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マリョクガクエンニュウガク
マホウ
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母さんの言葉を合図に、立っていたところの足場が消え、黒い穴に落ちていく。
母さんの姿が見えなくなって、どこを見ても黒だけの空間になり、段々と自分が今、落ちているのか、浮いているのか、はたまた動いているのかさえ分からなくなってくる。
「落ち着いて、目を閉じて」
突然、頭の中で若い男の声が聞こえた。
頭の中で知らない声が聞こえたことに驚きつつも、その優しく安心する中低音の声に抵抗する気が起きず、ただ言われた通りに目を閉じた。
「良い子だね、神のーーーーーーー」
優しい声が、また頭の中で聞こえたような気がした。
次に気づいた時には道の真ん中に座り込んでいた。
目を閉じた後から、記憶がはっきりとしない。
座っている俺の脇を風がすうっと抜けていく。
ここはおそらく、異世界なのだろう。
空は日没頃を示し、はっきりと風景を目に映させないが、ちょうど座り込んでいるこの一本道の他には野原が広がっているだけで、すぐ近くには人が誰もいないことがすぐにわかった。
ここは周囲より少し小高い丘のような場所らしく、一本道の片側の先は見えなかった。
もう片方は、ここよりもさらに高いところにつながっていて、その先は少し離れた場所のここからでもわかるくらいの大きな門のところまで繋がっていた。
ぶるると身を震わせる。
思えば、今の格好は玄関にいた時と同じ、長袖のTシャツとチノパンという軽装で、足元は頼りない靴下だけ。貴重品も持っていない。
ここも穏やかな暖かさのある春の季節のようだが、さすがに日没頃にこの軽装では肌寒さを感じる。
それに、あたりはすでに見えづらいと感じるほど暗くなってきている。明かりがない今は、とにかくどこか一晩だけでもいいから過ごせる場所を探さなくては行けない。
立ち上がり、土をはらって、歩き出す。
まずは道の切れ端がわかる方、大きな門を目指すことにしよう。
少し門のほうへ向かって歩き始めてしばらくした後、いくら門に近づいても建物の影が見えないことに違和感を覚えた。
いくら門が大きく、高低差があったとしても、建物の影が少しくらい見えるはずだ。
もしかして、この大きな門の中は何もなく、門の外のようにただの野原が広がっているだけだったりして。
そう考えた時、何かがパンと弾けたような感覚と、同時に何か膜のようなものを通りぬけた感覚を受けた。
不思議な感覚に一度歩く足を止め、周囲を窺ったが、何も変化は起きず、気にはなるものの、徐々に暗くなってきている空に背中を押されてまた歩き出した。
門の傍まで到着すると、門は鉄格子でできており、中が透けて見えるような構造になっていることがわかった。高さは大体2mぐらいあり、幅は車一台分はゆうに通れるだろう大きな扉だ。その門扉の左右は、赤茶のレンガが高く積まれている塀があり、それがかなり遠くの方まで広がっているようで先は見えなかった。
当然、すでにこの距離で中が見えている。
見えているはずだが、建物は一つもなかった。
本当に門の中はただの野原だった。
まさか冗談で思ったことが本当だとは思わなかった。
もう日はかなり落ちている。来た道を戻れば、最初に座り込んでいた場所にたどり着くまでに日は完全に落ちているだろうし、さらに先はどこまでつながっているのかは分からない。
そう簡単に諦めが付かない。
門の右側のレンガの塀に、文字の書かれた黒いプレートがついていた。
近づいてよく見てみると、そこに書かれた文字は日本語ではなかった。
それどころか英語でも中国語でもない、おそらく地球のどの語にも相当しないだろう。
普通はわからないはずの言語。
だが、俺はこの文字に見覚えがある。
『王立魔法学園』
