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伝説のレストラン
カレーの具は思い出と努力の中に有り4
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その娘の名はウイカ────
マナ王国の食頭領・アニスを父に持ち、料理の腕前は父と並ぶ程の実力者。先日エルピスで、ひまわりに勝負を挑んだのである。
高貴な家柄とその気高さは、国で羨む者は大勢居るであろう。
しかし───ウイカはそんな物より手に入れたい物があったのだ。
(…どうして、私はスパイスの女神では無いのかしら……)
誰も私を見てくれない──
本当の意味では必要としない……。だからこそ、人一倍努力をして、認めてもらわないといけない
(それなのに……)
突然現れたその女は三銃士に大歓迎され、国を救う女神様と崇められた。
その子が確実にスパイスの女神か分からないのに……
(腹が立つ)
三人に囲まれて喜怒哀楽としているあの女が、憎い。その居場所は……本当は私が……!!
《なら、奪ってしまえば良い───》
「!……だ、誰!?」
《我等は……三夜ノ食鬼──。貴方の願いを叶えよう……》
「わた…くしの…願い?────」
《貴方の心に秘めた、嫉妬のスパイスを……我等に────》
ウイカの部屋に突如現れた三人は三夜ノ食鬼と名乗り、ウイカを囲んだ。そして唆し、惑わす───
欲望を掻き立てた。
「あ……あぁ……」
メラメラと燃える心は"嫉妬"────
そして胸から大量の暗赤色の粉が溢れた。
《そのスパイスを三銃士に振りかけるのです》
《そうすれば、彼等は貴方の思うがままに……》
《そして……食戦争を無くせ────》
「このスパイスがあれば……───そうか……"食戦争"になんて囚われているから……エンジ様は私を見て下さらないのね───」
エンジ様……もう大丈夫です。
貴方の苦しみは私が解放致します……
「この……スパイスで」
。
。
トントントン───
ジャー!!────
グツグツッ────
料理対決まで後4日となった。
閉店後のエルピスからは、今日もカレーの匂いが漂う。
しかし────その香りは殺人級であり……
既に外では、カレーの香りに失神している動物や精霊が居た。
そんな事になっているとは露知らずの、三銃士と───失神カレーを作った張本人のひまわり…。
店の中は閉店したというのに、賑やかで喧しい。
「なかなか様になってきましたね」
「トラウマを抱えていたとは思えないくらいの成長っぷりだね」
「……見た目だけな」
「はーい!お待ちどおさま~!」
コト……と、テーブルに置かれたのは三人前のカレーだった。
見た目はプロ級のカレーだが、匂いが既に激辛。食べたら確実に失神はするであろう……───そんな兆しがありそうな料理を振る舞われた三銃士は各々身体を震わせ、ソウは笑顔で冷や汗をダラダラとかき、スイは持っていたティーカップを床に落としてしまった。
「何回教えたら普通に作れんだお前は!!怒」
テーブルを叩いて、ハッキリと物申したエンジは、自分の不甲斐なさに罪悪感を抱いていた。
しかし、ひまわりはちゃんと教えた通りに作っている筈なのに……。それでも、激辛殺人カレーしか作れないのは自分を責めるしか他ない。
もう何処にやったら良いか分からない怒りを、 不器用なエンジはひまわりにぶつける事しか出来ないのだ。
「何がいけないんだろ~……、料理の感覚は取り戻してきたのに……。」
「…もしかしたらトラウマが、辛味の邪魔をしているのかもしれないね」
「そんなトラウマを抱えてるくらいで、料理に支障をきたす感じなの!?」
「されどトラウマですよ……───今は大丈夫でも、心は…永遠に消える事のない傷を負っているんです。」
「……どうしたら、それを乗り越える事が……できるんだろ」
ひまわりが俯くと、何かを閃いたのか、ソウがポンと手を打ち付ける
「じゃあ、これはどうかな?。上書き保存療法っていうのは」
「上書き保存療法?」
「ふふふっ、例えば……───」
ひまわりに急接近し、肩を抱き寄せ耳許で
「君は……世界で一番、美しいお姫様だよ……」と、ソウは囁いた。
勿論、そんな甘い台詞は聞き慣れていないひまわりは、ボフン!!と顔を真っ赤にさせ、床に倒れてしまった。
「あれ?、倒れちゃったよ?」
「アホかーー!!お前は!!」
「……レディの身体が持つかは分かりませんが、これは良い方法なのでは?」
「はあ!?」
「でしょでしょ?」
「お、お前ら……ほ、本気じゃねぇよな?」
「食戦争の為ならば、砂糖のように甘い台詞でも、蜂蜜のような濃密で癖のある甘さでも……味わって頂きましょう」
「オレは絶対やんねぇーぞ!!!。誰がそんな……」
「職務放棄っ」
「…腐れ外道」
「なんでそこまで言われなきゃいけないんだ!?」
上書き保存療法───
さてさて、これが良い方向に向かわせてくれるのか……
料理対決まで後4日……
マナ王国の食頭領・アニスを父に持ち、料理の腕前は父と並ぶ程の実力者。先日エルピスで、ひまわりに勝負を挑んだのである。
高貴な家柄とその気高さは、国で羨む者は大勢居るであろう。
しかし───ウイカはそんな物より手に入れたい物があったのだ。
(…どうして、私はスパイスの女神では無いのかしら……)
誰も私を見てくれない──
本当の意味では必要としない……。だからこそ、人一倍努力をして、認めてもらわないといけない
(それなのに……)
突然現れたその女は三銃士に大歓迎され、国を救う女神様と崇められた。
その子が確実にスパイスの女神か分からないのに……
(腹が立つ)
三人に囲まれて喜怒哀楽としているあの女が、憎い。その居場所は……本当は私が……!!
