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第6話
しおりを挟む「ねぇ、泰臣。私、そっちのアイスも食べてみたいなぁ」
少女は、矢能泰臣が今まさに口を付けているアイスを指差して、そう問いかける。
「ん、しょうがないな。ほら」
矢能が少女へ向けアイスを差し出すと、少女は可愛らしい笑顔を浮かべてアイスに口を付ける。
「・・・おいしい」
矢能泰臣と女子の2人は楽しげに笑いながら、繋いでいる手を更に絡めた。
そうして、腕を絡めた矢能泰臣と女子は、ベンチに座っている鷹華と早瀬の前を通り過ぎていく。
どうやら矢能は、鷹華と早瀬の二人がいる事には気付かなかったらしい。
やがて、矢能と女子の2人の姿が遠くなる。
早瀬がちらりと鷹華の方を見ると、鷹華は矢能泰臣と女子の姿から目を離せずに、じっと固まっていた。
「・・・鷹華?」
いつもは強気な口調の早瀬だが、今は壊れ物を触る様な弱々しい声で鷹華を呼ぶ。
「・・・す、すいません。ちょっとびっくりしてしまって。でも大丈夫です」
そう言い、鷹華はにこりと作り笑いを浮かべる。
「だって、私。矢能さんとはまだメールのやり取りをして数日しか経ってないんですよ。相手の事もまだまだ全然わからなかったですし。だから、全然気にしていません。
・・・全然、気にしてないのに・・・なんで・・・・」
鷹華の声が少しずつ震え始め、目から涙が零れ落ちる
「なんで、私・・・涙が・・・」
泣き顔を隠そうと俯いて、顔を手で覆う鷹華。
「早瀬さん・・・ごめんなさい。早瀬さんがこんなに手伝ってくれるっていったのに・・・! ごめんなさい・・・!」
「・・・鷹華」
涙を拭う鷹華を、早瀬が抱き寄せる。
「鷹華? 家に帰ってさ、ケーキ作ろう?」
「え、なんで? だってもう私には・・・」
失恋した鷹華には、もう早瀬にお菓子作りを教えてもらう理由はない。
けれど。
「私がすごい美味しいケーキの作り方教えてあげる。だからさ、一緒に作ろう?」
早瀬にはそんな理由なんて関係なかった。
「・・・うん」
涙声で返事を返す鷹華。
そんな鷹華の頭を、早瀬が優しく撫でた。
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