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2人の狼

左耳とピアス

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近い。
最近、セリはキースと距離が近い。

まあ、キースの方にもセリにも
熱視線というのはないのだが。

ただ、戯れているだけだろう。
年齢が近いからか、似た趣味を持っているからか。

良く魔法の話をしたり、魔術の本の話をする。

・・仲が良いようだ。

そんな時にも膝の上に乗せる事はできているが、
紅茶を淹れる時には立ってしまう。

そして気をつけなければ戻ってこない。
要注意のタイミングだ。

そして、
キースと言い合いしているセリが
こっちを向いてくれないので、…ちょっと面白くない。

ヨシ!匂い付けしておこう。

ナデナデ

ぎゅっぎゅっ

セリはわかっていない顔をするが、
カナンは呆れ顔をして、わざとらしくため息を吐く。

またかと顔に書いているのは、キースとシュルト。
この2人はアイコンタクトで喋ってる時がある。

『どうにかならないの?』
『諦めナサイ』ってところだ。

全く。グスタフを見習え!
『特に感想はない』って顔だ。

別に良いだろ?番なんだから。

後ろから髪がかけられたセリの耳を見る。

耳みは未だにピアスがついていない。
右耳には婚約中の印に、耳飾りをつける風習があるが。

王都では、
恋人、婚約者に
腕輪や指輪を贈るらしいと聞いた。

両方、セリに贈りたいな。

自分の髪や瞳の色を贈るのが一般的らしい(シュルト情報)

ピアスは色を決めている。
黄色が良い!

モノは、魔力で吸い付く魔石で、“奇跡の貴石”と呼ばれているくらい
採掘で得づらい。

加工すれば、一見してわからないが、
その貴重な石は2つの魔力を流してキラキラ光る。

特別なモノをセリに身につけさせたい。
俺のものだという証にもなる。

今もグスタフを巻き込んで探しているが
中々、見つからないが、手に入れて見せる!

そんな逡巡をしながら、
膝の上に乗せセリの左耳を触る。

指で擦るように耳朶を確認した。


セリの両耳に着けるのは、
左耳は、俺の瞳の黄色。

色合いまで同じモノが見つかると良いんだが。

髪の色ではない理由は、
セリを邪な目で見る輩を射竦めるため。

この者を守護する、邪を睨む。
そんな昔の邪気払いがあるらしい。

もちろん俺がセリを守るが、こういう物もあって良いだろう。

右耳の色は、セリの色にして俺も揃いのものを。
同じ時を過ごしていくという、結婚してからの習いだな。

その頃には、衣装も揃えて
その前に、ドレス姿だな。王都でしっかり揃えよう。


俺はピアスも腕輪のどちらかならつけても良いな。
防御力を上げられる、良質なのを手に入れたいな。

心に止めておこうと決め、

熱心に話しているセリの横顔を覗こうとする。

空気扱いされているのを感じ、
悪戯心で右耳にちゅっと接吻して、

ハムっとセリの耳を、口に含んだ。


ビクゥ!!硬直したセリの出来上がり。

ちゅっと耳を解放しても
まだ固まっているセリを撫で、


受け入れてくれる日が楽しみだと思いを馳せた。
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