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【第9章】『沈黙の殿下と、信頼の証』
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夕暮れの学園中庭。
誰も来ない静かな東屋に、三人の姿があった。
「姉上、本日もおつかれでござったな」
レオが、自作の“状況整理ノート”を広げながら開口一番、眉を寄せる。
「昨日の“当たり屋イベント(仮)”によって、姉上の印象値は一時急落……
が! 本日のお困り生徒救済ミッションにより、“庶民好感度”は微増しておる!」
レオの手書きチャートが、謎の色分けと矢印で埋め尽くされている。
「……この矢印、どっちが上昇なの?」
セレナが眉をひそめると、
「こっちです」
脇からすっと指を差したのは、シリル・ルシアンだった。
彼のメガネが、キラーンと一閃。
「お初のチャート拝見でしたが……これは混乱の極みですね」
「そこは褒めてほしいところでござるぞ!? 拙者の工夫が……!」
「混乱、の一語で十分です」キラーン
セレナが小さく笑う。
「でも、ありがとう。……それで、私、これからどうしたら?」
シリルは静かに口を開いた。
「“信頼”というものは、論理よりも感情に左右されます」
「……感情」
「はい。“誰かがあなたの行動に救われた”“心が動いた”……
そういう、“第三者の経験”を通してしか、大衆の印象は変わりません」キラーン
レオが目を輝かせた。
「つまり、“実際に見せるのではなく、見せた誰かが語るようにする”作戦、でござるな!」
「そうです。それを、計算でなく誠意でやること。そこが鍵になります」キラーン
「……あなたたち、すごいわね」
セレナがぽつりと呟く。
「いつの間にそんなに息ぴったりになってるの?」
レオは胸を張った。
「ふっふっふ……拙者とシリル殿は、気づけば“運命の共同戦線”を築いていたのでござる!」
「単に、興味深い対象だったので観察していただけです」キラーン
「……なんか、それっぽい返しも息合ってるわね」
風が、三人の間を通り抜ける。
セレナはふと、肩の力が抜けたような気がした。
「じゃあ私は……誠実に、でもちょっと工夫して、人と接していくわ」
「“伝えたい相手に伝える”こと。それが肝要です」キラーン
「姉上の善意、拙者がしっかり“世論という名のフォーラム”に届けて差し上げますぞ!」デュフフ
――こうして、チーム“悪役令嬢回避”の名誉挽回作戦が動き出した。
---
翌日の放課後。
学園中庭の一角、ひときわ静かなベンチに三人の影が集まっていた。
「姉上、今日のミッション対象者が決定したでござる!」
レオが得意げに指を差す先には――、廊下の隅にぽつんと佇む一年生の少女。
「“ノエラ=リムス”嬢、庶民出身、地方の小貴族の分家から特待で入学。
教養はあるが気が弱く、貴族令嬢の輪に馴染めず苦労中……という情報、間者より入手済み!」
「誰よ、その“間者”って」
セレナが呆れ顔で言う。
「掃除当番を一緒にやっていた生徒から、教室の壁越しにこっそり聞き取りました」
と、背後からシリルの冷静な声。
「この手の話は、庶民出身の同級生同士の空気にしか出てこない。
しかし、下層の共感を勝ち取れば、情報は一気に上層にも広まる傾向があります」キラーン(メガネ光る)
「なるほど……下から攻めて、上に回す。逆説的だけど効きそうね」
「その通りでございます、姉上!
