【休載中】銀世界を筆は今日も

Noel.R

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Op.2 帰還と始動 Tempo di Marcia

第二マーチ(前編)

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 そして時刻は午後一時。兄は車で家に迎えに来た。

「よし、んじゃあ行くか!」

「………行き先聞いてないんですがそれは…?」

「まーまー黙ってついてこい!悪いようにはしねーよ。」

「悪いようになりそうだったらその場でハンドル乗っ取るからなクソ兄貴。」

「おー怖い怖い。安全運転でお送りしまーすぅ。」

 相変わらず飄々とした、とかいうレベルではないクソ兄貴である。

 車を飛ばして四、五十分といったところだろうか。その間はずっとレスピーギの交響詩『ローマの祭り』と『ローマの松』が車中には流れていた。

「着いたぞ。」

 そう言われて車を降りたのは横浜だった。

 入ったのは小さな建物だった。地下への階段を降りる。車を停めたのはすぐ近くの駐車場だった。三度、兄がドアをノックする。開いてる、という低くよく響きそうな声が聞こえた。

 兄と共に中に入った。するとそこには、










 大量の楽器。





「ほら、選ぶぞ。世話になります。古川さん。」

 古川さん、と呼ばれたさっきの声の主は、よっしゃ、とゆっくり腰を上げた。

「選ぶって……………?」

「お前の楽器を、だ。」

 …………………………………………………………………………え。

「ええええええええええええええええええええええええええええ!」

「どした不満か?」

 いやそうじゃなくて、

「本気で?」

「冗談でこんなこと言っても利益ねーわ偏屈め。」

 確かに道理だ。

 しかしまさか行き先不明のドライブ先がまさか楽器屋で、しかもそのまま楽器を買うことになるとは。

 困惑しかない。

「黒木君の弟君。初めまして、かな?」

 古川さんと呼ばれていた男性が話しかけてきた。

「初めまして。黒木宥大と申します。兄がお世話になっているようで…。」

「いやー、彼はうちの上客だからねえ。むしろこっちがお世話になってるかもしれないくらいだよ。」

「はあ……」

 クソ兄貴はどうやら金銭的な余裕が半端ないようです。 

 とりあえず何台か持ってきてみようか。と呟いて古川さんは
あっという間に五台のケースを持ってきた。

「調性はツェーで良いんだよね?」
(調性…楽器の基準となる音の高さのこと。チューバの場合は主にC、、Fがあり、プレイスタイルや音色の差で決める。)

 え?今なんですけど…と困惑していると兄貴がええ。Cでお願いします。と返す。

「何故にC管で?」

「今後長く使おうと思ったらよりCのほうが色々対応しやすいしな。お前どうせ高校で終わんねーだろ?」

 まあそのつもりだし、

「なるほど。あざっす。」

 という訳で五台、いざ、試奏。
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