4 / 7
第4話
しおりを挟む
数日後。
その週の土曜日。
「・・・ん」
朝起きた早瀬が丁度朝食を終えた頃。
机に置かれたスマートフォンが振るえ、騒がしい音を立てる。
早瀬がスマートフォンを手に取り、通知を開くと。
鷹華から「すいません早瀬さん。家で大変な事が起きてしまいました。助けてください」というヘルプのメールが表示されていた。
「全く・・・」
早瀬は呆れた様子で呟くが、その表情は何処か楽しげでもあった。
早瀬は「今行く」とメールを打ち込み送信すると、すぐに出かける用意を始めた。
***
「それで、この大惨事は何?」
鷹華の自宅へ着いた早瀬が彼女の家で見たのは。
食材や何やらが床に散らばって地獄と化した台所。
そしてそこでスマートフォンを片手に立ち竦む鷹華の姿であった。
早瀬は、鷹華の自宅には何度か入ったことがあり、その度に雰囲気のある立派な家だと感じていたのだが、その立派な家の台所は、いまや見るも無残な姿である。
「は、早瀬さん・・・! 爆発です・・・! 爆発したんです!」
「お、落ち着きなさい、鷹華。両親はどうしたの?」
「り、両親は朝から外出してまして・・・夕方までは帰ってこないそうです。
ど、どうしましょう・・・親が帰ってくるまでにこれをなんとかしないと・・・!」
声を震わせ、涙目になる鷹華。
「・・・そう。それじゃあ」
突然、腕を捲くる早瀬。
「あ、あの・・・早瀬さん?」
「助けて欲しいから呼んだんでしょ? だったら、私に任せなさい」
***
「こんなもんかな」
早瀬は額の汗を手の甲で拭い、ゴミ袋の口を縛る。
「す、すごいです・・・早瀬さんにこんな特技があったなんて・・・」
地獄の様に散らかっていた台所は、早瀬の手によってすっかり元の状態に、いや、元の状態よりも更に綺麗になっていた。
「人の家だから勝手がわからなくて、上手く出来なかったかもしれないけど」
「い、いえいえ! 完璧じゃないですか!? あんな大惨事がこんなにも綺麗に片付くなんて! 本当に助かりました! 早瀬さんは私の命の恩人です!」
鷹華は心の底から早瀬に感謝しているのだろう。
きらきらとした笑顔で、何度も早瀬に礼をする。
「あ、うん・・・ま、まぁ、このくらいはどうってことないわよ」
早瀬は頬を染めて照れながら、それよりも・・・と話を続ける。
「つまり、こないだプリント運ぶのを手伝ってくれたお礼として、矢能に手作りのお菓子をプレゼントしようとしたのだけど、作っている途中で爆発したってこと?」
「は、はい・・・レシピの通りに作っていたはずなのですが」
「・・・お菓子作りって料理初心者には結構難しいのよね。どれどれ」
早瀬は置いてあった料理本を手に取り、付箋の貼ってあるページを開く。
「なるほど、カップケーキ作ってたのね」
「はい・・・爆弾ケーキが出来上がりましたが・・・」
鷹華は気まずそうに顔を逸らす。
「そういうことなら」
早瀬は携帯で時刻を確認する。
時刻は10時半頃であった。
「店はもう開いてるわね。それじゃあ鷹華。買い物に行くわよ」
「え?」
早瀬の突然の提案に、頭にクエスチョンマークを浮かべる鷹華。
「材料は全部ダメになっちゃったでしょ? だから、買いに行くのよ」
早瀬はパタンとレシピ本を閉じる。
「私が、作り方を教えてあげる」
その週の土曜日。
「・・・ん」
朝起きた早瀬が丁度朝食を終えた頃。
机に置かれたスマートフォンが振るえ、騒がしい音を立てる。
早瀬がスマートフォンを手に取り、通知を開くと。
鷹華から「すいません早瀬さん。家で大変な事が起きてしまいました。助けてください」というヘルプのメールが表示されていた。
「全く・・・」
早瀬は呆れた様子で呟くが、その表情は何処か楽しげでもあった。
早瀬は「今行く」とメールを打ち込み送信すると、すぐに出かける用意を始めた。
***
「それで、この大惨事は何?」
鷹華の自宅へ着いた早瀬が彼女の家で見たのは。
食材や何やらが床に散らばって地獄と化した台所。
そしてそこでスマートフォンを片手に立ち竦む鷹華の姿であった。
早瀬は、鷹華の自宅には何度か入ったことがあり、その度に雰囲気のある立派な家だと感じていたのだが、その立派な家の台所は、いまや見るも無残な姿である。
「は、早瀬さん・・・! 爆発です・・・! 爆発したんです!」
「お、落ち着きなさい、鷹華。両親はどうしたの?」
「り、両親は朝から外出してまして・・・夕方までは帰ってこないそうです。
ど、どうしましょう・・・親が帰ってくるまでにこれをなんとかしないと・・・!」
声を震わせ、涙目になる鷹華。
「・・・そう。それじゃあ」
突然、腕を捲くる早瀬。
「あ、あの・・・早瀬さん?」
「助けて欲しいから呼んだんでしょ? だったら、私に任せなさい」
***
「こんなもんかな」
早瀬は額の汗を手の甲で拭い、ゴミ袋の口を縛る。
「す、すごいです・・・早瀬さんにこんな特技があったなんて・・・」
地獄の様に散らかっていた台所は、早瀬の手によってすっかり元の状態に、いや、元の状態よりも更に綺麗になっていた。
「人の家だから勝手がわからなくて、上手く出来なかったかもしれないけど」
「い、いえいえ! 完璧じゃないですか!? あんな大惨事がこんなにも綺麗に片付くなんて! 本当に助かりました! 早瀬さんは私の命の恩人です!」
鷹華は心の底から早瀬に感謝しているのだろう。
きらきらとした笑顔で、何度も早瀬に礼をする。
「あ、うん・・・ま、まぁ、このくらいはどうってことないわよ」
早瀬は頬を染めて照れながら、それよりも・・・と話を続ける。
「つまり、こないだプリント運ぶのを手伝ってくれたお礼として、矢能に手作りのお菓子をプレゼントしようとしたのだけど、作っている途中で爆発したってこと?」
「は、はい・・・レシピの通りに作っていたはずなのですが」
「・・・お菓子作りって料理初心者には結構難しいのよね。どれどれ」
早瀬は置いてあった料理本を手に取り、付箋の貼ってあるページを開く。
「なるほど、カップケーキ作ってたのね」
「はい・・・爆弾ケーキが出来上がりましたが・・・」
鷹華は気まずそうに顔を逸らす。
「そういうことなら」
早瀬は携帯で時刻を確認する。
時刻は10時半頃であった。
「店はもう開いてるわね。それじゃあ鷹華。買い物に行くわよ」
「え?」
早瀬の突然の提案に、頭にクエスチョンマークを浮かべる鷹華。
「材料は全部ダメになっちゃったでしょ? だから、買いに行くのよ」
早瀬はパタンとレシピ本を閉じる。
「私が、作り方を教えてあげる」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる