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第二部 剣神と呼ばれた男
43 師弟関係成立
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「――私の負けだ、ルーク・アートアルド」
俺の目の前で膝を地につけたまま、レオノーラ・フォルティスはそう告げた。
瞬間、スローモーションだった俺の世界が元に戻る。
「ふー」
集中しすぎたためか、足りなくなっていた酸素を深呼吸によって賄う。
一瞬の油断も許されない、紛れもない強敵だった。
彼女に問わなければならないことがある。
「で、なんでお前は……レオノーラは俺を襲ってきたんだ?」
「我が恩師に君の話を聞いたからだ。私を超えるだけの実力を持っているかもしれないと」
「恩師? Sランク冒険者レオノーラ・フォルティスの師匠っていうと、学院長のことか?」
「ああ、その通りだよ」
そのまま続けて話を聞くと、レオノーラは単純に力試しが目的だったらしい。
その割には俺の命を奪いかねない攻撃の数々だった気がするが……
「いや、それに関しては心配いらない。相手を殺しきる直前で止まるように制御していたからね。僅かでも息があれば私の治癒魔術で復活させられる。殺す気はなかったんだよ……途中までは」
どうやら途中からは制御する余裕もなかったらしい。
まあ、その辺りの話については後でいい。
「で、レオノーラは俺と戦えて満足できたのか?」
「――もちろんだ!」
「うおっ」
勢いよく立ち上がり、興奮を抑えられないとばかりに叫ぶレオノーラ。
その様子を見て、思わず後ずさってしまう。
「ルーク、君の戦いぶりは素晴らしかった! 私の魔術の数々が、君には何一つ通用しない! あれはいったいどんな魔術を使ったんだ!?」
「魔力を使ったのは身体強化くらいだけど」
「身体強化? どういうことだ?」
理解できないといった様子のレオノーラに、俺が魔力を外部に放出できないため、内部で身体強化に使用していることを伝える。
つまり、厳密にいえば俺は魔術を使用していないのだ。
そのことを聞いたレオノーラは目を輝かせる。
「なんてことだ……そんな方法があったのか! これまで私が自分以上の強敵と会った時、その状況に適した新たな魔術を作り出すことで上回ってきた。けれど君は違う。万能を目指すのではなく、たった一つのことを極めたからこそ辿り着いた境地。そうか、私に必要なのはそれだったんだ!」
「レオノーラ?」
「頼む、ルーク! 私を弟子にしてくれ!」
「はあ?」
突然の申し出に対し、反射的に首を傾げてしまう。
「君は私の持っていない力を持っている。私が今より強くなるためには、その力が必要なのだ! もちろん、タダでとは言わない。君が困っている時はいつ何時でも力を貸そう。だから頼む!」
彼女の言葉が終わるそのころには、俺の中で答えは出ていた。
レオノーラは強い。身体強化など覚えずとも、現時点で人族の頂点にいると言ってもいいだろう。
けれど彼女はそこで慢心し立ち止まることなく、高みに登ろうとしている。
もし、現時点で最強クラスの力を持つ彼女が俺に匹敵する身体能力を手に入れたら。
考えただけでワクワクする。
ああ、それでいいんだ。
俺はそんな相手と戦いたいと、心から望んでいるのだから。
「よし、分かった。俺がお前を鍛えてやる」
「っ! 感謝する、ルーク!」
こんな風にして。
魔族が出現したという事実も忘れた二人による、奇妙な師弟関係が成立するのだった。
俺の目の前で膝を地につけたまま、レオノーラ・フォルティスはそう告げた。
瞬間、スローモーションだった俺の世界が元に戻る。
「ふー」
集中しすぎたためか、足りなくなっていた酸素を深呼吸によって賄う。
一瞬の油断も許されない、紛れもない強敵だった。
彼女に問わなければならないことがある。
「で、なんでお前は……レオノーラは俺を襲ってきたんだ?」
「我が恩師に君の話を聞いたからだ。私を超えるだけの実力を持っているかもしれないと」
「恩師? Sランク冒険者レオノーラ・フォルティスの師匠っていうと、学院長のことか?」
「ああ、その通りだよ」
そのまま続けて話を聞くと、レオノーラは単純に力試しが目的だったらしい。
その割には俺の命を奪いかねない攻撃の数々だった気がするが……
「いや、それに関しては心配いらない。相手を殺しきる直前で止まるように制御していたからね。僅かでも息があれば私の治癒魔術で復活させられる。殺す気はなかったんだよ……途中までは」
どうやら途中からは制御する余裕もなかったらしい。
まあ、その辺りの話については後でいい。
「で、レオノーラは俺と戦えて満足できたのか?」
「――もちろんだ!」
「うおっ」
勢いよく立ち上がり、興奮を抑えられないとばかりに叫ぶレオノーラ。
その様子を見て、思わず後ずさってしまう。
「ルーク、君の戦いぶりは素晴らしかった! 私の魔術の数々が、君には何一つ通用しない! あれはいったいどんな魔術を使ったんだ!?」
「魔力を使ったのは身体強化くらいだけど」
「身体強化? どういうことだ?」
理解できないといった様子のレオノーラに、俺が魔力を外部に放出できないため、内部で身体強化に使用していることを伝える。
つまり、厳密にいえば俺は魔術を使用していないのだ。
そのことを聞いたレオノーラは目を輝かせる。
「なんてことだ……そんな方法があったのか! これまで私が自分以上の強敵と会った時、その状況に適した新たな魔術を作り出すことで上回ってきた。けれど君は違う。万能を目指すのではなく、たった一つのことを極めたからこそ辿り着いた境地。そうか、私に必要なのはそれだったんだ!」
「レオノーラ?」
「頼む、ルーク! 私を弟子にしてくれ!」
「はあ?」
突然の申し出に対し、反射的に首を傾げてしまう。
「君は私の持っていない力を持っている。私が今より強くなるためには、その力が必要なのだ! もちろん、タダでとは言わない。君が困っている時はいつ何時でも力を貸そう。だから頼む!」
彼女の言葉が終わるそのころには、俺の中で答えは出ていた。
レオノーラは強い。身体強化など覚えずとも、現時点で人族の頂点にいると言ってもいいだろう。
けれど彼女はそこで慢心し立ち止まることなく、高みに登ろうとしている。
もし、現時点で最強クラスの力を持つ彼女が俺に匹敵する身体能力を手に入れたら。
考えただけでワクワクする。
ああ、それでいいんだ。
俺はそんな相手と戦いたいと、心から望んでいるのだから。
「よし、分かった。俺がお前を鍛えてやる」
「っ! 感謝する、ルーク!」
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