まさに庶民感情ルート、第一段階! “共感→目撃→伝播”でござるな!」
「貴族の理屈は貴族に刺さらないが、“庶民の共感”は誰にでも刺さる」キラーン
セレナはノエラという少女をしばらく見つめたあと、小さく頷いた。
「じゃあ……今日の私は“ただの同級生”として、彼女に声をかけてみる」
「さすが姉上……!」
「……あ、でもテンプレの“過剰なお節介”は厳禁ですからね。さりげなさが重要です」キラーン
「言われなくてもわかってるわよ」
セレナはふっと微笑んで、歩き出した。
---
午後の陽が差し込む廊下を歩いていたセレナは、角で足を止めた。
前方に見えるのは、山のような本を抱えたノエラ。制服の袖には、庶民枠であることを示す控えめな刺繍がある。
「……落としそう」
思わず口をついて出た言葉。
少女がバランスを崩しかけたそのとき――。
「ごめんなさい。手、貸してもいいかしら?」
驚いたように顔を上げる少女に、セレナは自然に微笑んだ。
「ちょうど図書室に用事があったの。せっかくだから一緒に行かない?」
少女は戸惑いながらも、深くお辞儀をして「ありがとうございます……!」と答えた。
到着した図書室では、他の生徒たちが静かに読書中。
その中には――レオとシリルの姿もあった。
レオ「姉上、やるときはやる……! あのさりげなさ、もはやテンプレート的優しさの具現!」
シリル「いや、むしろあの自然体は計算を超えてますね」キラーン
「……ただの偶然よ」
セレナが小声で返しながら、少女の本を整理棚に並べていく。
少女「本当に、ありがとうございます。貴族の方にこんなふうにしていただいたの、初めてで……」
セレナ「本は誰にとっても重いものよ。身分は関係ないわ」
その会話の一部始終は、周囲の生徒たちの目にも止まっていた。
小声でささやき合う声が漏れる。
「……あれって、セレナ様?」
「嘘でしょ? すごく優しかった……」
レオがノートにメモを取る音だけが、静かな室内にカリカリと響いていた。
---
「今日のミッション、完遂でござる!」
レオが親指を立てる。
「“目撃者の人数”“視線密度”“好感度波及経路”――どれも申し分なし」
シリルのメガネがキラーンと輝いた。
「やめてよその“観察されてた感”」
セレナが眉をひそめると、2人はなぜか誇らしげに頷き合った。
「姉上、あとは数回の積み重ねで、信頼値は回復カーブに入るでござるよ!」
「……それって、どこかの数値化された世界の話なんじゃない?」
「ふふっ、まあ似たようなものです」キラーン
――こうして、セレナの信頼回復劇は、静かに、しかし確実に進み始めたのだった。
翌日、午後の実技授業が終わった後のこと。
セレナは一人、談話室の窓辺でノートを見返していた。
「……少しずつ、変わってるといいけれど」
小さく独り言をこぼしたそのとき、背後から静かな声が届いた。
「図書室で本を運んでいたそうだな。庶民枠の子と一緒に」
驚いて振り向くと、そこにはユリウス殿下が立っていた。
その金の髪が、午後の光を受けて淡く輝いている。
「殿下……どこでその話を?」
「昼食時に、同席していた生徒たちが話していた。君が本を運んでいたと」
「……ああ、噂になってるのね。別に、大したことじゃないのに」
「そうか? 貴族の婚約者が、自分から動いた。それだけで十分に大したことだと思うが」
一瞬だけ、セレナはユリウスの表情を探った。
その瞳は、淡々とした声音に反して、何かを測るようにこちらを見つめている。
「……私は、誰かに説明するためにやったわけじゃないの。ただ、自分がそうした方がいいと思ったから」
「言い訳がましくなくていい」
「え?」
