【休載中】銀世界を筆は今日も

Noel.R

文字の大きさ
15 / 24
Op.2 帰還と始動 Tempo di Marcia

第二マーチ(後編)

しおりを挟む
 試奏した楽器は以下の通り。

 YAMAHA YCBー822S
 フロントアクションは向いてないかもしれない。質感に違和感を覚えた。抜け方ももう一息違う感じがした。
 ※フロントアクション…奏者から見て奥側にピストンがあるもの。この機種に関してはさらに一つロータリーが付いている。

 JUPITER JTU1110
 YCBー822S同様フロントアクション。薄く感じた。全体的に軽くなる傾向にある。

 MIRAOHONE PR88ーHBーGB
 これは五本全てロータリー。重たさがあってコントロールも利きやすい。かなり理想に近いものかもしれない。

 MEINL 5450S
 力強さと音域の充実性がピカイチ。ただ制御にうっすら難ありか?技術不足もおおいにあるが。

 B&S PTー20
 直管系(いわゆるトランペットやトロンボーン)との相性の良さがMEINL同様伺える。ただ今一つ重たさが足りないようにも思える。

 五つそれぞれが特徴的で、悩ましいところであった。

 と、急に兄が口を開く。

「古川さん。ブルックナー置いてないっすか?」

「ほう、確かにあれなら合うかもしれんな。」

 ブルックナー?作曲家の?あのブルックナー?交響曲かっこいいよね。でもブルックナー?どゆこと?

 困惑する(勉強不足とも言う)弟をよそに兄と古川さんが話し込んでいる。

 よし、という二人の声と共に兄が意味有り気な笑みを向ける。イッタイドウシタンデスカクソオニイサマ。

 古川さんが奥から持ってきたのはPR88HBーGBと同じMIRAOHONEのチューバだった。これがブルックナーっすか。

「多分これだ。弟君。吹いてみればきっとわかるだろう。」

 そこまで言われずとも勿論吹かせていただきます吹かせてくださいありがとうございます、だ。

「お前TU41持ってんだろ?使ってみな。」

 兄が提案したのはそれまで使っていたハモンドのマウスピースからもう一つ持っていて暫く使っていなかったマウスピース、MIRAOHONEのTU41での試奏だった。

 癖が強く、中々合わなかったのだが、兄が言うなら試しても見ようか。

 いつも通りの姿勢で吹き込む。

「「「!!!!!」」」

 その場にいた三人ともが驚いた。そして確信した。これだ、これが一生モノの相棒となる、と。

「兄貴、これでいいか?」

「当たり前だ。他にない。」

 支払い金額は見なかったことにしたが二百を軽く超えていた。改めて恐るべし我が愛すべきクソ兄貴。

 その後手入れや微調整まで古川さんにしっかり改めてレクチャーしてもらい、楽器屋をあとにした。


 こうして俺はMy楽器で今後を戦うこととなった。




 来たるべき夏へ、また一歩進んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

おかしくなったのは、彼女が我が家にやってきてからでした。

ましゅぺちーの
恋愛
公爵家の令嬢であるリリスは家族と婚約者に愛されて幸せの中にいた。 そんな時、リリスの父の弟夫婦が不慮の事故で亡くなり、その娘を我が家で引き取ることになった。 娘の名前はシルビア。天使のように可愛らしく愛嬌のある彼女はすぐに一家に馴染んでいった。 それに対してリリスは次第に家で孤立していき、シルビアに嫌がらせをしているとの噂までたち始めた。 婚約者もシルビアに奪われ、父からは勘当を言い渡される。 リリスは平民として第二の人生を歩み始める。 全8話。完結まで執筆済みです。 この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...