爛漫ろまんす!

平野ポタージュ

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時の一族と実

玉の行方

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「おい、肉まん女、オンナ男!。お前らにピッタリな薬作ってやろーか?」

「糞ガキ…、口の利き方がなっていないようだけど」

黄龍ファンロン、羽交い締めにしたから思う存分にやっちゃって!!」

「ちょ…お前ら卑怯だぞっ!!?」

糞ガキ=琳瞳リンドウの頬を抓れば、涙目になりながら「いだいっ!!いだいっ!!」と叫んでいた。

「お、お前ら力強すぎるだろっ!!」

「舐めんなよ小僧。僕は、華奢に見えて誰よりも強いから」

「これに懲りたら、これからは「美人で優しくてキューティーボディなお姉様」と呼びなさい」

「呼べるかっ!!。…───っでも…、お前たちなら沁華シンファ様たおせるか!?」

「…沁華シンファ様?」

「だれ?それ」

「…オラ…───オラ…せんせーが居なくなってから…、沁華シンファ様が来てから…この国や都の人達がおかしくなってって…───姉ちゃんも……」

切羽詰まった様子で琳瞳リンドウ神美かみの腕にしがみつく。身体は震えていて、先程までの威勢の良さが嘘みたいだ。
神美かみはそっと琳瞳リンドウを抱き締める。黄龍ファンロンは少し面倒くさそうにしつつも話を聞く事にした。

「暇つぶし程度に聞いてあげるけど…、どういう事なの?。」

「…せんせーが都から居なくなってから、一人の尼さんがやってきたんだ…。」

"尼"と聞いて、神美かみ黄龍ファンロンは目を見開いた。
まさか…自分達が今捜している尼ではないのか…

「それって…薬師如来やくしにょらいって呼ばれてる奴?」

「え!?知ってんのか!?」

「まあね…。そいつ捜しててこの国来たようなもんだしぃ~」

「…せんせーが居なくなった後、沁華シンファ様がこの都に来て─────……"男のアレ"がなくなる病が広がったんだ…」

「……………はあ?」

「アレ?」

顔を真っ赤にして琳瞳リンドウは「だから…」ともじもじとしている。まあ、これくらいの歳頃だと恥ずかしがるものなのか……。
然し、奇妙な病だ───

(男のアレが無くなるなんて……変なの…)

「アレってなに?」

《そのクソ悪徳大医を殺したのは…あまだ》

赤龍ホンロンがこの間言っていたあれは……

「!…まさか───」

「ねぇねぇ、アレって───」

沁華シンファ様は…男のアレをこの世から消そうとしてるんだ……。…会ったらオンナ男たちも取られちまうぞ!!」

「……お前はまだ…付いてんの?」

「ばっ…ばかやろう!!当たり前だろ!!。沁華シンファ様は15歳以上の男しか取らねぇんだ!」

「ふーん、あと五年じゃん。で、それでどうして君の姉ちゃんが可笑しくなるわけ?」

「ねぇ!!アレってなに!?」

黄龍ファンロンはウザそうに仕方なく神美かみに耳打ちする。
顔を真っ赤にさせ、その場でばたりと倒れた神美かみを見て、溜め息をついた。

「…オラの姉ちゃん、足が悪いだろ?。……そのとったアレを使って…足を再生させるって…。一回足を切断して…そのアレを使った薬を飲めば、健康な足が生えてくるって言ってたって……そんな事あるわけないのに…姉ちゃん信じてんだ───オラが何回言っても、姉ちゃんは取り憑かれたように…」

「…ねぇ、この都で夫婦となっているもの達って…その場合はどうなるの?」

「夫婦だったら切られることはないらしいけど…。でも、病気を持ってたらやばいから…前に皇帝様に仕えていた太医様がやっていた"健康診断"で異常が無かったら認めるって…」

太医は青龍チーロンの事だろう。
でも、不審がられないように敢えてそれを口実にして利用をしている…

(どの道、夫となる者のアレは切られる。)

「だから…、せんせーには結婚して欲しくないんだ!!……だって、オラ……」

青龍チーロンは、ワザとああやって言ったんだよ。…その尼に会うには手っ取り早いと思ったのと…(まあ、後は腹が立ったんだろうけど)」

「そ、そうなの!?じゃあ…せんせーのアレ取られない!?」

「取られる前に、斬られるだろうね」

自分以外に優秀な薬師や医者がいるのは、やっぱりいけ好かないというのがあるのだろう。
やっぱりそういう所は、誰よりも人間っぽいと思う黄龍ファンロンだった。
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