【完結】人形騎士への嫁入りが決まりました。<短編>

一時帰宅

「帰ってしまうか？」

執務室の外、呼ばれたのだろう馬車が止まっている。

客人が帰るのだろう。

(突然怒ってしまったからな。)

あのジュースは、
美のジュースのレシピに秘密にされた物が入っている。


これにより、普通のジュースが美のジュースになる。
そうだ
「帰りたまえ」そう言うことに決めた。

このレシピの事は話せない。

(よく気付いたものだ。)目が良いのだろうか？
包装が減ってきた。分けて頂かないとな。


ミカエラ嬢が出て行くのを見送りに行くか
私が見送りに行くのは嫌味になりそうか？と迷っていた。


そんな彼女荷物が、まだ客室にあるとは知らず。
私は、後から運び出すのだと勘違いしていた。



実家に帰るとすぐに会えた。
「ただいま、お父様。
あら、再婚のお相手はいらっしゃらないの？l

「どのだい？」

この答えがふざけていないのを知っているので、
『さあ？私が知りませんわ』という仕草で流した。


「ところで、美の薬にどんなものが流行っているか教えてもらえませんか？」
「おや、金食う趣味に走るのかい？」

「いいえ私が使うのではなく、何が使われてているか興味があるのです。」
「ほお？まあ当てると儲かるがな、効果が眉唾なものか不味いものだ。」

「紫色のものはありますか？」
「紫？」

じっと父が考えるのを待つ。
興味のある事や、書類の内容を覚えるのが得意だけど

人の顔は忘れやすい。
特に今の事業に関係なくなった途端忘れるんだから。

父のピシっとした格好に騙されるのよって母も言っていたわ。
私に母は、父のやる事、悪戯と呼んでいるものに賛成している。

そのために離婚した事にして、実家に戻り商売している。
貴族だから、第二夫人を勧める事もあるけど


正妻になれる
と言う触れ込みのが、いろいろきて面白い


面白いって何よ？私の迷惑もあるのよ！

フツーじゃないわ
お陰で私のフツーの令嬢と言えないわ。


「商人の間で、幻と言われる紫の実がある。
粉末にすると白く、液体に注ぐとそれは綺麗な紫色になるとか。」

「粉末を入れると、紫ですか。」
「見つけたのかい？」

「いいえ、まだ。」そう含ませて答え、父に問う

「なぜサイアス様と婚約を？」

ニコッとどうとでもとれる笑顔で
「玉の輿だよ？」

貴族らしい返答だけど、本音は面白そうだからに決まってる！
そういう父なのだ。

「子爵家の跡は従兄弟を養子にするよ？」
結婚しなくても良いという意味だけど、そこはまあどうでも。

「それはいいですけど。お父様、悪い癖が？」

ニッ笑って言う
「あばきたいのさ」

それが、
不正を暴いたって功績にされるが、ただ秘密をあばきたいという事もある。