【休載中】銀世界を筆は今日も

Noel.R

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Op.2 帰還と始動 Tempo di Marcia

トリオ

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 ※トリオ………マーチにおける中間部を意味する。


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


 定期考査。この学校では年に四回行われる。

 一週間前から部活は停止となり、学業への集中が要求される時間が続く。

 そんな中、

「お一人様でよろしいですか?」

「はい。」

「お時間どうなさいますか?」

「フリータイムで。」

「オーダーはどうなさいますか?」

「ドリンクバーで。」

「お部屋23号室になります。通路真っ直ぐ突き当りの階段を登ってすぐのお部屋になっております。ドリンクバー二階にもございますのでご自由にご利用ください。」

「はい。」

 ガラガラガラガラガラガラガラガラ。

 大きめのケースを牽いて通路を真っ直ぐに。そう。考査期間に俺は、

 

 カラオケボックスに楽器吹くために来た。



 23号室に入り、電気をつける。つい先日買ったばかりのブルックナーを取り出して、オイルを差す。

 精密採点をなんの迷いもなく予約し、リクエストを一気に数曲送信する。

 これもれっきとした(?)練習の一環だ。あくまで持論だが、普段メロディーとの遭遇率は某チョコボールのあたりクジ並のチューバだからと言ってメロディーが吹けなければメロディーを理解し、対応し、支えることなど不可能だと考えている。そんな訳でカラオケボックスでの練習は効果的なものがある。響き方に若干、というか割と難はあるが、それはそれ。吹ける環境があるだけ良いものだ。

 考査の勉強は…………これが意外と大丈夫。勉強するに一年半の入院は十分過ぎた。(というのも音楽が無理だっただけでその他の日常生活にはそれほど支障は、まあ無くはないが少なかったからである。





♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪





 さて、入室から八時間が経過した。

 ポップスから洋楽、アニソン、オペラ、はたまた演歌まで、かなり広く深く演ったのではないだろうか。ちなみに一度も歌ってはない。

 採点は軒並み90点台前半、まあまあといったところか。

 ぼちぼち帰ろう。

 支払いを済ませてさあ出口、と思ったら、

 ………どうやら同じ発想はいるようだ。

「金村?」

「先輩!楽器買ったんですか?」

「ん、あ、ああ。兄貴がな。」

「うわ凄~い!い~な~」

「お前もMy楽器だろうに。」

 てへっ、と金村。

「何時間くらいいらっしゃったんですか?」

「八時間くらい。」

「ええええええええええええええええええええええ!私三時間ですよ?ってか先輩勉強は…………大丈夫そうですね。」

「まあ一応。」

 そうだ、金村たちコイツら一応受験生か。大変だよな。

「んじゃ、頑張れよ。」

「はい!失礼します!」

 店を出た。

 外は薄暗く、夕陽が最後の主張あかを見せんとしていた。

 さて、



 …………少しは勉強するか。




♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪


 後日、定期考査ではなんと成績上位5%の中に入っていた。

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