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第29話 懇願
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紫音の温もりを感じていた時。
その通話は突然やってきた。
「っ」
「きゃっ」
ブゥンと、目の前に映像が浮かび上がる。
そこにはなんとガルフェン王が映っていた。
「――陛下?」
「っ、この方が先ほど言っていた……!」
紫音が怒りの形相を浮かべる。
そんな俺を見たガルフェン王は、胡散臭い笑みを浮かべながら。
《うむ、勇者よ。幸せそうな日々を送っているではないか。わざわざ異世界に送り出した甲斐があったというものよ》
「…………は?」
訳の分からない言葉に頭を傾げていると、ガルフェン王は続ける。
《しかし、休暇はこれで終わりだ。我が国に大量の魔獣と一体の邪神が現れた。それを討伐すべく、貴殿の帰還を命じる》
「……お言葉ですが、陛下。私は休暇などと言われた覚えはありません。耄碌されているのでは?」
《ッ!》
俺が反論するとは思っていなかったのだろう。
ガルフェン王は顔を真っ赤にする。
だがゆっくりと深呼吸したのちに話す。
《お互いに何か行き違いがあったようだな。そこについては謝罪しよう。だが、貴殿も貴殿だ。我が宝物庫から聖剣を持っていたのだろう?》
「……そうですね。勝手に付いてきました」
《勝手に……っ! い、いや、それはよい。それでだ。貴殿の声がこちらに届くということは、世界間転移魔法を覚えたというのはまことのようだ》
「それが何か?」
《先ほども言ったとおりだ、貴殿に帰還を命じる。その力をもって魔獣と邪神を討伐せよ》
「……私は貴方から受けた仕打ちを忘れていない。仮に戻ったとしても、その後に待ち受けることを考えれば頷くはずないでしょう」
《安心してもらって構わん。貴殿には我が国の重要なポストを与えることを約束しよう。それに勇者ともあろうものが罪のない民を見捨てるのか? 今も彼らは魔獣たちに苦しめられているのだぞ》
どの口で言うのやら。
そうは思ったが、俺はそれを聞いて静かに思考する。
確かに民たちに罪はない。ガルフェン王はともかく、彼らの命まで脅かされる事態になるのは俺としても望まない。
ただ――――。
「わかりました、魔獣と邪神は俺が討伐します」
《おお、そうか! それでこそ勇者だ!》
「ただし誓ってください、ガルフェン王。今すぐに心を清きものに入れ替え、今後は民のために尽くす王になると」
《ふむ、我が王国の千年続く歴史に誓おう! では、吉報を待っておるぞ!》
その言葉を最後に、映像が途切れる。
会話の内容が分からなかったのだろう。
紫音は困ったような、それでいて心配そうな表情を浮かべていた。
「今、何を話されていたのですか?」
「実は――」
俺は紫音に向かって、先ほどの会話の内容をゆっくりと告げるのだった。
その通話は突然やってきた。
「っ」
「きゃっ」
ブゥンと、目の前に映像が浮かび上がる。
そこにはなんとガルフェン王が映っていた。
「――陛下?」
「っ、この方が先ほど言っていた……!」
紫音が怒りの形相を浮かべる。
そんな俺を見たガルフェン王は、胡散臭い笑みを浮かべながら。
《うむ、勇者よ。幸せそうな日々を送っているではないか。わざわざ異世界に送り出した甲斐があったというものよ》
「…………は?」
訳の分からない言葉に頭を傾げていると、ガルフェン王は続ける。
《しかし、休暇はこれで終わりだ。我が国に大量の魔獣と一体の邪神が現れた。それを討伐すべく、貴殿の帰還を命じる》
「……お言葉ですが、陛下。私は休暇などと言われた覚えはありません。耄碌されているのでは?」
《ッ!》
俺が反論するとは思っていなかったのだろう。
ガルフェン王は顔を真っ赤にする。
だがゆっくりと深呼吸したのちに話す。
《お互いに何か行き違いがあったようだな。そこについては謝罪しよう。だが、貴殿も貴殿だ。我が宝物庫から聖剣を持っていたのだろう?》
「……そうですね。勝手に付いてきました」
《勝手に……っ! い、いや、それはよい。それでだ。貴殿の声がこちらに届くということは、世界間転移魔法を覚えたというのはまことのようだ》
「それが何か?」
《先ほども言ったとおりだ、貴殿に帰還を命じる。その力をもって魔獣と邪神を討伐せよ》
「……私は貴方から受けた仕打ちを忘れていない。仮に戻ったとしても、その後に待ち受けることを考えれば頷くはずないでしょう」
《安心してもらって構わん。貴殿には我が国の重要なポストを与えることを約束しよう。それに勇者ともあろうものが罪のない民を見捨てるのか? 今も彼らは魔獣たちに苦しめられているのだぞ》
どの口で言うのやら。
そうは思ったが、俺はそれを聞いて静かに思考する。
確かに民たちに罪はない。ガルフェン王はともかく、彼らの命まで脅かされる事態になるのは俺としても望まない。
ただ――――。
「わかりました、魔獣と邪神は俺が討伐します」
《おお、そうか! それでこそ勇者だ!》
「ただし誓ってください、ガルフェン王。今すぐに心を清きものに入れ替え、今後は民のために尽くす王になると」
《ふむ、我が王国の千年続く歴史に誓おう! では、吉報を待っておるぞ!》
その言葉を最後に、映像が途切れる。
会話の内容が分からなかったのだろう。
紫音は困ったような、それでいて心配そうな表情を浮かべていた。
「今、何を話されていたのですか?」
「実は――」
俺は紫音に向かって、先ほどの会話の内容をゆっくりと告げるのだった。
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