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出会い

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それは出会いだったのか

ただのご近所さんだよ


でも女の子達は、妙な反応をする。

『きっと好きなんだ』
『一緒にいたいんでしょ?』

『あのぼーっとした子が好みなの、変わってるよね。』


こういうのは、反応するだけ面倒なんだよね。
そんな本音を隠して、素気なく答えた。

「町のよく使う場所を案内しただけだよ」

これ以上、揶揄えないと思ったのか立ち去った。
何が楽しいんだろう。

彼女達の興味とか、心情とかに共感を得られなくなっている。
まあ。学園に行くまで離れるしかないかな。

狭い町での暮らしは、少し窮屈で。新しい人というのは興味がわく。

だって、蛇獣人のキースは独特のリズムだけど
勉強はよくできている。教会での授業にもすんなり馴染んでいた。

頭が良い子がモテるというのが通説だったけど、
のんびり周囲に合わせないキースは、みんなとの距離があった。


言われたら答えるけど、それまではぼーっとしている。
女の子達は最初構っていたけど、会話が盛り上がらないから

もう興味を削がれて離れている。

私は勉強の事で声をかけてみる。
私の興味はお料理だけど、調味料とか料理方法って勉強すると原理がよくわかるって。

勉強頑張る

学園に行っても成績を上げてみせる

「本を読んでいろんな料理を知って、そこからは考えていないけど」
将来を決めるには、まだ知らない事が多すぎると思う。



キースは、黙っているしたまに聞いていない様子だけど
私は勝手に喋っているのも、まあ問題ないかな。

「キースは、何がしたいとか決まってるの?」

お父さんは商人だから、商人にって感じじゃないなと思う。
本人も手伝いなどしていないから、違う道を思い描いているのかな?

うちはお父さんが農業をしていて、お母さんが花の加工をしたものを売りに出している。

お母さん同士が仲良くなって、ナーナさんは料理上手。
しっかりした知識と経験が必要で、学園で勉強できる事もあるらしい。


私の目標は明確になった。けど、それからどうするのかは決まっていない。


よく2人でいたから、
男女の間に友情は成立するか?


なんて話題に上ったようだけど。そんなの今はどうでも良いって思う。

楽しい時間に、水をさす言葉なんて気にしない。
話をして仲が良いって訳じゃないけど、同じ時間を過ごすのは心地よい距離だった。


キースとの淡い関係は、学園に入る年齢までのんびり続いた。
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