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巡礼
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三左は長屋の一室に男を押し込んだ。
それについて来て「あ、この人だ。」と言ったのはおすみであった。
おすみが橋の上で見かけた違和感のある男のことは
三ちゃんにも話していた。
後に男の住まいから財布が見つかりしょっ引かれることになるのだが。
今のところは、大道具の入った長屋でふん縛っている。
「ヤクザものではないのか?あの御仁は。」と芸人の貞吉にこそりと聞いてきた武士。
顔で判断していたのだろう。言動もそれっぽい三左が付き従っている。
そう見えるな納得するが、貞吉は否定した。
酒を酌み交わし
手下として働く三左がヤクザ者に間違われるのは良くあることで
この長屋で顔を合わせて人となりを知っているからこそ、挨拶くらいはでていた。
親父殿、いや弥治殿は北町奉行の配下
武士であり十手を預かる身。今日は非番だった。
しかし少しおかしいと思う
ここのお狐長屋の管轄は寺社奉行でその土地に立っている長屋。
色いろあって長屋を褒美で承ることになったが今気になるのは違う。
おすみと三左は入り口で聞き耳を立てる。
仕切り直しと場を設けて四人が座る。
部屋の主のおとそ
奥の上座には木下弥治様
次に武士、下座に芸人の貞吉が座った。
武士が無礼を詫び、挨拶をする事には
「知人が掏摸にあいまして、
二本差しの男だったと話を聞き込みました。この長屋の方へ向かったと…」
事情を話す。
おすみが慣れたようにお湯を沸かし、
おとそが茶を淹れて茶菓子と一緒に出した。
饅頭だ。
おすみは自分の分が減ったが、食べられない訳でははいので我慢して下がる。
事情がしれ、今度は貞吉が
お茶を飲み心を落ち着かせ独白するように話をする。
「筋はまあまあ良く大人しい男です。羽振りの良さは
貢がせているのかと思っていたのですが。
人気も商売柄必要で。
隠れてそんな悪事を…。」
見る目がなかったと悔しむ。
幼馴染と組んで掏摸をはたらいた見習いの男
その処遇は、
「南町奉行所の扱いだったか」
入れ墨ものになりlところ払いになるだろうと弥治様はおっしゃった。
「芸人の矜持として掏摸なんて事をやったとは。」
掏摸を仕事と宣うほどの手技が必要だ。
それについては、予想だがと武士が言うには
幼馴染が掏摸に及ぶ前、気をそらす役割だったのではとの事。
その時は、侍の格好をして竹光を刺し、三男坊風の出立をしていたそうだ。
それをおすみが見た。
違和感は、まるで芝居の役者のようだったからだろう。
そんな話があってその事は忘れていった。
日常が戻る。狐の祀る神社の敷地にある珍しい長屋。
そこに、四本足の動物がかけてきた。
「犬?」
愛嬌のある黄金色の動物は大人しく、首から何か下げている。
「これは御参りに行く最中なの?」
おすみは尋ねるように言った。
“お伊勢詣り”は憧れ。しかし旅に費えは必要。
下働きなら尚更、出るのは躊躇われる。
上手くいくのは稀。
そんな一生に一度は行きたい気持ちを思いを犬に託して、お伊勢詣りに思いを馳せる
なんてこともある。
おちかから聞いた話だった。
おちかは
「みな仲良く暮らしていけますように。」と願う。
まだおっとうが帰って来る知らせは来ない。
それでもおすみはお狐長屋で待っている。
平穏を願い、手を合わせた。
おすみが毛を撫でているともういいだろうと言いたげな顔をした。
そして、
「ケン!」と鳴いて何処かへ行ってしまったのでした。
お了まい
それについて来て「あ、この人だ。」と言ったのはおすみであった。
おすみが橋の上で見かけた違和感のある男のことは
三ちゃんにも話していた。
後に男の住まいから財布が見つかりしょっ引かれることになるのだが。
今のところは、大道具の入った長屋でふん縛っている。
「ヤクザものではないのか?あの御仁は。」と芸人の貞吉にこそりと聞いてきた武士。
顔で判断していたのだろう。言動もそれっぽい三左が付き従っている。
そう見えるな納得するが、貞吉は否定した。
酒を酌み交わし
手下として働く三左がヤクザ者に間違われるのは良くあることで
この長屋で顔を合わせて人となりを知っているからこそ、挨拶くらいはでていた。
親父殿、いや弥治殿は北町奉行の配下
武士であり十手を預かる身。今日は非番だった。
しかし少しおかしいと思う
ここのお狐長屋の管轄は寺社奉行でその土地に立っている長屋。
色いろあって長屋を褒美で承ることになったが今気になるのは違う。
おすみと三左は入り口で聞き耳を立てる。
仕切り直しと場を設けて四人が座る。
部屋の主のおとそ
奥の上座には木下弥治様
次に武士、下座に芸人の貞吉が座った。
武士が無礼を詫び、挨拶をする事には
「知人が掏摸にあいまして、
二本差しの男だったと話を聞き込みました。この長屋の方へ向かったと…」
事情を話す。
おすみが慣れたようにお湯を沸かし、
おとそが茶を淹れて茶菓子と一緒に出した。
饅頭だ。
おすみは自分の分が減ったが、食べられない訳でははいので我慢して下がる。
事情がしれ、今度は貞吉が
お茶を飲み心を落ち着かせ独白するように話をする。
「筋はまあまあ良く大人しい男です。羽振りの良さは
貢がせているのかと思っていたのですが。
人気も商売柄必要で。
隠れてそんな悪事を…。」
見る目がなかったと悔しむ。
幼馴染と組んで掏摸をはたらいた見習いの男
その処遇は、
「南町奉行所の扱いだったか」
入れ墨ものになりlところ払いになるだろうと弥治様はおっしゃった。
「芸人の矜持として掏摸なんて事をやったとは。」
掏摸を仕事と宣うほどの手技が必要だ。
それについては、予想だがと武士が言うには
幼馴染が掏摸に及ぶ前、気をそらす役割だったのではとの事。
その時は、侍の格好をして竹光を刺し、三男坊風の出立をしていたそうだ。
それをおすみが見た。
違和感は、まるで芝居の役者のようだったからだろう。
そんな話があってその事は忘れていった。
日常が戻る。狐の祀る神社の敷地にある珍しい長屋。
そこに、四本足の動物がかけてきた。
「犬?」
愛嬌のある黄金色の動物は大人しく、首から何か下げている。
「これは御参りに行く最中なの?」
おすみは尋ねるように言った。
“お伊勢詣り”は憧れ。しかし旅に費えは必要。
下働きなら尚更、出るのは躊躇われる。
上手くいくのは稀。
そんな一生に一度は行きたい気持ちを思いを犬に託して、お伊勢詣りに思いを馳せる
なんてこともある。
おちかから聞いた話だった。
おちかは
「みな仲良く暮らしていけますように。」と願う。
まだおっとうが帰って来る知らせは来ない。
それでもおすみはお狐長屋で待っている。
平穏を願い、手を合わせた。
おすみが毛を撫でているともういいだろうと言いたげな顔をした。
そして、
「ケン!」と鳴いて何処かへ行ってしまったのでした。
お了まい
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