【休載中】銀世界を筆は今日も

Noel.R

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Op.3 スケルツォ 急転を駆けて

再現部(前編)

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 ショートコンサートから一週間。大会まであと二十三日。


 日に日に高まる緊張感と外気温の中、俺達は練習に励んでいた。(というのも流石に冷房が効いていて、外の気温の影響はほぼ無かった。)

 そんないつも通りの午前十時少し過ぎのことだった。


「全員!二音集合です!」

 と廊下で盛大に叫んだ(うん、効率的な伝達。)のは金村だった。こいつ、こんなに叫べるんだ。ちょっと意外だった。

 なんだなんだ、と全員が二音(第二音楽室をこう略す。)に集まる。珍しく目の前に立っているのは近藤先生だ。


「えー、はい。皆さん毎日お疲れ様。今日集まってもらったのは…」

 
 コンクールの日程と前日、当日の動向についてだった。

 

 ◆  ◆  ◆


「いやー、まさか演奏順が最初になるとはね…。」

 山城は微妙な表情を浮かべる。

「まあ、これはこれで。緊張する時間が短いって見方もある。」

「そうだけど……」

「ま、今はやれることやるだけっすよ。」

「も~。奏子先輩じゃないんだから~。」

 どうにか重さは取れたようだ。


 当日は午前五時集合とのこと。ある程度アップして、最終確認、片付け、積み込み、移動………と、目まぐるしく動く一日になる。

 
 今年こそは、と、改めて皆が決意を固めた。


 夏の日差しが眩しい。今年も暑い夏になりそうだ。

 いや、今年は熱い夏になりそうだ。


 ◆  ◆  ◆



 そして教室に戻り、練習再開。

 要所要所、しっかり反復して感覚を定着させる。聴きあうのも大切な練習になる。

「ん"っ………」

「先輩、どうかしました?」

 心配そうに覗き込む佐藤。

 最近、時々体の筋が痺れるような感覚がある。

「いや、何ともない。続けよう。」

 年かな、なんてぼんやり思いながら、目の前の楽譜と向き合う。

 結局どうといったことはなく、無事にいつもの一日が終わった。





 このまま、コンクールを迎えたかった。


 この時、奏者として致命的なミスを犯していたと、後で気付くことになる。

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