「そういう言葉を、わざわざ人に聞かせる人も多い。だが君は、それをしなかった。
だから――聞く価値があると、思っただけだ」
少しだけ、セレナの頬が赤くなる。
その瞬間、ユリウスはわずかに口角を上げた。
「……良い午後を。ノート、読みすぎて目を疲れさせるなよ」
「……っ、ありがとうございます」
ユリウスは静かに背を向け、廊下を去っていった。
足音が消えた後も、セレナはしばらくその場に立ち尽くしていた。
――あれは、ほんの少しだけ、心が近づいた音がした気がした。
誰も来ない静かな東屋に、三人の姿があった。
「姉上、本日もおつかれでござったな」
レオが、自作の“状況整理ノート”を広げながら開口一番、眉を寄せる。
「昨日の“当たり屋イベント(仮)”によって、姉上の印象値は一時急落……
が! 本日のお困り生徒救済ミッションにより、“庶民好感度”は微増しておる!」
レオの手書きチャートが、謎の色分けと矢印で埋め尽くされている。
「……この矢印、どっちが上昇なの?」
セレナが眉をひそめると、
「こっちです」
脇からすっと指を差したのは、シリル・ルシアンだった。
彼のメガネが、キラーンと一閃。
「お初のチャート拝見でしたが……これは混乱の極みですね」
「そこは褒めてほしいところでござるぞ!? 拙者の工夫が……!」
「混乱、の一語で十分です」キラーン
セレナが小さく笑う。
「でも、ありがとう。……それで、私、これからどうしたら?」
シリルは静かに口を開いた。
「“信頼”というものは、論理よりも感情に左右されます」
「……感情」
「はい。“誰かがあなたの行動に救われた”“心が動いた”……
そういう、“第三者の経験”を通してしか、大衆の印象は変わりません」キラーン
レオが目を輝かせた。
「つまり、“実際に見せるのではなく、見せた誰かが語るようにする”作戦、でござるな!」
「そうです。それを、計算でなく誠意でやること。そこが鍵になります」キラーン
「……あなたたち、すごいわね」
セレナがぽつりと呟く。
「いつの間にそんなに息ぴったりになってるの?」
レオは胸を張った。
「ふっふっふ……拙者とシリル殿は、気づけば“運命の共同戦線”を築いていたのでござる!」
「単に、興味深い対象だったので観察していただけです」キラーン
「……なんか、それっぽい返しも息合ってるわね」
風が、三人の間を通り抜ける。
セレナはふと、肩の力が抜けたような気がした。
「じゃあ私は……誠実に、でもちょっと工夫して、人と接していくわ」
「“伝えたい相手に伝える”こと。それが肝要です」キラーン
「姉上の善意、拙者がしっかり“世論という名のフォーラム”に届けて差し上げますぞ!」デュフフ
――こうして、チーム“悪役令嬢回避”の名誉挽回作戦が動き出した。
---
翌日の放課後。
学園中庭の一角、ひときわ静かなベンチに三人の影が集まっていた。
「姉上、今日のミッション対象者が決定したでござる!」
レオが得意げに指を差す先には――、廊下の隅にぽつんと佇む一年生の少女。
「“ノエラ=リムス”嬢、庶民出身、地方の小貴族の分家から特待で入学。
教養はあるが気が弱く、貴族令嬢の輪に馴染めず苦労中……という情報、間者より入手済み!」
「誰よ、その“間者”って」
セレナが呆れ顔で言う。
「掃除当番を一緒にやっていた生徒から、教室の壁越しにこっそり聞き取りました」
と、背後からシリルの冷静な声。
「この手の話は、庶民出身の同級生同士の空気にしか出てこない。
しかし、下層の共感を勝ち取れば、情報は一気に上層にも広まる傾向があります」キラーン(メガネ光る)
「なるほど……下から攻めて、上に回す。逆説的だけど効きそうね」
「その通りでございます、姉上!