確か、そのような意味のはずだ。
この文字は昔母さんから教えてもらった。
思えば、これが最初の母の願いだった。
当時、小学生の俺は覚えるのが精一杯で、何の為に覚えるのか、考える余裕はなかった。
その後、特に使うこともなかった言葉だから、今の今まで忘れていたが、不思議とよく覚えているものだ。
まさか、異世界の言葉だとは思わなかった。どおりで使うことがなかったんだ。
なぜ母さんは、異世界の言葉を知っていたんだろうか。
それに、その頃から俺が異世界に来ることは決まっていたのだろうか。
当の本人がいないから聞くことはできないし、とにかく、言葉に困ることはないようで安心した。
そんなことより、今はこのプレートの意味だ。
『王立魔力学園』
状況的に考えれば、おそらくここは母さんが俺に通って欲しいと頼んだ高校のことだと思う。
母さんは近くまで送ると言っていたし、間違いないはずだ。
だが、その学園はなく、ただの野原。母さんとの連絡手段もない。帰る方法も分からない。
やはり自分の見間違いで、門の中に何かあるのではないかと、門の中が野原しかないとわかりつつも、改めて門の中を詳しく見ようと門に手を伸ばす。
「ーーー!」
触れる直前、突然かけられた叱声に間一髪で指を止める。
そのすぐ目の前には、長身のガタイのいい男が立っていた。
その男は黒い髪で黒い目、おまけに肌の色も黒かった。
それだけでなく、服もすべて黒く、大きなカラスのようだった。
いつから立っていたのだろうか。
ここはただの野原のはずだ。
遠くから歩いてきたって、この大きな鉄格子の扉だ。
中の様子なんてすぐにわかるし、ましてやこの黒い大男の存在が見えないはずはない。
それに歩いてくる音だって、今まで聞こえなかった。
今は、門を挟んですぐ目の前で鍵を開けている男の息遣いすら聞こえるのに。
ぎいぃと鈍く音を立て、門の扉が開いた。
門の中の男と目が合う。
入れというように首を僅かに動かす仕草を確かに見たが、今はそれどころではなかった。
「いつからそこに…」
思わず日本語で投げかけた俺の質問に、男は端的に告げる。
「魔法だ。ーーーー入れ。」
魔法。
たしかに魔法ならなんでもできるのだろうし、異世界に来た以上、そしてあの門のプレートの文字『王立魔法学園』を見てしまっている以上、魔法の存在を信じない訳では無いが、理解が遅れる。
大男は周囲を警戒しながら、俺が入るのを待っている。
ここはとりあえず、目の前の男に頼るほかない。
門を潜りつつ、男に今度は落ち着いて、異世界の言葉で返事を返す。
「わかった。」
門をちょうど潜っている時、また門にたどり着く途中でもあったような、何か入る時に膜のようなものを通りぬけた感覚を得る。2度目の不思議な感覚に、首を傾げる。
「それが魔法だ。歩きながら話そう。」
男は一瞬ふっと顔を綻ばせ、その顔を見せないように手早く鍵を締め、門の中へと歩き出した。
俺も男に続いて門の中へと歩みを進める。
門の中は野原ではなくなっていた。
1つの立派な噴水と、それを囲むようにして建てられた3つの建物。門の扉と建物への道を繋ぐようにして敷き詰められた薄茶色のレンガの広い道以外は全て木で覆われていた。
もはや野原と呼べる部分が存在しなかった。
あの門の外から見えた草原は何だったんだろうか。
答えは男が教えてくれた。
「まず一つ目は、門の外から見える学園を見せないようにして、その代わりに幻を見せる魔法だ。幻は、門の中を見たい人がここに来る途中に考えた景色を魔法で捉えて、それを見せるようにしている。」
ここに来る途中ということは、あの何か弾けた感覚と膜の感覚の時のことか。
確かに、ちょうどその時に、門の中がまさか野原ではないだろうなんて冗談で考えていたけれど、そのせいでこんなことになるなんて思いもしなかった。さすが異世界。今度から気をつけよう。
ああ、返事をしないと。異世界の言葉ではこうか?
