今日ぼくは、ある日の午後の汽車に乗って。

イナミ

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今日ぼくは、ある日の午後の汽車に乗って。

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あの世界に戻らないといけない。
あの国に帰らないと。


ぼくがそう考えだしたのは、いつ頃からだったろう。
生まれる前からだったような気もするし。
小学校から、、。
幼稚園の頃から?
ママのお腹の中で眠っていた頃から、なのかな、、、。
ここで生きているのに、違う世界を恋しがる。
ここじゃない国に想いを馳せる。
、、、ぼくは何なんだろう。







本州から海を渡った地方都市にぼくは生まれた。
地球儀を見るとすっごく小さな国。
でも外国みたいに戦争はない平和な国。
平和ならではの悩みもあるって、パパとママは言う。
ぼくにはそうゆうのは、ちょっと難しい、、、。




学校に行くのは当たり前だと、疑問にさえ想わなかった。
この世界で、この国で育つ内に、いろんな事情で学校に行けない子供達がいた。ここでもか。
、、、ぼくは、恵まれてる、、、、。



ママとパパは仲良しだ。
ケンカしたのを見た事がない。

ママからプロポーズしたんだって。
ママの初恋だと言っていた。
大学生だったパパのアルバイト先のカフェに、高校生だったママが毎日通ったって。

今も強そうだけど、高校生の時のママはもっと強そうな気がする。
ママはスポーツが得意。体を動かしてるのが好きなんだって。

パパの好みは特殊だと、ママとパパは言っている。
、、、特殊って何?
ママはダメ元で告白したと言っていた。
結婚出来るとは想っていなかったんだって。


パパは体が丈夫じゃない。お薬を定期的に飲んでいる。
かかりつけ医が処方しているお薬を飲まないと大変な事になる、と冗談っぽく笑う。
だからママに魅かれたんだ、と言う。

「強いものに昔から憧れてたから。ママは強くて綺麗だ。理想の花嫁さんだよ」

パパが笑う。幸せそうに。



パパの手術の跡を見せてもらった。
ぼくと同じ年の頃にしたんだって。
心臓の位置に大きな傷があった。
傷跡を怖々とさわるぼくに。もう痛くないよ、と、静かに言った。






父親似で良かったわぁーーー。
と、パパを産んだと言うおばあちゃんがぼくに言う。
あの子の小さい頃にそっくり。
と、とっても機嫌が良い。

ママとおばあちゃんは仲が悪い。
「最悪。マジ最悪」
とママは言う。

ママとの結婚を今も認めていないらしい。
パパのおじいちゃんは、パパが小さい時に亡くなったんだって。それからもっとパパに対する愛情がひどくなった、とパパはため息をついていた。



おばあちゃんは、ぼくに、裕福だ、お金持ちだと自慢する。
本州で何代も古くから続くやんごとなき家系なのだとものすごく自慢する。
その血を受け継いだぼくは優秀だと言う。
ママの血が混じって無ければもっと良かったのに、と。
ママを、何処の馬の骨とも分からないあんな男みたいな体格の女。と言う。
パパは長男だけど、体が弱いとの理由で家を継ぐのを親戚の奴らに阻まれた、とおばあちゃんはぼくに写真付きで解説して力説してなかなか止まれない。
、、、おばあちゃん、口から何度もツバが飛び出てるよ。興奮すると体に良くないよ。そしてその話しは前にも何回も聞いてるよ。


パパは、おばあちゃんの愚痴を聞いてくれてありがとう、とぼくに言う。
最高級ホテルで食べるケーキは美味しいから大丈夫だよパパ。







ぼくは夜、眠っている時、夢というのを見た事が無かった。
「変な夢見たなぁ」
と言ったパパに、夢って何、と聞いた。
「毎日の感情のカケラ?かな」
「カケラなの?」
「自分が無意識に考えているモノが頭の中で映画の様に再生する事?」
朝食を作りながら、悩みながら、パパは答える。
ママはまだ、夢の中?
「あと5分は寝かせてあげようか」
とパパが言った。











夜に夢を見ない。まるでその代わりでもあるかのように。
日中。学校の授業中、体育の運動中、場所や時間に関係なく、ある映像がぼくの頭の中に色と匂いと音と共に同時に紛れ込む。

それは、ここではない世界。ここではない国。
大きなお城。立派なお屋敷。広い庭苑。
ぼくは周りにいる人達にとても大切にされていた。
みんなぼくの意見を聞きたがる。ぼくと仲良くしたがる。ぼくを護衛している騎士さんがその人達を遠ざけている。気安く笑いかけてはなりません。とぼくは怒られていた。ごめんなさい、と謝るとその騎士さんは、貴方様の御力が目当てなのです。油断をしてはなりません。と言っていた。

