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魔法使いの章
ファーストコンタクト(前編)
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「甘い! もっと気合い入れろ!」
「は、はいっ!」
降り注ぐ刺毛の弾幕、そびえる巨大な蜘蛛。圧倒的な戦力差がありながら、ハヤテは必死に立ち向かう。
竜本来の姿となったハヤテは、押し寄せる弾幕を回避しながら巨大な蜘蛛へと近づき、隙を見て攻撃を仕掛ける。
「……これなら、どうだ!」
ハヤテは精一杯の力を込め、思いっきり炎を吐いた。
——が、その炎すら、蜘蛛が放つ刺毛弾幕にかき消される。
「なんだなんだこのへなちょこな息吹は? お前の才能はこんなものではないだろ? いい加減才能の出し惜しみはやめろ!」
巨大なモンスターから発せられる巨大な声が、城を震わせ大地を揺らす。
「精が出ますね、お二方」
二人が特訓しているところに、普段着の叡持が姿を現した。
この城は本当にすごい。彼が実験したり、訓練をするのに極めて適している。まあ、彼が創ったのだから当然ではあるが。
この城は、大賢人・新川叡持が構想・設計し、使い魔のシオリが作り上げたもの。
そして、これは、世界と世界の狭間にある。つまり叡持は、フィールドワークをするたびに、“異世界へ赴いている”ことになる。
なぜこんな場所に建てたのか。まずは叡持がひっそりと研究するため。世界を隔てることで、様々な者の侵入を阻むことが出来る。次に、広大な土地が欲しかったため。彼の“爆轟術”は、強大な力を持つ。やわな演習場ではまともなテストも訓練も出来ないという。そして、世界を自由に行き来するためだという。そもそも“新川叡持”という名前自体、まず聞かない名前だ。どうやら、叡持殿は「別の世界」から来たから、このような名前になっているらしい。そして、元いた世界にもアクセスできるように、この二つの世界の境目に城を築いたとのこと。
「ああ、最高だよ。ほんととんでもない逸材を拾って来たな、叡持。こいつ、しごけばしごくほど強くなっていく。こんなに育てがいがある奴なんて叡持以来だぜ」
シオリは速やかに女性職人の姿となり、高笑いをしながら叡持に話す。
「……ですが、もう少し手加減してください、棟梁」
ハヤテもまた、すっと少年の姿に変化した。
「棟梁?」
叡持が不思議そうに首を傾げた。
「ああ、ハヤテは私を“棟梁”と言うんだ」
「だって棟梁じゃないですか! なんでも作っちゃうし、他の使い魔仕切ってるし、何よりめちゃくちゃ強いし」
ほんと、棟梁はすごい。これほどの城をたった一人で築き上げた。それに、今でこそDドライバは機械で作っているらしいが、もともとは棟梁がひとつずつ手作りしていたとのこと。やっぱり強いモンスターは違う。
「ははは、確かにシオリさんは“棟梁”という言葉が似合いますね」
「……そうか?」
三人は顔を合わせ、大きく笑った。
新川叡持。初めて会った時、言葉では表せないような恐怖を覚えた。だが、普段着の彼と接しているうち、彼はとっても天真爛漫な人間だということが分かった。
彼が魔術について語る時、常に瞳が輝いていた。楽しそうに、嬉しそうに、こちらに語りかける。
そう。まるで、なんにでも興味津々だった、俺の弟のように——。
「ところでハヤテさん。シオリさんは、かなり手加減をしていますよ。なぜなら、あの刺毛弾幕は本来ホーミング性能がありますからね。それに威力も高い。あなたなら一本放っただけでお亡くなりになってしまいます。そもそも、あれは大人数を確実に仕留めるための攻撃ですからね」
「げ……」
ハヤテは苦い顔をした。あんなものが、自分を追尾してくるなんて悪夢だ。本当に、一人で逃げているときにこんな相手に出会わなくてよかった。
「さて、ハヤテさん。初仕事です。今日の夜、フィールドワークに出かけます。場所は、クランド帝国の商業都市・ミスギス。あなたには騎乗竜の任をお願いします」
……いよいよか。
訓練していれば、この日が来ることは知っていた。あの魔法使いを乗せ、フィールドワークに出かける日を。
俺が拾われたような、あんな状況を見ることに。
「怖いか?」
シオリが、ハヤテの頭に手をポンと乗せた。
「……怖いというか、緊張しています」
「心配するな! 私がオペレーションするし、叡持が戦闘で負けることはない」
「……はい」
ハヤテは静かに返事をした。
「では、シオリさん、データ収集の準備をお願いします。ハヤテさんは休んでください」
「分かったぜ叡持。じゃ、戻るぞ、ハヤテ」
〇 〇
〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇
〇 〇
「頃合いか」
薄暗い洞穴の中で、魔導士は水晶玉を眺めていた。
もう十分楽しませてもらった。もう、魂を剥ぎ取ってもいいだろう。
散々人を殺し、奪い、それでも自分を顧みることはない。
堕落しきった魂を見るのは本当に愉快だ。
……だが、この魂は何かおかしい。堕落しきっているにしても、ここまで堕ちたものは見たことがない。
魂の堕落はなにも悪事を働くことによるものではない。むしろ、強い信念のもとに悪に手を染める魂は、正義の味方を名乗っている人間よりも高潔なことが多い。逆に、正義を盾に傲慢な態度を取るような人間の方が、遥かに堕落している。
こういう人間の魂は、べりべりと剥ぎ取る感覚もひとしおなのだが。
この男は、俗に言うクズと呼ばれる種類の魂だ。
自分を顧みず、全てを環境のせい、人のせいにし、全く自分を高めようとしない。確かに剥ぎ取るのが楽しい部類の人間ではあるが、この程度の男が、ここまで堕落するとは思えない。何が起こっているのだろうか。
魔導士は浮かんだ疑問を一度奥に追いやり、一冊の魔導書を開いた。
周りを漂う異形の者が、様々な素材を魔導士の下へ運んでくる。
さて、始めよう。
〇 〇
〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇
〇 〇
「ぶはっ、……あ、あ、ぶはああっ……」
何がどうなっていやがる。どうして、さっきから吐き気が止まらない?
