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番外編

神父の憂慮

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運命神の教会は
悩める人々に手をかす場所

運命とは時に厳しく
また、突然の喪失に見舞われる

人々のその苦しみや痛みを和らげることに
身を捧げたい。

そんな教義を掲げ、
悩みを聴き、
共に祈る。

日々の暮らしや悩みを聴くこともあれば
突如降りかかった死を嘆く時を
共に寄り添う

教会にある孤児院も
教義と信仰、救済の一助になればと

子供たちを集めている。

世の中の辛酸を舐めただろう子達は、
子供らしくない子が大半だ。

貴族の子のように
教育と呼ばれるもので
そうなっている事もあるが。

このたびの子は、その例に当てはめられないと思った。

年齢は9歳

手には剣だこ
日常的な鍛錬の賜物だろう。

死にかけたというのに、達観しているのは年齢にもそぐわない様子だ。

涙も見せない子に我慢や感情の爆発を心配したが
あの子が取り乱すことはなかった。

どんな教育…というより生活を送っていたのだろう。
一般的な貴族の教育とかけ離れたものを感じた。

身体の傷もさることながら、
睡眠が慢性的に不足していた。
ここに来てしばらくは、目の下のクマが消えなかった。

寝ることが怖いように起きて外に出る事もあった。
警戒しているのを知られないようにしていた。

子供のような素振りのない子だ。


栄養状態は問題はないだろうが、味を少々感じていない節があった。
毒のせいだろうか?と思ったが…、

ストレスのせいではないかと治癒士は話した。

本人に聞けば、以前から兆候があったらしい。
毒の類だと思っていたと話してくれた時は、この子への厳しい神の試練に胸が痛む。

祈りを捧げた。
以前の境遇を乗り越えて、今は健康的な生活を過ごして欲しいと思う。

頭が良く、気立ても良い子だ。

貴族とバレないよう身を隠す日々になってしまうと予想できた。
あの子の道行きは平坦にはならないだろう。

私は教会の神父として


セリュート、彼の墓を守ろう。

セリ。彼女の旅の安全を祈る。
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