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幸せをはこぶ香り~Fragrance that carries happiness~
曇る硝子の向こうに広がる藍色の空
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無言のまま、行きついた先はカフェ。
お酒の弱い碧らしいお店だった。
ずっと落ち着くことのない胸の高鳴りは、私をこの世の中から一人ぼっちにした。
周りの音が全然届かない。
五年もたったのに、心の中だけがあの時のままで。
あの日、肩に降り積もった雪・・・・
碧の胸の温かさと鼓動・・・・
全部、全部、覚えている。
誰に愛され、抱かれても、心が動くことがないまま過ごしてきての今日。
・・・・・窓側の席に座り、硝子から伝わる寒さが心地よかった。
「……元気だった?」
相変わらずのふわふわした髪の毛で
メガネの奥から覗く瞳は私をまっすぐ捉えていた。
「……それなりに。」
「それなりって、なんだよ(笑)」
「見ての通り、普通に暮らしてるよ、キラキラすることもなく、よ。」
「もしかして俺のせい?」
「フフッ、思いあがりが相変わらず(笑)だと、しても私が意気地なしなだけ。
碧のせいじゃない」
「お前は変わらないな、いつも自分の気持ちにまっすぐで凛としている」
「碧?そんな話をするために、私を過去と向き合わせているの?」
女々しい自分は嫌だった。
心の奥に、あの日をそっと押し込めて今日まで来たのに、
むやみ引っ張り出すのはしんどかった。
「あやまりたくてさ。」
「あやまる?何を?もし、私に謝らなければいけないことがあるとしたなら、もっと早くできたはず。私を探して見つけて謝るべきだった。でも、五年、五年も立って今更?」
「返す言葉はない、俺はお前がどんなことがあってもいてくれると思っていた。甘えていたんだ、伊織に。」
「そう思うなら、今何を話すの?謝ってすっきりするのは碧だけじゃない。私は、また傷をえぐられるだけ」
・・・・・・
「ごめん、何も言えないな。」
・・・・・静かに時間が流れていく
「もういい、許すとか許さないとか今言っても、あの時傷ついた気持ちは癒されるわけじゃないから。普通に懐かしさだけで話をして、バイバイしよう?」
・・・・碧は押し黙っていた。
「.......碧、今は何やっているの?」
「外資系の仕事やってるよ」
「そうなんだ、伊織は?」
「商社でバイヤーしてる、海外製品の。」
「へぇ、そうなんだ・・・彼氏は…?」
「いない、碧…は?」
苦しくて、胸が壊れそうになっている。
「俺もいないよ」
トクン、と胸がなった。
「あれから、ずっと伊織の事が引っかかってたんだ。あの時出した答えが合っていたのかって」
「....そう、それで最終的な答えは出たの?」
「.....今日、出た。」
「今日?」
碧は静かに、カフェオレを持つ私の手首にかかる袖をずらした。
「?!」
「......ブレスレットしてくれてたんだね」
「......物に罪はないから」
強がりを言うのが精いっぱいだった
「.....こんなに可愛かったんだな、素直じゃない顔」
大きな手がほっぺに触れる
碧が触れている部分だけが熱い。
視線が絡み合い、碧が先に言葉を発した。
「外出ようか」
「.....うん」
・・・・・・・
しばらく歩くと雪が降ってきた
あの時と同じようにキラキラしている
「あの時と一緒だね」
私がいうと
「....違うよ、今日は隣に伊織がいる」
そういうと、碧の顔が近づいた
.........そっと唇を重ねる。
「.....行こ」
静かな街並みの深夜、歩き始めた
お酒の弱い碧らしいお店だった。
ずっと落ち着くことのない胸の高鳴りは、私をこの世の中から一人ぼっちにした。
周りの音が全然届かない。
五年もたったのに、心の中だけがあの時のままで。
あの日、肩に降り積もった雪・・・・
碧の胸の温かさと鼓動・・・・
全部、全部、覚えている。
誰に愛され、抱かれても、心が動くことがないまま過ごしてきての今日。
・・・・・窓側の席に座り、硝子から伝わる寒さが心地よかった。
「……元気だった?」
相変わらずのふわふわした髪の毛で
メガネの奥から覗く瞳は私をまっすぐ捉えていた。
「……それなりに。」
「それなりって、なんだよ(笑)」
「見ての通り、普通に暮らしてるよ、キラキラすることもなく、よ。」
「もしかして俺のせい?」
「フフッ、思いあがりが相変わらず(笑)だと、しても私が意気地なしなだけ。
碧のせいじゃない」
「お前は変わらないな、いつも自分の気持ちにまっすぐで凛としている」
「碧?そんな話をするために、私を過去と向き合わせているの?」
女々しい自分は嫌だった。
心の奥に、あの日をそっと押し込めて今日まで来たのに、
むやみ引っ張り出すのはしんどかった。
「あやまりたくてさ。」
「あやまる?何を?もし、私に謝らなければいけないことがあるとしたなら、もっと早くできたはず。私を探して見つけて謝るべきだった。でも、五年、五年も立って今更?」
「返す言葉はない、俺はお前がどんなことがあってもいてくれると思っていた。甘えていたんだ、伊織に。」
「そう思うなら、今何を話すの?謝ってすっきりするのは碧だけじゃない。私は、また傷をえぐられるだけ」
・・・・・・
「ごめん、何も言えないな。」
・・・・・静かに時間が流れていく
「もういい、許すとか許さないとか今言っても、あの時傷ついた気持ちは癒されるわけじゃないから。普通に懐かしさだけで話をして、バイバイしよう?」
・・・・碧は押し黙っていた。
「.......碧、今は何やっているの?」
「外資系の仕事やってるよ」
「そうなんだ、伊織は?」
「商社でバイヤーしてる、海外製品の。」
「へぇ、そうなんだ・・・彼氏は…?」
「いない、碧…は?」
苦しくて、胸が壊れそうになっている。
「俺もいないよ」
トクン、と胸がなった。
「あれから、ずっと伊織の事が引っかかってたんだ。あの時出した答えが合っていたのかって」
「....そう、それで最終的な答えは出たの?」
「.....今日、出た。」
「今日?」
碧は静かに、カフェオレを持つ私の手首にかかる袖をずらした。
「?!」
「......ブレスレットしてくれてたんだね」
「......物に罪はないから」
強がりを言うのが精いっぱいだった
「.....こんなに可愛かったんだな、素直じゃない顔」
大きな手がほっぺに触れる
碧が触れている部分だけが熱い。
視線が絡み合い、碧が先に言葉を発した。
「外出ようか」
「.....うん」
・・・・・・・
しばらく歩くと雪が降ってきた
あの時と同じようにキラキラしている
「あの時と一緒だね」
私がいうと
「....違うよ、今日は隣に伊織がいる」
そういうと、碧の顔が近づいた
.........そっと唇を重ねる。
「.....行こ」
静かな街並みの深夜、歩き始めた
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