恋愛無知なお嬢様と、世話好き少女の初恋ばなし。

朱音めあ

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第4話

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 数日後。

 その週の土曜日。


「・・・ん」

 朝起きた早瀬が丁度朝食を終えた頃。
 机に置かれたスマートフォンが振るえ、騒がしい音を立てる。

 早瀬がスマートフォンを手に取り、通知を開くと。

 鷹華から「すいません早瀬さん。家で大変な事が起きてしまいました。助けてください」というヘルプのメールが表示されていた。


「全く・・・」
 
 早瀬は呆れた様子で呟くが、その表情は何処か楽しげでもあった。

 早瀬は「今行く」とメールを打ち込み送信すると、すぐに出かける用意を始めた。


***


「それで、この大惨事は何?」

 鷹華の自宅へ着いた早瀬が彼女の家で見たのは。

 食材や何やらが床に散らばって地獄と化した台所。

 そしてそこでスマートフォンを片手に立ち竦む鷹華の姿であった。  


 早瀬は、鷹華の自宅には何度か入ったことがあり、その度に雰囲気のある立派な家だと感じていたのだが、その立派な家の台所は、いまや見るも無残な姿である。 
   

「は、早瀬さん・・・! 爆発です・・・! 爆発したんです!」

「お、落ち着きなさい、鷹華。両親はどうしたの?」

「り、両親は朝から外出してまして・・・夕方までは帰ってこないそうです。
ど、どうしましょう・・・親が帰ってくるまでにこれをなんとかしないと・・・!」

 声を震わせ、涙目になる鷹華。


「・・・そう。それじゃあ」

 突然、腕を捲くる早瀬。

「あ、あの・・・早瀬さん?」

「助けて欲しいから呼んだんでしょ? だったら、私に任せなさい」

 
***
 

「こんなもんかな」

 早瀬は額の汗を手の甲で拭い、ゴミ袋の口を縛る。

  
「す、すごいです・・・早瀬さんにこんな特技があったなんて・・・」

 地獄の様に散らかっていた台所は、早瀬の手によってすっかり元の状態に、いや、元の状態よりも更に綺麗になっていた。

「人の家だから勝手がわからなくて、上手く出来なかったかもしれないけど」 
 
「い、いえいえ! 完璧じゃないですか!? あんな大惨事がこんなにも綺麗に片付くなんて! 本当に助かりました! 早瀬さんは私の命の恩人です!」

 鷹華は心の底から早瀬に感謝しているのだろう。
 きらきらとした笑顔で、何度も早瀬に礼をする。

「あ、うん・・・ま、まぁ、このくらいはどうってことないわよ」

 早瀬は頬を染めて照れながら、それよりも・・・と話を続ける。


「つまり、こないだプリント運ぶのを手伝ってくれたお礼として、矢能に手作りのお菓子をプレゼントしようとしたのだけど、作っている途中で爆発したってこと?」

「は、はい・・・レシピの通りに作っていたはずなのですが」

「・・・お菓子作りって料理初心者には結構難しいのよね。どれどれ」
  
 早瀬は置いてあった料理本を手に取り、付箋の貼ってあるページを開く。
 
「なるほど、カップケーキ作ってたのね」

「はい・・・爆弾ケーキが出来上がりましたが・・・」

 鷹華は気まずそうに顔を逸らす。
 
「そういうことなら」

 早瀬は携帯で時刻を確認する。
 時刻は10時半頃であった。

「店はもう開いてるわね。それじゃあ鷹華。買い物に行くわよ」 

「え?」

 早瀬の突然の提案に、頭にクエスチョンマークを浮かべる鷹華。

「材料は全部ダメになっちゃったでしょ? だから、買いに行くのよ」

 早瀬はパタンとレシピ本を閉じる。

「私が、作り方を教えてあげる」 

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