「……俺…には…野原に…見えた…?」
聞き取りは早口でなければ問題なさそうだが、こちらから話すとなると少し手間取ってしまう。
男は、俺の言葉をちゃんと待ってくれているようだ。
「野原は珍しいほうだな。この魔法は、魔法が最初に検知した想像を幻として映してしまうから、門の傍にたどり着く頃には違和感を生んでしまう欠点がある。野原だとかなり違和感があったのでは?」
違和感しかなかった。
俺が野原に見えていたのは、冗談でも考えてしまったものを魔法が検知してしまったからなのか。
それにしても本当に学園があって良かった。露頭に迷うことを覚悟しなくてはいけないことになるところだった。
「なんでこの魔法が使われているんだ?」
「ああ、それは、学園の中の様子を見せないようにするためだ。そのうちわかる時が来る。2つ目は、鍵がかかっている門に触ると、体が後ろに吹っ飛ぶ魔法だ。門のところで叫んでしまってすまなかったな。」
男は俺がこの話に触れるのをあまりよくないと思っているようで、続けて2つ目の魔法の説明に入った。
これは、おそらく、門を潜る時に感じた2つ目の膜の感覚のことだろう。
セキュリティとはいえ、触れただけで作動するとは危険な代物だ。それに吹っ飛ぶとは。
威力がどれだけか分からないが、門の外は障害物のない野原だ。一体どこまで飛ばされることになるんだろうか。
今更ながら、背筋がひやっとする。
もし触れようとした人がいたら俺も叫んで止めるだろうな。
「止めてくれてありがとう。危険だったんだな。」
「ああ。魔法を設置した人がいわく、内側だけに作用する予定だったらしいんだが、外側から触れた時も作動してしまうせいで門を潜れる日はかなり限られてしまっている。すまないな。」
男は門を潜れる日が少ないことを申し訳ないように言った。
帰る手段が分からないことといい、若干察しつつあるが、気に留めないでおこう。
どうせ後で説明があるだろう。
それから別に一つ、男の言葉に引っ掛かった。
なぜ、魔法を設置した人は、外側ではなく、内側につけようとしたんだろうか。
学園を守るなら、普通外側であるはずなのに。
その答えを聞く前に、俺達は噴水の目の前に到着してしまった。
母さんの姿が見えなくなって、どこを見ても黒だけの空間になり、段々と自分が今、落ちているのか、浮いているのか、はたまた動いているのかさえ分からなくなってくる。
「落ち着いて、目を閉じて」
突然、頭の中で若い男の声が聞こえた。
頭の中で知らない声が聞こえたことに驚きつつも、その優しく安心する中低音の声に抵抗する気が起きず、ただ言われた通りに目を閉じた。
「良い子だね、神のーーーーーーー」
優しい声が、また頭の中で聞こえたような気がした。
次に気づいた時には道の真ん中に座り込んでいた。
目を閉じた後から、記憶がはっきりとしない。
座っている俺の脇を風がすうっと抜けていく。
ここはおそらく、異世界なのだろう。
空は日没頃を示し、はっきりと風景を目に映させないが、ちょうど座り込んでいるこの一本道の他には野原が広がっているだけで、すぐ近くには人が誰もいないことがすぐにわかった。
ここは周囲より少し小高い丘のような場所らしく、一本道の片側の先は見えなかった。
もう片方は、ここよりもさらに高いところにつながっていて、その先は少し離れた場所のここからでもわかるくらいの大きな門のところまで繋がっていた。
ぶるると身を震わせる。
思えば、今の格好は玄関にいた時と同じ、長袖のTシャツとチノパンという軽装で、足元は頼りない靴下だけ。貴重品も持っていない。
ここも穏やかな暖かさのある春の季節のようだが、さすがに日没頃にこの軽装では肌寒さを感じる。
それに、あたりはすでに見えづらいと感じるほど暗くなってきている。明かりがない今は、とにかくどこか一晩だけでもいいから過ごせる場所を探さなくては行けない。
立ち上がり、土をはらって、歩き出す。
まずは道の切れ端がわかる方、大きな門を目指すことにしよう。
