【長編・完結】この冒険者、何者?〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

BBやっこ

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商会に到着

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「そっちは、冒険者?」

「ええ、商会の紹介で乗せてもらってます。」
駄洒落みたいになったが、今回は護衛依頼として受けずに馬車に乗せてもらう代わりとした。


柔らかく笑った男を見る憲兵は怪しい者を見逃さない。愛想に良いものは詐欺師か疑う所存だった。
それにしても馭者の横に座っている男を見て、戦えるのか?と訝しむ。

武装も凝ったものじゃない。名前も聞いたことない冒険者だ。魔法を使うようには見えず、穏やかに微笑む。

(貴族のお忍びか。)
そう結論づけて、商会の信用もあり通すことにした。

「異常なし」
積荷の方も問題ない。馭者は礼を言って街に進んで行くが、もう憲兵は次の馬車に意識が移っていた。


真っ直ぐに商会へ向かう。馬車を預かってもらい、部屋に通され茶を出された。

知った顔の商会員に挨拶をして世間話を始める。

「クランが騒がしくってな、衛兵もピリついていて困ったものです。」
「元気があり余ってるんでしょうか」

「喧嘩っぱやくて。クランで固まっていれば反発心も育つんですかねー」
「そうじゃなくても夜の店で、惚れた腫れたってなー」

興味があったら良い店を紹介すると話が及んで、遠慮した。
代わりに良い酒呑めるところを紹介してもらう。自慢の処から、変わり種まで出てきた。

「馬車で運んでくる魚類が珍しくってな。」
「陸地で魚は珍しいですね。」

「魔物の肉を調理する店も多い、それに合わせての酒も新しい物が入りやすい。」

商会で取り扱っている酒を3本買う事にして、昼食を奢ってもらう事にした。



隠れた店みたいなものもあり、夜を本格的に探索する事にして腹ごしらえの散歩をする。
人が多く、掏摸に注意するべきだろうが…

風と林が寄せ付けない。

人だけが、掏摸の行為をするだけでなく“妖精に悪戯される”可能性もあるのだ。
金を目的ではなく、ただ悪戯をすることが目的である。

そういった輩に目をつけられないための護符やおまじないもあるものの精霊の加護がある者は、護られる。

上下関係みたいなのがあるのかと研究書に考察されるが、標的にしても面白くないという理由だったりする。
享楽的か、好きなように過ごす妖精ならではの感覚からだった。

人の都合や、金銭的価値がわかっていないので

時にただ落としたかと思うような買い物メモや、高価な品が消えるが。
それを見つけるのもまた、おまじないとして職業になっていたりするのだった。


妖精屋さん

個人の能力による仕事だが、なかなかに繁盛する店もあるんだとか。
そこを通り越して、街を歩いた。
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