《なら、奪ってしまえば良い───》
「!……だ、誰!?」
《我等は……三夜ノ食鬼──。貴方の願いを叶えよう……》
「わた…くしの…願い?────」
《貴方の心に秘めた、嫉妬のスパイスを……我等に────》
ウイカの部屋に突如現れた三人は三夜ノ食鬼と名乗り、ウイカを囲んだ。そして唆し、惑わす───
欲望を掻き立てた。
「あ……あぁ……」
メラメラと燃える心は"嫉妬"────
そして胸から大量の暗赤色の粉が溢れた。
《そのスパイスを三銃士に振りかけるのです》
《そうすれば、彼等は貴方の思うがままに……》
《そして……食戦争を無くせ────》
「このスパイスがあれば……───そうか……"食戦争"になんて囚われているから……エンジ様は私を見て下さらないのね───」
エンジ様……もう大丈夫です。
貴方の苦しみは私が解放致します……
「この……スパイスで」
。
。
トントントン───
ジャー!!────
グツグツッ────
料理対決まで後4日となった。
閉店後のエルピスからは、今日もカレーの匂いが漂う。
しかし────その香りは殺人級であり……
既に外では、カレーの香りに失神している動物や精霊が居た。
そんな事になっているとは露知らずの、三銃士と───失神カレーを作った張本人のひまわり…。
店の中は閉店したというのに、賑やかで喧しい。
「なかなか様になってきましたね」
「トラウマを抱えていたとは思えないくらいの成長っぷりだね」
「……見た目だけな」
「はーい!お待ちどおさま~!」
コト……と、テーブルに置かれたのは三人前のカレーだった。
見た目はプロ級のカレーだが、匂いが既に激辛。食べたら確実に失神はするであろう……───そんな兆しがありそうな料理を振る舞われた三銃士は各々身体を震わせ、ソウは笑顔で冷や汗をダラダラとかき、スイは持っていたティーカップを床に落としてしまった。
「何回教えたら普通に作れんだお前は!!怒」
テーブルを叩いて、ハッキリと物申したエンジは、自分の不甲斐なさに罪悪感を抱いていた。
しかし、ひまわりはちゃんと教えた通りに作っている筈なのに……。それでも、激辛殺人カレーしか作れないのは自分を責めるしか他ない。
もう何処にやったら良いか分からない怒りを、 不器用なエンジはひまわりにぶつける事しか出来ないのだ。
「何がいけないんだろ~……、料理の感覚は取り戻してきたのに……。」
「…もしかしたらトラウマが、辛味の邪魔をしているのかもしれないね」
「そんなトラウマを抱えてるくらいで、料理に支障をきたす感じなの!?」
「されどトラウマですよ……───今は大丈夫でも、心は…永遠に消える事のない傷を負っているんです。」
「……どうしたら、それを乗り越える事が……できるんだろ」
ひまわりが俯くと、何かを閃いたのか、ソウがポンと手を打ち付ける
「じゃあ、これはどうかな?。上書き保存療法っていうのは」
「上書き保存療法?」
「ふふふっ、例えば……───」
ひまわりに急接近し、肩を抱き寄せ耳許で
「君は……世界で一番、美しいお姫様だよ……」と、ソウは囁いた。
勿論、そんな甘い台詞は聞き慣れていないひまわりは、ボフン!!と顔を真っ赤にさせ、床に倒れてしまった。
「あれ?、倒れちゃったよ?」
「アホかーー!!お前は!!」
「……レディの身体が持つかは分かりませんが、これは良い方法なのでは?」
「はあ!?」
「でしょでしょ?」
「お、お前ら……ほ、本気じゃねぇよな?」
「食戦争の為ならば、砂糖のように甘い台詞でも、蜂蜜のような濃密で癖のある甘さでも……味わって頂きましょう」
「オレは絶対やんねぇーぞ!!!。誰がそんな……」
「職務放棄っ」
「…腐れ外道」
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