【長編・完結】この冒険者、何者？〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

街

朝食

朝早く働き動いている気配に少し仮眠して、朝食をもらいにいく事にした。
街は日が昇る前から、活動しているようだ。ご苦労な事だとすぐ眠りに着いたクリスだった。


そしてほどほどの時間、ひと通り仕事に行く商人達が落ち着いたのを見越して階下に降りて来た。
今朝焼いたパンに、厚いベーコンと茹で卵。

食後は、挨拶を交わした寮に泊まっている商人達と茶を飲む流れになった。昼から店に行く意向らしい。
年嵩のある3人だ。

「お、コーヒー飲めるのか？！」

コーヒーにかわった。一部は紅茶だ。

「苦いのはどうもなあ」
「ミルクがあるけど、入れるかい？」

料理人からお礼を言ってミルクを受け取り慣れていない者には、薄めにコーヒーを淹れてみる。
コーヒーの淹れ方についても談義しながら、4人に行き渡った。

お茶受けがわりにと、木の実を提供すればクッキーを出してくれた。

「砂糖はどうだい？」

1個、2個といれ、ざばっと山盛り入れられるのを見た。クリスは無しだ。

「女性向けのコーヒーには、ミルクと砂糖がたっぷりで出ますよね」
「冷たいコーヒーというのも飲んでみたいな。」

「あ、砂漠の王族が飲むというアイスコーヒーですか。あの暑い国で飲む冷えた飲み物、甘露でしょうねえー」

「エールも冷えていると別物よな。」


小柄な男、犬の耳を持つ男に若くみえる男。商人として揉まれて来た堂々とした気風が、今はリラックスしている。砂糖の少ない順で紹介してみた。


「今日はもう、出かけないでゴロゴロするよ」
獣人の御仁は、昨日の夜この寮にたどり着いたらしい。

ここまでの旅の話に移った。
「海鮮はご当地の味の良さだよね。新鮮なものほど美味しい！」

「あの外れれば湯治に行けるな。ご当地饅頭を土産にもらったわ。」
「温泉まんじゅうはそこそこうまいが、あの場で食べた味が、なんであんなに美味いんだろうなあー」


「黒い砂糖を使ったやつか。白なら貴族様に受け入れられるか？」

「どうだろうな、歯につく感じが嫌われるんじゃないか。」


やはり、商売の話になるらしい。チョコの話、コーヒー味のお菓子。

「店を勧めてもらったのでお酒の味も良かったですよ。」

クリスが話に入ってみる。


「おー、お茶なら、あそこがあるな。」

こじんまりした店を紹介してもらった。

「昼食はそこに行ってみます。」

コーヒーを一杯飲み終わる頃、出かける事にした。その後…


「あの人、冒険者じゃないのか？」
「冒険者ギルド行かないのかの」


不思議な人だな、と3人に思われていたクリスだった。