まさに庶民感情ルート、第一段階! “共感→目撃→伝播”でござるな!」
「貴族の理屈は貴族に刺さらないが、“庶民の共感”は誰にでも刺さる」キラーン
セレナはノエラという少女をしばらく見つめたあと、小さく頷いた。
「じゃあ……今日の私は“ただの同級生”として、彼女に声をかけてみる」
「さすが姉上……!」
「……あ、でもテンプレの“過剰なお節介”は厳禁ですからね。さりげなさが重要です」キラーン
「言われなくてもわかってるわよ」
セレナはふっと微笑んで、歩き出した。
---
午後の陽が差し込む廊下を歩いていたセレナは、角で足を止めた。
前方に見えるのは、山のような本を抱えたノエラ。制服の袖には、庶民枠であることを示す控えめな刺繍がある。
「……落としそう」
思わず口をついて出た言葉。
少女がバランスを崩しかけたそのとき――。
「ごめんなさい。手、貸してもいいかしら?」
驚いたように顔を上げる少女に、セレナは自然に微笑んだ。
「ちょうど図書室に用事があったの。せっかくだから一緒に行かない?」
少女は戸惑いながらも、深くお辞儀をして「ありがとうございます……!」と答えた。
到着した図書室では、他の生徒たちが静かに読書中。
その中には――レオとシリルの姿もあった。
レオ「姉上、やるときはやる……! あのさりげなさ、もはやテンプレート的優しさの具現!」
シリル「いや、むしろあの自然体は計算を超えてますね」キラーン
「……ただの偶然よ」
セレナが小声で返しながら、少女の本を整理棚に並べていく。
少女「本当に、ありがとうございます。貴族の方にこんなふうにしていただいたの、初めてで……」
セレナ「本は誰にとっても重いものよ。身分は関係ないわ」
その会話の一部始終は、周囲の生徒たちの目にも止まっていた。
小声でささやき合う声が漏れる。
「……あれって、セレナ様?」
「嘘でしょ? すごく優しかった……」
レオがノートにメモを取る音だけが、静かな室内にカリカリと響いていた。
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「今日のミッション、完遂でござる!」
レオが親指を立てる。
「“目撃者の人数”“視線密度”“好感度波及経路”――どれも申し分なし」
シリルのメガネがキラーンと輝いた。
「やめてよその“観察されてた感”」
セレナが眉をひそめると、2人はなぜか誇らしげに頷き合った。
「姉上、あとは数回の積み重ねで、信頼値は回復カーブに入るでござるよ!」
「……それって、どこかの数値化された世界の話なんじゃない?」
「ふふっ、まあ似たようなものです」キラーン
――こうして、セレナの信頼回復劇は、静かに、しかし確実に進み始めたのだった。
翌日、午後の実技授業が終わった後のこと。
セレナは一人、談話室の窓辺でノートを見返していた。
「……少しずつ、変わってるといいけれど」
小さく独り言をこぼしたそのとき、背後から静かな声が届いた。
「図書室で本を運んでいたそうだな。庶民枠の子と一緒に」
驚いて振り向くと、そこにはユリウス殿下が立っていた。
その金の髪が、午後の光を受けて淡く輝いている。
「殿下……どこでその話を?」
「昼食時に、同席していた生徒たちが話していた。君が本を運んでいたと」
「……ああ、噂になってるのね。別に、大したことじゃないのに」
「そうか? 貴族の婚約者が、自分から動いた。それだけで十分に大したことだと思うが」
一瞬だけ、セレナはユリウスの表情を探った。
その瞳は、淡々とした声音に反して、何かを測るようにこちらを見つめている。
「……私は、誰かに説明するためにやったわけじゃないの。ただ、自分がそうした方がいいと思ったから」
「言い訳がましくなくていい」
「え?」
「そういう言葉を、わざわざ人に聞かせる人も多い。だが君は、それをしなかった。
だから――聞く価値があると、思っただけだ」
少しだけ、セレナの頬が赤くなる。
その瞬間、ユリウスはわずかに口角を上げた。
「……良い午後を。ノート、読みすぎて目を疲れさせるなよ」
「……っ、ありがとうございます」
ユリウスは静かに背を向け、廊下を去っていった。
足音が消えた後も、セレナはしばらくその場に立ち尽くしていた。
――あれは、ほんの少しだけ、心が近づいた音がした気がした。
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