。ただ、リナがフィーネを囲んでいる魔物に気づいたのが、まだ抜け道を通っている間、抜けてから、走り出しても、体はまだ5歳児。一歩は短い。それが一歩足りなかったわけ。

 


 ヒュンッっと風を切る音が響く。一瞬遅れて、ワーウルフは動きをとめ、崩れ落ちて行く。




 リナの手には刀身が白い短剣。その短剣にはしたたる赤い液体。


「フィーネ様!!大丈夫でございますか!?」
「....ふぇ?りな?」
「はい。怖かったですよね。すいません。遅れてしまって」

 私はおびえてうずくまっていたフィーネ様を抱きしめて、持ち上げる。短剣はすぐさま収納にしまった。あの白い短剣は、猛毒が塗ってある短剣だ。弱い魔物なら即死する。まあ、あくまで最低限の強さの魔物だけだけど。人間にはしびれ薬になるぐらい。魔物専用の毒だからね。

「..........ッ!」
「りな?」
「大丈夫です。さぁ帰りましょう。」

 持ち上げた反動で、体に響く。にしても涙目で震える声で、首を少しかしげた姿....破壊力やべぇ....私は顔がにやけないように、表情筋に力を入れる。

『リナ!!』

 震えるフィーネ様をあやしながら、屋敷に向かっていると、翡翠の焦ったような声が聞こえた。

ーーああ、大丈夫だよ。

『大丈夫な分けないだろ!』

ーーちょっと体を酷使しただけだよ。

『ちょっとって程度じゃないだろ!?骨も軋んで今すぐにでも折れそうだ!それにもうひびがある骨が何個も!スキルがあるからって、限度がある!』

ーー最悪傷、残っても良いよ。明日筋肉痛になるのは嫌だけど。

『ちがう!それにんだぞ!』

ーーに比べれば大丈夫。

 脇腹を見ると、影にまぎれているが、血が衣服ににじみ出ている。一歩を踏み出したときに、前にあった枝がささったのだ。《超回復》といっても、《復元》や《再生》では無い。傷は残るだろう。

『っ......』

ーー手伝ってくれて、心配してくれてありがとう翡翠。私は大丈夫だから。

『...........わかった。何かあったらすぐ呼んでくれ』

ーーん

 何か言いたそうだったが、私は翡翠と念話を切った。

「りな....」

 腕の中からかわいらしい小さい声が聞こえた。

「なんでしょうか?」
「なにか...はなして?」

 射られた。服をぎゅっとつかまれて、上目遣いに涙目。ハートを射抜かれました!!

「ど、どんな話が良いのですか?」
「りながはなしたぃの」

 わたしが.....前ジルに話した歴史の話でもするか。私がこの世界にある数多くの歴史の中で一番知っている物語。

「そうですね。今からかぞえきれないほど昔、誰にも負けない最強の青年がいました」

 おとぎ話のようだが、れっきとした歴史だ。

「その男は旅をしていました。いろんな国をわたり、最初は一人で始めた旅にはたくさんの仲間が増えて行きました。獣人、魚人、魔人、人間、精霊、それはもう様々な」

 因にこれは初代国王の物語。私と同じ髪の色を持つ者。

「そんなかんじで、旅をしていた青年は、あることに気がつきました。『あれ?全員血筋ヤバくね?』と」
「.....なんれ、くちょう...」
「獣人はその時あったもう滅びたと言われている国の姫、魚人は王女。魔人は位の高い貴族の嫡男。人間は世界最強と謳われた魔女の息子、精霊は精霊王様。ほかの者たちもそんな感じでした。因に使い魔もいたそうですけど、使い魔も聖獣でした。けど肝心の青年は何の地位も血筋も無い、ただの村人でした。ただ、珍しい色の髪だけが、ほかの村人と違うことでした。あとつよさ」
「いろ?」
「はい。銀色です。付け加えると、なぜその少年がそんなに強くなったのはわかりません」
「まあ、その後、なんかあって、国を作ったとさ」
「いきなち、とーだ!!」
「もう着きましたよ」

 木々の隙間から、かすかな光が見え始めた。フィーネ様はそれで気がそれた。

 私は、この話を詳しく誰かに教えるつもりは無い。この物語は知る人にこそ知られないといけないもの物語。簡単には語ってはいけないことだから。

 あの青年、初代国王がこの国をたてた理由はにするため。実際に城の最奥には仲間の名前が記されているらしい、墓がある。

 そう、青年の仲間は






    







