結いの約束~記憶に残る蜜の香り【異能覚醒編】

蓮華(れんげ)

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第十六章 帰宅

嗚呼・・・修羅場

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旦那の背徳の味、何味なのだろうか?






私にとっては蜜の味だ。

深澤くんは実際、私から溢れるものを『蜜』と呼ぶ。



【Milk&Honey】



そこに愛があって、優しい時間が流れたりする。






浮気であることには変わりはないので、キレイごとにしてはいけないのはわかっているが。






モニターに映る二人は、獣のように欲に忠実で愛とかそんな甘ったるいものの匂いはしない、スタンダードな不倫の様子だ。
後腐れはなさそうである。






そうこうしてると、かすかにピンポンの音が鳴った。





○○さんだ。





もうすぐ訪れる、慌てふためく修羅場に心の準備をした。

母は、サスペンスの続きをみるかのように若干、胸を躍らせている顔をしている気がする。







もう一度、鳴らしている。





もしや、居留守か?と、思った。




モニターの旦那は動かない。





居留守を決め込むのかと思った瞬間、声がした。





「はーい♪」





・・・・・・・・まさかの、○○さん奥さんだ。





「えっ?出るの?」





思わず声が出た。





なんと、浮気相手の○○さんが玄関へと向かったのだ。







裸ではなく、ワンピースを着ていたので見た目は問題なさそうだが、多分、ノーパン&ノーブラだ。







外のモニターを見ると、帽子を目深まぶかにかぶっているので顔はあまりわからない。

こちらをチラッと見て、一礼しうなずいた。






「はーい。」








家に来た際に、チェーンもかけずに致していたようでチェーンを外す音も無く、ドアを開けた。









・・・・・・







少し、間があった後のち、絶叫が響き渡った。






「こんにちは、✕✕。君はなぜ、ここにいるのかい?」



「あ、あなたこそどうしてここにいるのよ?」



「なぜって、愚問だな、君の浮気の証拠を掴みに来たんじゃないか(笑)」






そうこうしていると、旦那が下りて来た。





「飲み物、あった?早く、おいで.....あ、荷物?サイ....」



「ち、違うの、あの....」





いよいよ、修羅場だ。






「いつも妻がお世話になっております、○○と申します。妻の引き取りと今後についての話し合いを兼ねて参りました。」



「え?ご主人?」






旦那は一瞬たじろぐと、バタバタと二階へ上がってしまった。






「えっ??.....もしかして、逃げた?!」



母は大笑い。





「なんて、卑怯な(苦笑)」






○○さんご主人がこちらをチラッと見たので、リビングへとアイコンタクトをした。







・・・・・・・・・



・・・・・・・




・・・・・・




ご主人の第一声目は静かな声で、




「まず、下着着けろよ、もうやれねーんだからさ。人様の家で何やってるんだよ。」





だった。





怒りを抑えているのが分かったのだろう、奥さんは何も言わず二階へ向かった。






ノックの音で、旦那はドアを開けたがすぐに締め、とんでもない事を口にした。






「どうせ、全部バレるんだから最後にしちゃおうよ。」






母と目を見合わせ、耳を疑った。






「......どうしたの?彼。頭がおかしんじゃないの?」



「わかんない。病気かね、もはや。」






○○さんも、頭がおかしい人だった。







「そだね.....、もうお別れだから最後に入れて....」






ドアに手を付き、始まってしまった。






二人の吐息と唸り声のような喘ぎ声が徐々に大きくなっていく。





会話からすると、下に○○さんのご主人がいるのがたまらないらしく、大興奮で交わっている。






私はご主人に電話をして、上へ上がる許可を出した。






しばらくするとドンドンと叩く音が聞こえ、ご主人が旦那に声を掛けている。






「アンタ達、病気だな。とりあえず、出て来い。スーパーサプライズ準備してるから。」






・・・・・・・・・






ここまで、旦那がSEX好きな事にびっくりしたが、なにより呆れてしまった。



母も、呆れて気持ち悪がっている。



「どうして、あんなふうになっちゃったんだろうね。」



「....そうね。私のせいなのかな。」



ご主人にだけ任せるのも失礼なので、私も参加することにした。




しばらくすると、リビングに二人が降りて来た。







・・・・・・・





・・・・・・






・・・・




○○さんのご主人にPCを持ってきてもらっているので繋いでもらっていた。






「パパ、聞こえる?」






顔面蒼白で、こちらを見ている。





「.......蓮伽?!まさか」



「.....まさか!は、こっちのセリフ。私が建てたこの家で、娘の同級生のママを連れこんで、自分の部屋ならまだしも、玄関、リビングで楽しんじゃって。ご主人が来てるのに、最後の最後もするとは....猿だね。」



