【完結・10話】成人と認められるには、『皇女様への供物を得なければならない』が掟で幼馴染と結婚できないない?!

BBやっこ

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6 ギルの冒険

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「そっちだ!」

巨躯に、羽を広げて威嚇の声をあげている。
それを、崖の木の上から見つめる3人がいた。

「魔鳥は素早い」
「跳ぶしな」

「飛ばないのが、救いだな。」

山頂で、凍りついた木の実を温めて食べる。
この時期なら、他の木の実も成っているため狙いやすい。

「お前のじゃないっつーの!」
「さっさとよこせやああっ」


うるさく、魔鳥に向かっていく声を聞きながら。オレは木の実を採取している。
オッサンは見張りと言いつつ、さぼっているよな?

高い場所にあった木の実を3個ほどとった。
大きさは片手でなんとか持てる大きさ。雑に持っている男に文句を言う。

「あんまり強く握ると、指の跡がつくぞ」
「半分凍ってるようなもんだろ、だいじょぶだって。」

柔らかい果実は、指に跡がつくとかなり音が下がる。
見た目が大事
な部分もあるが、味は変わらねーだろと文句を言う冒険者も多い。

「まあ、苦労してとってきたのに文句を言われんのも癪だけどな。」

あっちも商売。こっちも商売、な。
さっむい山頂に行って、巣を探してとするほどの労力が木の実にあるのかは疑問だ。

「こんな実、食ってうまいのか?」
「齧るなよ」

「やるかよ!歯が欠けるわっ」

味は珍しくもないらしいが、凍った木の実は夏まで瑞々しさを保つらしい。
凍結した果物は、熱い夏にはうってつけの美味で喉を潤す貴重なのだとか。

「宝物より尊いってこれがか?」
「さっさと食える方が、絶対いいよなあ。」

ちょっっと腹減ってきたんだな。
こっちの仕事は終わりで、あとは撤退だ。

もう1箇所見に行くつもりだったがどうすっかな。

「あのトリも夏までまつのか?」
「そこまで待つか?」

「温めて食うんじゃないのか。」

「「ああ!」」
「だから懐に入れ込んでるのか。」「どんだけ好きなんだよ!」

たぶん美味いらしい木の実に特に興味はないな。
さっさと布でくるんで、手に入れた木の実を丁寧にカバンへとしまう。
3つだけ。もう1箇所はどうだっただろうな。

「地味ぃ。」
「陽動は基本だろーが。」

「思ったより小さい魔鳥だな。」

その魔鳥はまだ粘っている。若くて周りの状況に気が配れないのか。
オレらが木に近づいたのも見ていないな。

「勝負つくかなアレ?」
「どっこいどっこいだな」

魔鳥対、若い冒険者3人の構図だが決着はつかないか。

「さみいーし、先に行っとくかー。」
「いや、合図しないと。」

木の実がなくなれば、魔鳥は棲家を移すだろう。
場所がわからないし、木の実は高く売れないし依頼もこない。

普段ならハズレの依頼だが、今回はギルドかからも出るようになっている。
木の実は、この時期でないと<蕩けて採取できない状態>らしい。

「この寒さに、あの邪魔な魔鳥。」
「利が薄ーい、木の実じゃなあ。」

「不人気な依頼な訳だよ。」
「地味なのも好まれないからな。」

それにしても騒がしくやってるな。足元凍ってるから隅に行くと滑るぞ?

「おーい終わったし、戻るぞお!」

「アイツの木の実ももらう!」
「お命ちょーだいっ」

巣にある木の実狙いか。あんだけ暴れていると、木の実が崩れる可能性が高いんだがな。
「骨折り損になるより、さっさと捌けるのが常だが逃げられる事のが多いが、あの魔鳥も売れる。」

意外なオッサン情報が出る。

「肉はまあまあなんだっけ?」
「羽が売れるんだよ。腹の部分があったけえの」

「お貴族様には、白い素材はウケが良いんだぞ」


へえと魔鳥の知識を得てそろそろ終わるか?と高いをところから眺める。

「この舞い上がった羽も売れるのかな。」

一応、取れるものを回収した。

討伐したとして、保存の事もある。
「運ぶの、たるいな。」
「アイツら考えてないだろ。」


「次の依頼でバテてたらしょうがないんだがな。」

まだ体力勝負の仕事が残ってるんだわ。
明日になるだろうけど、移動に罠を引っ張り上げると盛りだくさん。


海に近い場所を拠点にして、戻ってきた面々にたいした怪我もなく終われた。
夜もさっさと寝て、交代で見張り。

「ギルドに納めて、あとはおまかせだろ?」
「いや、成人するヤツは皇女様に拝謁するんだ。」

「なに?見染められちゃったりして?!」
「んなわけないだろ、顔も見えないくらい遠くからだわ。」

面倒だと思いつつも、やる事やって早く認められたい。
そしたらアンナと結婚。


早くその日が来てほしい。オレはさっさと寝た。


そして朝。


「おー。」
「おう。出るぞ。」

海で合流した。すでに
追い込み漁と、網を引っ張るまで準備されている。




「網を引っ張れーー!!」

単純な力作業だ。
ここまでの準備が大変なんだけどな。
オレらは力を出すだけで良い。




「若人、がんばれよー」

「オッサン!もうばてたのか」
「ああ、疲れてよお」

「嘘だろ、サボんな!」

「オッサンが楽を覚えやがって」

文句を言いつつも力で引っ張る。
体力はあるものの、力勝負はまだ部が悪い。

時間がかかったが、魔魚を引き上げた。



「これの解体、任せるのか。」
「毒も持ってるから、スキル持ちじゃねーとできねえのよ。」

「食べる箇所が少ないんだって?」

「毒は売れるらしいぞ」

「何に使う毒か聞いちゃいけないんだろうな。」


成果は得た。

横たわる大きな魔魚と手に入れた木の実。

「これで成人の証になるのだろうか。」

片付けが終わったら集まった冒険者達は、バラバラと散っている。

オレは早々に、アンナの顔が見たくなって街に帰った。
オッサンとうるさい男が後ろについてくるのも気にならず、足を動かした。
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