それに、さっきから出てくるものは何だ? 錆びた鉄と古い油が溶けた、廃液のようなものが、ずっと出て来る。こんなの人間から出てくるもんじゃねえ……。
……何だよ、震えてるのかよ。
怖くなんか……、ねえ。俺は、神になったんだ。誰にも負けねえ。誰にも……。
そそそそそそそそそ…………。
薄暗い部屋の奥から、怪しい、何かが擦れるような音が聞こえた。
「今度は、何だよ」
音がする先に、震えながら目を向ける。
……煙?
奥から、黒い煙が出ている。おかしい。今はどこも火を焚いていない。どこかで火事があったのなら、もっと外は騒がしいはずだ。じゃあ、この煙は一体……。
「……よくも俺達を……。呪ってやる」
——! 煙はただもやもやと漂っている。だが、その煙は、確実に殺意を向けて来た。おかしい。こんなの、絶対におかしい。
これらの煙は、だんだんいくつかに分かれ、だんだんまとまっていく。そして、その煙の集合体が、見覚えのある形へと変わっていく。
「は、はは……ははははっ、……ははは…………。う、うわああああ!」
「は、はいっ!」
降り注ぐ刺毛の弾幕、そびえる巨大な蜘蛛。圧倒的な戦力差がありながら、ハヤテは必死に立ち向かう。
竜本来の姿となったハヤテは、押し寄せる弾幕を回避しながら巨大な蜘蛛へと近づき、隙を見て攻撃を仕掛ける。
「……これなら、どうだ!」
ハヤテは精一杯の力を込め、思いっきり炎を吐いた。
——が、その炎すら、蜘蛛が放つ刺毛弾幕にかき消される。
「なんだなんだこのへなちょこな息吹は? お前の才能はこんなものではないだろ? いい加減才能の出し惜しみはやめろ!」
巨大なモンスターから発せられる巨大な声が、城を震わせ大地を揺らす。
「精が出ますね、お二方」
二人が特訓しているところに、普段着の叡持が姿を現した。
この城は本当にすごい。彼が実験したり、訓練をするのに極めて適している。まあ、彼が創ったのだから当然ではあるが。
この城は、大賢人・新川叡持が構想・設計し、使い魔のシオリが作り上げたもの。
そして、これは、世界と世界の狭間にある。つまり叡持は、フィールドワークをするたびに、“異世界へ赴いている”ことになる。
なぜこんな場所に建てたのか。まずは叡持がひっそりと研究するため。世界を隔てることで、様々な者の侵入を阻むことが出来る。次に、広大な土地が欲しかったため。彼の“爆轟術”は、強大な力を持つ。やわな演習場ではまともなテストも訓練も出来ないという。そして、世界を自由に行き来するためだという。そもそも“新川叡持”という名前自体、まず聞かない名前だ。どうやら、叡持殿は「別の世界」から来たから、このような名前になっているらしい。そして、元いた世界にもアクセスできるように、この二つの世界の境目に城を築いたとのこと。
「ああ、最高だよ。ほんととんでもない逸材を拾って来たな、叡持。こいつ、しごけばしごくほど強くなっていく。こんなに育てがいがある奴なんて叡持以来だぜ」
シオリは速やかに女性職人の姿となり、高笑いをしながら叡持に話す。
「……ですが、もう少し手加減してください、棟梁」
ハヤテもまた、すっと少年の姿に変化した。
「棟梁?」
叡持が不思議そうに首を傾げた。
「ああ、ハヤテは私を“棟梁”と言うんだ」
「だって棟梁じゃないですか! なんでも作っちゃうし、他の使い魔仕切ってるし、何よりめちゃくちゃ強いし」
ほんと、棟梁はすごい。これほどの城をたった一人で築き上げた。それに、今でこそDドライバは機械で作っているらしいが、もともとは棟梁がひとつずつ手作りしていたとのこと。やっぱり強いモンスターは違う。
「ははは、確かにシオリさんは“棟梁”という言葉が似合いますね」
「……そうか?」
三人は顔を合わせ、大きく笑った。
新川叡持。初めて会った時、言葉では表せないような恐怖を覚えた。だが、普段着の彼と接しているうち、彼はとっても天真爛漫な人間だということが分かった。
彼が魔術について語る時、常に瞳が輝いていた。楽しそうに、嬉しそうに、こちらに語りかける。
そう。まるで、なんにでも興味津々だった、俺の弟のように——。