 青年の、美しくも、愚鈍で愚かで、叶うことの無いはずの悲しい、で。






 ×  ×  ×

 コンコン。私はまだ何も知らないであろう屋敷のドアを叩いた。小さいノックにも関わらず。使用人が出てくる。侍女長のアンナさんだった。

「!!フィーネ様!?」
「部屋に連れて行って上げてください。事情は後で話しますので」

 フィーネ様は家を見てからほっとしたのか、眠りについてしまっていた。福眼福眼。

「私は一度部屋に戻りますので」

 私はフィーネ様をアンナさんに渡す。その時、さっと、左手で、血がにじんでいるところを隠す。アンナさんはものすごく観察力がすごい人だ。私が傷を負っていることをわかったらすぐにでも医者を呼んで、治療されるだろう。だから私は声をかけられる前に部屋に戻った。

 ×  ×  ×

 『傷』。強力なスキルが使えるとはいえ、体はまだ発展途上の子供。力を使って、子供の体が耐えられないほどの力を注いだ。しばらくはずっと骨が軋んだままだろう。筋肉痛のすごいひどいバージョンと言った方が伝わりやすいのかな?いや、筋肉も遺体は痛いけど、骨にまで響いてるからなぁ。

「ッ......!!!」

 私はメイド服を脱ぎ、下着だけの姿になる。少し破れている上の下着をめくると肉がえぐられているような傷があった。木の破片は枝を抜く際に一緒に抜いた。勿論魔法でね。

 私は回復魔法を使う。気休め程度だが、これ以上体に負担をかけるとさらに体調が悪くなる。今の体はギリで保っている状態。下手に違う何かの力が入れば崩壊する。これでもかなりのを体にとどめているから、神様が作ってくれた器とはいえ、傷ついた体ではそうもいかない。体の器が完成しきってないからね。

 だから私は光の精霊王、光華の力を使わない。いや、使えない。

 もう少し大きくなったら体が魔力に耐えられると思うけど、まだ五歳児だからね。

「.....ふぅ、それにしても危なかった。あの時治療されてたらこの刻印がばれてた」

 傷がついていない方の脇腹を見ると、黒蓮たちの契約の証の刻印があった。因に傷は少し上の肋骨の間にあって、刻印は肋骨が無いところに刻まれている。つまり平行にある訳ではない。詳しく言うと、傷は胸の下。脇に近いところにある。刻印は太ももより少し上にある。まの体では、脇腹まで覆っているが、成長すれば小さくなるだろう。

 そうだ、紋様の上に幻術をちょっとかけとこう。精霊王達の刻印だから、うまくは隠せないけど、無いよりはましか。因に今日はアルノ父様、王宮に泊まっている。だから今すぐ説明を求められることは無い。

「それにしても......あ~~あ、にならないように玉の肌を守ろうと思ったのに早速傷が....」

 昔は職業関連で傷も日常茶番だったし傷だらけで半袖も着れなかったよ。私は収納からパジャマを取り出して魔法で、一瞬で着る。私が作った魔法だ。こういうときに便利。昔なんて骨が折れて着替えが一人でできなかったときもあったし。

「リル、いる?」

 私が影に呼びかけると、リルが影から出てきた。拾った時から変わっていないサイズ。リルは自身の体の大きさを自由に変えられるから、実際は大きくなっている。そして相変わらずの白さだ。光が少ない部屋でもどこにいるのかすぐわかる。

「ごめんね。必死になってあなたのこと忘れてた」
「クゥン」

 力の入らない手をグイグイと鼻で押してくる。可愛いな。

 そう、実はあの時、リルを出していれば、私が無理をしなくても簡単にワーウルフを撃退できただろう。けど、必死になりすぎて忘れてた。こっちに来てからなんか判断力が弱くなった気がする。まあ、当たり前か。こっちに聞き手から一人もまだ殺してないし、私がLvを上げたのも黒蓮達に守られながらの安全圏でやってたしな。鈍るのも仕方ない。

「私は…もう、眠いから、リル…も、寝なさい」

 グシャグシャーっと手に無理やり力を入れてリルの頭を撫でてから、リルを影に戻した。

「....明日.......ちゃんと、あるの父様に....報告、しない....と」

 眠.......

 私はそのままベットに埋もれて、眠った。

 ×  ×  ×

「リナ!!大丈夫か!!?」

 そして私は次の瞬間、誰かがドアを思いっきりあける音で、起きた。
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