「!!どこまで見てたんだよ?!」



「全部。モニターに映ってる。エッチしてるところも。」



「悪趣味だな。」



「逐一見てた訳じゃないので(笑)、第一私が責められることある?」



「お前が全部いけないんだろう?セックスレスで、やらしてくれなくて。○○さんのところもそういう事情があったから、遊んだだけなんだよ。」






悪い事をしてないです、と言わんばかりだ。

言い訳がひどい。







○○さんのご主人も応戦。





「うちは、ありましたよ。でも、私じゃ物足りなかったみたいで....浮気は二回目です。エッチが好きで仕方ないようです、もう病気ですね。」








「二回目....そうですか。証拠もあります、全部今のも録音してあります、どうしましょうかね?」





みんなに聞こえるように声を掛けた。

ま、どうしましょうと言っても別れるの一択だけど。






「うちは、別れます。」



○○さんのご主人はそう口にした。



「い、嫌!もう二度としないから許して。」



「どの面下げていってるんだよ、二度としないって、二度したんだろう?次は三度目だよ(笑)SEX依存症なんて無理だわ。離婚したら病院行って来いな。
まぁ、俺にも悪いところがあったんだろうから、慰謝料の請求はしないよ。けど、養育費は払ってもらうから。」



奥さんは崩れ落ちるように号泣した。








「うちは別れないよな?やり直そう?」



「どうしたら、そんなこと言える?(笑)今まで別れなかったのが不思議なくらいなのに。別れるよ、モチロン。」



「.........」



「でも、私にも非があるだろうから、私も慰謝料は請求しない事にする。たださ....家の至るところでやりまくっていて、気持ちが悪い(笑)家をくまなく消毒と清掃をするのでそのお金を請求するから。」



「一方的だな。納得がいかない。」



「一方的?え?こんなに証拠があるのに?いいよ、裁判しよう。納得してくれれば、丸く収まるのに。」



「.......」



「そして○○さん、聞こえますか?。どうせ、浮気するなら知らない人として欲しかったわ。残念。人の家でこんな恥ずかしい事やるなんて、しっかり慰謝料は請求しますので。」






「は?なんで?もう破綻してたんでしょ?アンタの亭主、そう言ってたわよ。エッチも全然気持ち良くないって、動かないし、マグロだって。」



「マグロって(笑)、変ね、回遊魚だから動かないと死んじゃうんだけど。エッチ気持ち良くないって、言ってた?」






「そんなコト行ってないだろ?」



「言ってたじゃん、激しく動いたりしないし、下着とか全然エロくないとか、努力足りないとか。」





「はいはいはい、言った言わないはどうでもいいです(笑)一つ言えるのは、私が激しくしたいと思う前に、主人は早くに終わってしまうので出来なかった、ということだけかしら。」





ショックが大きかったのか、何も言わなくなってしまった。









―――――――母の前でこんな話はしたくなかったが、説明も省け、内容も一度に把握できたので良しとした。








「帰ったら、ちゃんと話をしましょう。」



「.......」








○○さん達を返し、浮気騒動は決着が着いた。






「今日は、帰らないのでそのつもりで。色んな事よく考えてね。」



「........」









帰る前に、○○さんのご主人が言葉を発した。



「ひとつだけ、聞きたいのですが・・・・」



「はい?いいですよ。」



「なぜ、うちのカミさんだとわかったのですか?」



「...........主人に、執着が酷かったみたいで、主人の周りをうろついていました、実物ではなくて魂が。」



「・・・・・・え゛っ?!」



「私、人が見えないものが視えて
「私もそれは思います。」



「お互いにこれから大変ですが、頑張りましょう」





○○さんのご主人はうちを後にした。
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