「ところでハヤテさん。シオリさんは、かなり手加減をしていますよ。なぜなら、あの刺毛弾幕は本来ホーミング性能がありますからね。それに威力も高い。あなたなら一本放っただけでお亡くなりになってしまいます。そもそも、あれは大人数を確実に仕留めるための攻撃ですからね」
「げ……」
ハヤテは苦い顔をした。あんなものが、自分を追尾してくるなんて悪夢だ。本当に、一人で逃げているときにこんな相手に出会わなくてよかった。
「さて、ハヤテさん。初仕事です。今日の夜、フィールドワークに出かけます。場所は、クランド帝国の商業都市・ミスギス。あなたには騎乗竜の任をお願いします」
……いよいよか。
訓練していれば、この日が来ることは知っていた。あの魔法使いを乗せ、フィールドワークに出かける日を。
俺が拾われたような、あんな状況を見ることに。
「怖いか?」
シオリが、ハヤテの頭に手をポンと乗せた。
「……怖いというか、緊張しています」
「心配するな! 私がオペレーションするし、叡持が戦闘で負けることはない」
「……はい」
ハヤテは静かに返事をした。
「では、シオリさん、データ収集の準備をお願いします。ハヤテさんは休んでください」
「分かったぜ叡持。じゃ、戻るぞ、ハヤテ」
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〇 〇 〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇
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「頃合いか」
薄暗い洞穴の中で、魔導士は水晶玉を眺めていた。
もう十分楽しませてもらった。もう、魂を剥ぎ取ってもいいだろう。
散々人を殺し、奪い、それでも自分を顧みることはない。
堕落しきった魂を見るのは本当に愉快だ。
……だが、この魂は何かおかしい。堕落しきっているにしても、ここまで堕ちたものは見たことがない。
魂の堕落はなにも悪事を働くことによるものではない。むしろ、強い信念のもとに悪に手を染める魂は、正義の味方を名乗っている人間よりも高潔なことが多い。逆に、正義を盾に傲慢な態度を取るような人間の方が、遥かに堕落している。
こういう人間の魂は、べりべりと剥ぎ取る感覚もひとしおなのだが。
この男は、俗に言うクズと呼ばれる種類の魂だ。
自分を顧みず、全てを環境のせい、人のせいにし、全く自分を高めようとしない。確かに剥ぎ取るのが楽しい部類の人間ではあるが、この程度の男が、ここまで堕落するとは思えない。何が起こっているのだろうか。
魔導士は浮かんだ疑問を一度奥に追いやり、一冊の魔導書を開いた。
周りを漂う異形の者が、様々な素材を魔導士の下へ運んでくる。
さて、始めよう。
〇 〇
〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇 〇 〇
〇 〇 〇 〇
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「ぶはっ、……あ、あ、ぶはああっ……」
何がどうなっていやがる。どうして、さっきから吐き気が止まらない?
それに、さっきから出てくるものは何だ? 錆びた鉄と古い油が溶けた、廃液のようなものが、ずっと出て来る。こんなの人間から出てくるもんじゃねえ……。
……何だよ、震えてるのかよ。
怖くなんか……、ねえ。俺は、神になったんだ。誰にも負けねえ。誰にも……。
そそそそそそそそそ…………。
薄暗い部屋の奥から、怪しい、何かが擦れるような音が聞こえた。
「今度は、何だよ」
音がする先に、震えながら目を向ける。
……煙?
奥から、黒い煙が出ている。おかしい。今はどこも火を焚いていない。どこかで火事があったのなら、もっと外は騒がしいはずだ。じゃあ、この煙は一体……。
「……よくも俺達を……。呪ってやる」
——! 煙はただもやもやと漂っている。だが、その煙は、確実に殺意を向けて来た。おかしい。こんなの、絶対におかしい。
これらの煙は、だんだんいくつかに分かれ、だんだんまとまっていく。そして、その煙の集合体が、見覚えのある形へと変わっていく。
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