少し門のほうへ向かって歩き始めてしばらくした後、いくら門に近づいても建物の影が見えないことに違和感を覚えた。
いくら門が大きく、高低差があったとしても、建物の影が少しくらい見えるはずだ。
もしかして、この大きな門の中は何もなく、門の外のようにただの野原が広がっているだけだったりして。
そう考えた時、何かがパンと弾けたような感覚と、同時に何か膜のようなものを通りぬけた感覚を受けた。
不思議な感覚に一度歩く足を止め、周囲を窺ったが、何も変化は起きず、気にはなるものの、徐々に暗くなってきている空に背中を押されてまた歩き出した。
門の傍まで到着すると、門は鉄格子でできており、中が透けて見えるような構造になっていることがわかった。高さは大体2mぐらいあり、幅は車一台分はゆうに通れるだろう大きな扉だ。その門扉の左右は、赤茶のレンガが高く積まれている塀があり、それがかなり遠くの方まで広がっているようで先は見えなかった。
当然、すでにこの距離で中が見えている。
見えているはずだが、建物は一つもなかった。
本当に門の中はただの野原だった。
まさか冗談で思ったことが本当だとは思わなかった。
もう日はかなり落ちている。来た道を戻れば、最初に座り込んでいた場所にたどり着くまでに日は完全に落ちているだろうし、さらに先はどこまでつながっているのかは分からない。
そう簡単に諦めが付かない。
門の右側のレンガの塀に、文字の書かれた黒いプレートがついていた。
近づいてよく見てみると、そこに書かれた文字は日本語ではなかった。
それどころか英語でも中国語でもない、おそらく地球のどの語にも相当しないだろう。
普通はわからないはずの言語。
だが、俺はこの文字に見覚えがある。
『王立魔法学園』
確か、そのような意味のはずだ。
この文字は昔母さんから教えてもらった。
思えば、これが最初の母の願いだった。
当時、小学生の俺は覚えるのが精一杯で、何の為に覚えるのか、考える余裕はなかった。
その後、特に使うこともなかった言葉だから、今の今まで忘れていたが、不思議とよく覚えているものだ。
まさか、異世界の言葉だとは思わなかった。どおりで使うことがなかったんだ。
なぜ母さんは、異世界の言葉を知っていたんだろうか。
それに、その頃から俺が異世界に来ることは決まっていたのだろうか。
当の本人がいないから聞くことはできないし、とにかく、言葉に困ることはないようで安心した。
そんなことより、今はこのプレートの意味だ。
『王立魔力学園』
状況的に考えれば、おそらくここは母さんが俺に通って欲しいと頼んだ高校のことだと思う。
母さんは近くまで送ると言っていたし、間違いないはずだ。
だが、その学園はなく、ただの野原。母さんとの連絡手段もない。帰る方法も分からない。
やはり自分の見間違いで、門の中に何かあるのではないかと、門の中が野原しかないとわかりつつも、改めて門の中を詳しく見ようと門に手を伸ばす。
「ーーー!」
触れる直前、突然かけられた叱声に間一髪で指を止める。
そのすぐ目の前には、長身のガタイのいい男が立っていた。
その男は黒い髪で黒い目、おまけに肌の色も黒かった。
それだけでなく、服もすべて黒く、大きなカラスのようだった。
いつから立っていたのだろうか。
ここはただの野原のはずだ。
遠くから歩いてきたって、この大きな鉄格子の扉だ。
中の様子なんてすぐにわかるし、ましてやこの黒い大男の存在が見えないはずはない。
それに歩いてくる音だって、今まで聞こえなかった。
今は、門を挟んですぐ目の前で鍵を開けている男の息遣いすら聞こえるのに。
ぎいぃと鈍く音を立て、門の扉が開いた。
門の中の男と目が合う。
入れというように首を僅かに動かす仕草を確かに見たが、今はそれどころではなかった。
「いつからそこに…」
思わず日本語で投げかけた俺の質問に、男は端的に告げる。
「魔法だ。ーーーー入れ。」
魔法。
