上 下
4 / 20
聖レスク学園

学園の日々

しおりを挟む
淡い記憶は、いつしか思い出になる。

「幼馴染との恋、ロマンスよね~」
学園で友人となったミミカは、そう言って手を祈るように組んだ。

お料理の勉強をしたいとミレーネは両親に伝えたところ「学園は出ておけ」と両親に勧められ、
町出身の子達と一緒に学園に通う事になった。3年間の寮住まいになる。

恋愛に恋焦がれ、素敵な相手とお付き合いを望む声が女子の声で聞こえる。

さっきまでの詩の授業で、恋愛物語の影響だ。

学園で迷わなくなってきた最近、周りを見回す余裕が出てきた。
私の幼馴染はキース、蛇獣人で彼も学園に来ていた。

廊下を歩いていると、視線の先にちらりと彼の姿が見えた。

男女で違う授業もあるため話す機会はほとんどない。
成績は良く、授業の時間を起きていられるようになっている。出会った頃、蛇獣人の体質で苦慮していた彼だが、成長するにつれ緩和していた。

「これ、うちの今日の夕食ですけど良かったら食べて」

両親同士の交流があり、母がキースの両親がいない昼食時に彼を招いていた。
キースのお母さん、ナーナさんは香辛料に詳しくって料理上手の母と話をよくしていた。
その中で、料理とは薬にもなりうるのかと興味が深まった。


「料理のための勉強の基礎を学んできなさい」

そう両親に送り出され、意気揚々と来たけど。
「町と色々と違い過ぎるわ」

そう町から出てきた皆が、ため息をつくほど王都は凄い。

“人も物も、ルールさえ違う。”

男子、女子と分かれるようになった。
私はそこまで意識していないけど自然と流れで

「慣れないよねー。強く主張をした方が勝つ!みたいな。」

貴族もいる学園は、派閥があって皆が親の職業を意識する。
その上下関係や関わりを権力順に並べて見ていた。


それが私にはとても合わない。

「お尻の座り心地が悪いわ」
「そうね」

ミミカの率直な意見に同意する。


こんな会話も、誰かに聞かれているような気がするから。とても息が詰まりそう。


「今日は、何食べる?」
「そうね、お肉かな。」

「昨日もその前も、そうだったじゃない。」

私の今の目標、ミミカの野菜嫌いは治せるのかな?


食堂への人の流れで、もうキースは見えない。
寮でも顔を合わせる機会がなく、久しぶりに顔を見た気がする。

それも、すぐに話に行けないのは

(自己保身というものを覚えた成長なんだろうか?)

それにしては、モヤモヤする気持ちが胸にあった。


「距離が空いたなあ」


そんな彼をなんとなく視線で探して、幼馴染の間にできた距離を感じた。
これが大人になるって事か、と思う事にした。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:426pt お気に入り:147

ニコニココラム「R(リターンズ)」 稀世の「旅」、「趣味」、「世の中のよろず事件」への独り言

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:355pt お気に入り:28

麻雀少女青春奇譚【財前姉妹】~牌戦士シリーズepisode1~

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:908pt お気に入り:68

疑う勇者 おめーらなんぞ信用できるか!

uni
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:511pt お気に入り:246

叶うのならば、もう一度。

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:15

聖夜の泥棒

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

チューター! ~あなたの桜、咲かせます🌸~

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:1

処理中です...