結いの約束~記憶に残る蜜の香り【異能覚醒編】

蓮華(れんげ)

文字の大きさ
15 / 192
第五章 色、香り、記憶の奥

あんず色の彼

しおりを挟む
珍しく、疲れが取れない朝だ。




・・・・就寝中に記憶の整理が上手くできていなかったのが理由なのだろうか。
行ったことのない場所やかなり前の時代の景色や知らない顔など、
見たことのない残像が夢に出てきて、ぐっすりと寝付けなかった。





これが、多分原因だ。



気分が晴れない。












今日は昨日居なかった、リーダーの残り二人と顔合わせの日。









切り替えて、仕事へ。














・・・・・15階までのエレベーターは耳が少しボーンとするが
階数が上がるに連れて、眼下に緑が広がるのは心地が良い。










就業時間の定時時刻まで少し時間があるので、廊下も静まり返っている。







――――――――――こんなに空は青く澄み渡り、緑も綺麗な惑星ほしなのに
別な空間に感覚を合わせると、街並みが薄暗い灰色をしている。




みんな、何かに追われ疲れているのだ。





(自分に出来る事・・・)






「おはようございます、岩本さん。」



エリアマネージャーの中居さんから、声をかけながらやって来た。



「おはようございます、中居さん。」



「今日は二日目ですね、いよいよ全員リーダーが揃います。
宜しくお願いしますね。」



「緊張しますが、頑張ります。」



「さ、中へ」



中居さんに促され、中に入った。







席に着き、始業の準備をしていると続々と人が増え始めた。



「おはようございます、岩本さん。」

「おはようございまーす」



昨日、一緒だった二人も顔を揃えた。




「......おはようございます..。」



少し、控えめな低めの声で挨拶があり、
三人でそちらを見ると背の高い男の人が立っていた。



「おはようございます。」



三人の声が重なり、続けて私が話しかけた。



「一足早く、研修に来られていた...」



「あ、はい”阿部涼哉(アベリョウヤ)”と申します。」



「阿部さん、ですね。岩本蓮伽と申します、宜しくお願い致します。」



続いて、昨日のメンバーも挨拶して少し場が和んだ。





何となく、会話をしながらも始業時間が迫り、
サブリーダーのメンバー達も出勤し始め、一気に入り口周辺から中に入ってきた。





・・・・・・何気なく、その4.5人のメンバーに目をやると、一人だけ、
息をするのも忘れてしまう程、目を離すことが出来ない少し背の高い男の人が混じっていた。









―――――その人は、キラキラとしていた。優しくて柔らかいあんず色したオーラをまとって。







こちらに向かって、歩いて来る。
彼の瞳は私を捉えている。






(会った事、ある.....気が。どこでだろう・・・・・初めまして...??
私、あのを知っている。)








あんず色の彼は、私の席の横に止まって第一声目を発した。






「おはようございます。前の席、いいですか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

トキメキの押し売りは困ります!~イケメン外商とアラフォーOLの年末年始~

松丹子
恋愛
榎木梢(38)の癒しは、友人みっちーの子どもたちと、彼女の弟、勝弘(32)。 愛想のいい好青年は、知らない間に立派な男になっていてーー 期間限定ルームシェアをすることになった二人のゆるくて甘い年末年始。 拙作『マルヤマ百貨店へようこそ。』『素直になれない眠り姫』と舞台を同じくしていますが、それぞれ独立してお読みいただけます。 時系列的には、こちらの話の方が後です。 (本編完結済。後日談をぼちぼち公開中)

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヘンタイ好きシリーズ・女子高校生ミコ

hosimure
恋愛
わたしには友達にも親にも言えない秘密があります…。 それは彼氏のこと。 3年前から付き合っている彼氏は実は、ヘンタイなんです!

隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛

冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

処理中です...