たしかに魔法ならなんでもできるのだろうし、異世界に来た以上、そしてあの門のプレートの文字『王立魔法学園』を見てしまっている以上、魔法の存在を信じない訳では無いが、理解が遅れる。
大男は周囲を警戒しながら、俺が入るのを待っている。
ここはとりあえず、目の前の男に頼るほかない。
門を潜りつつ、男に今度は落ち着いて、異世界の言葉で返事を返す。
「わかった。」
門をちょうど潜っている時、また門にたどり着く途中でもあったような、何か入る時に膜のようなものを通りぬけた感覚を得る。2度目の不思議な感覚に、首を傾げる。
「それが魔法だ。歩きながら話そう。」
男は一瞬ふっと顔を綻ばせ、その顔を見せないように手早く鍵を締め、門の中へと歩き出した。
俺も男に続いて門の中へと歩みを進める。
門の中は野原ではなくなっていた。
1つの立派な噴水と、それを囲むようにして建てられた3つの建物。門の扉と建物への道を繋ぐようにして敷き詰められた薄茶色のレンガの広い道以外は全て木で覆われていた。
もはや野原と呼べる部分が存在しなかった。
あの門の外から見えた草原は何だったんだろうか。
答えは男が教えてくれた。
「まず一つ目は、門の外から見える学園を見せないようにして、その代わりに幻を見せる魔法だ。幻は、門の中を見たい人がここに来る途中に考えた景色を魔法で捉えて、それを見せるようにしている。」
ここに来る途中ということは、あの何か弾けた感覚と膜の感覚の時のことか。
確かに、ちょうどその時に、門の中がまさか野原ではないだろうなんて冗談で考えていたけれど、そのせいでこんなことになるなんて思いもしなかった。さすが異世界。今度から気をつけよう。
ああ、返事をしないと。異世界の言葉ではこうか?
「……俺…には…野原に…見えた…?」
聞き取りは早口でなければ問題なさそうだが、こちらから話すとなると少し手間取ってしまう。
男は、俺の言葉をちゃんと待ってくれているようだ。
「野原は珍しいほうだな。この魔法は、魔法が最初に検知した想像を幻として映してしまうから、門の傍にたどり着く頃には違和感を生んでしまう欠点がある。野原だとかなり違和感があったのでは?」
違和感しかなかった。
俺が野原に見えていたのは、冗談でも考えてしまったものを魔法が検知してしまったからなのか。
それにしても本当に学園があって良かった。露頭に迷うことを覚悟しなくてはいけないことになるところだった。
「なんでこの魔法が使われているんだ?」
「ああ、それは、学園の中の様子を見せないようにするためだ。そのうちわかる時が来る。2つ目は、鍵がかかっている門に触ると、体が後ろに吹っ飛ぶ魔法だ。門のところで叫んでしまってすまなかったな。」
男は俺がこの話に触れるのをあまりよくないと思っているようで、続けて2つ目の魔法の説明に入った。
これは、おそらく、門を潜る時に感じた2つ目の膜の感覚のことだろう。
セキュリティとはいえ、触れただけで作動するとは危険な代物だ。それに吹っ飛ぶとは。
威力がどれだけか分からないが、門の外は障害物のない野原だ。一体どこまで飛ばされることになるんだろうか。
今更ながら、背筋がひやっとする。
もし触れようとした人がいたら俺も叫んで止めるだろうな。
「止めてくれてありがとう。危険だったんだな。」
「ああ。魔法を設置した人がいわく、内側だけに作用する予定だったらしいんだが、外側から触れた時も作動してしまうせいで門を潜れる日はかなり限られてしまっている。すまないな。」
男は門を潜れる日が少ないことを申し訳ないように言った。
帰る手段が分からないことといい、若干察しつつあるが、気に留めないでおこう。
どうせ後で説明があるだろう。
それから別に一つ、男の言葉に引っ掛かった。
なぜ、魔法を設置した人は、外側ではなく、内側につけようとしたんだろうか。
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