【長編・完結】この冒険者、何者?〜騎士さまと噂の冒険者は全てを見通す目と耳をお持ちです〜

BBやっこ

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市場

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賑やかな通りに出る。フウとリンは姿を見せずとも、満足気な空気が伝わってくる。
さっき食べたケーキは気に入ったらしい。今、フウは透明になって漂っている。

リンは、まだ気になるものがあるのか、市場の物を眺めてひらひらと動き回っていた。
ガラスの細工、木の実のクッキー、木の素材。

たまに、気になる物があるが縁を繋ぐほどではないか。
こう言った雑多な物が集まり、出入りする場は妖精と関わる物が多い。


悪戯な物から、少し美味しかったり甘かったりする。その香りや存在が妖精達は気になるようだ。
それが視える者もいれば、相性が良く巡ってくる者がいる。

全く好かれない者もいるが、呪いのように滞るモノを引き寄せやすい。妖精や精霊とは相反するものだった。
物も人を選んでいると感じる光景だった。望む者のところへ行くため、誰かの手を渡る。そんな知恵や癖のあるものとはあまり近づきたくはないな。

そう言った者に好かれやすいとクリスは自覚があった。
存在が視え、妖精を連れて歩く男はちょうど良い運び人にぴったりなようだった。

(厄介事に巻き込まれるのは勘弁してほしんだけどな。)

振り回されるのは、ごめんだ。
他の人を捕まえるようにお願いして、引いてもらった。

穏便に済ませ、市場を気ままに見て歩く。

たまに寄ってくるモノに挨拶し、交流しているのを蝶が縺れるように行く様を思い出す。
買い物客も商売人も、その様子を見てはいなかった。

視えないのだろう。


気づかないモノも、目に映さないモノもある。
ただ、目に留める瞬間も愛おしめると良いと思う。


呼び込みの声が、するものの商品を並べている様子はない。

「我がクランに」
「一緒に冒険を!」


冒険者の呼び込みだった。
この人波をくぐり抜けて、進まねば目的の場所へは行けない。

捕まらないようささっと抜けようと一気に通った。

「ん?なんとか、なったな」

冒険者達に声はかけられなかった。理由は、冒険者に見えなかったから。

『どこぞの貴族?』

『お忍びとか』

見ない顔だなと、冒険者として勧誘はできなかった模様。
それに、捕まった場合は妖精の悪戯の集中砲火が待っていた。


何気に、危険を回避できたのかもしれない。冒険者としては危機察知ができていて長生きできるかもな。
そう眺めていたカザンは、魔術士の冒険者と思われ声をかけられながら冒険者ギルドへ入っていった。

どう気軽に声をかけられても応えず、徹底的に無視してひと通り見た後。出て行った。
その後、冒険者達に誰だあれ?と話題にされ“名のある魔術士”?その候補があがったが当たる訳はなかった。
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