【長編・完結】この冒険者、何者?〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

BBやっこ

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はじまり

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まだ日が昇らない間に起きたが、今は2度目の覚醒だ。

「起床時間というのは、習慣化されやすいな。」

どうでも良いことを口に出して、簡単に身支度をする男。

こざっぱりとしたら、街でよくある格好に着替えた。
冒険者の依頼の取り合い時間はとっくに過ぎており、この部屋からは見えないが朝市の活気が大気を通して伝わってくるかのようだった。

この常宿からではその様子を見ることはなく、民家や倉庫代わりの家が多いため動き出すヒトは少なく静かだ。


「今日ものんびりしますかね」

普通の冒険者を名乗るには相当、懐の温かいのだろう。
実際、男は生活に困っている様子はない。


たまの冒険者活動も運動がてら行く程度で、中堅の冒険者であると認識されている。

どこの所属もない事から、勧誘が激しくないものか?
事実、冒険者ギルドから勧誘禁止を周囲に出している。


その事実だけで、何かあるのだと察する者。
頷かせればどうとでもなると考える者。

様々な思惑があるものの、男に吹っかける者は居なかったか?


居なくなったが正しいものの、そんな輩に興味を持っても…。




誰が気にするというのか?


冒険者には危険がつきもの。それには犯罪もあり、魔物の脅威もある。
それを乗り越えられてこその、強者の二つ名や呼び名が付くというものだ。


そんな世界で『優雅な冒険者』と認識され、『騎士さま』と呼ばれる男の日常の話。
けして表向きに語られない部分も、記されている物語り。
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