その映像の中にいるぼくは。今のぼくではないぼくの姿をしていた。

こういう場面を小学生の頃から、もっと小さい頃から、、、、時々、見ている。
特に不思議にも想わなかった。
次はいつ見れるのかな、なんて気楽に考えていた。






ぽやぽやしてる性格、とママがぼくに言う。
そこが長所でもあり短所にもなるか、とパパが言う。
ぼくはマイペースな性格って言いたいの?
その通りかも。
あまり他の人に興味がない。ママとパパは大好きだけど。おばあちゃんは可哀想な人だと想うだけだし。
中学のクラスメイト達はなぜか皆んなぼくに優しい。
ぼくをイジメる人達がなぜだか現れない。
こういう性格の弱そうなのがクラスにいるのに。
ぼくのクラスはなんだか平和そうだ。争いが無い。
今日の授業中にあの映像は来るかな。それとも下校時間にちょっと見れるかな。




豪華すぎる食事がぼく1人分だと聞いて、勿体無いとぼくが言っている。
食べきれない分は厨房の人達が食べるわけではなく、そのまま捨てられると知り悲しい顔をしていた。貴方様の為のお食事なのです。他の者が手を付けていいわけが有りません。貴方様は大切なお方。ただの人間では無いのです。もう少し自覚なさいませ。

また大人から怒られていた。

家までの帰り道。寄り道なんてするわけもなく、ぼくは学校が終わったらすぐ帰る。だってドキドキする映像がぼくの頭の中に現れるんだから。







ママには両親がいない。
夜の病院に捨てられていたんだって。
「孤児院ですくすく育ったよ」
とママは笑う。
つらい事がなかったのか聞くぼくに。
「パパを見つけちゃったからそれで全てOKかな。パパにたどり着くまでの試練だと想えたよ」
と、さらに笑顔になる。
ママ、かっこいい。




幼稚園の頃、パパが絵本の読み聞かせをしてくれた。

とある昔に。貧しい大道芸人が、自分は世界を救う騎士だと勘違いをしたまま、痩せっぽっちの馬に乗って旅をするお話し。いろんな所でやらかしてしまうが。
最後は、あの勘違い騎士がやっぱり正しかったと判り。巻き込まれた人達全員が幸せになってしまうお話し。
勘違い騎士は、不幸な人達を幸せにする為に、これからも旅を続けて行く。
で、終わり。



騎士。
勘違い。
自分が勝手にそう想い込む事。

今頃になって、何でパパの読み聞かせを想い出すんだろう。ずっと忘れていたのに。
騎士さんがぼくの頭の中の映像に出て来たから?





小学校の修学旅行は東京だった。
有名な遊園地にも行くはずだった。
パパの生まれた本州を体感したいと想っていたけど。
無理だろうなあ、とも想っていた。

ぼくは海を、越えられない。
海を、渡れない。

いつだったか、家族旅行で本州へフェリーで行こうとしたら。
海が予想以上に荒れてしまい、予定も崩れて行けなかった。
別の連休、今度こそ家族旅行、と計画を細かく立てて飛行機にしたら、システムのトラブルとかで離陸できず引き返した。
海外旅行したい、とママが言って。ぼくもパパも楽しみに準備してたのに。飛行場で火災が発生して、、、、。


ママ1人とかパパ1人とかなら全然行けるんだ。
ママも友達と東京観光バスツアーに行ってるし。
パパも友達と京都観光に何日か行けてるし。
ただ、ぼくと一緒となると海峡を越えられない。
「すんごい偶然‼︎」と、ママはなんだか喜んでる?
「家族旅行したいだけなのになぁ」と、パパはしょんぼりしていた。


道内なら家族旅行は出来るんだ。
お天気は最後まで晴れてたし。他の観光客も多過ぎないし。ママの運転する車。道の駅を制覇しちゃうよ!パパ、ママ!




小学校の修学旅行、ぼくが前日に熱を出してしまって。行けなかった。
クラスメイト達からの修学旅行のお土産がたくさん届いていた。ありがとう。













やっと見つけた。と、ボロボロになった服を着た大人がぼくに言う。彼の両手は傷だらけで血も付いていた。
傷も血も付いていないぼくの左手を優しく取ると、真っ黒な小指にキスをした。

「えっっっ」
出てしまった言葉は。
誰にも聞かれなかったらしい。
音楽教室には、魔王の曲が流れていた。











ママはフィットネスのトレーナーをしている。
時間とお金に余裕があるおばさま方のお相手、をしているそうだ。
パパは料理の動画を上げている。
声も出さず顔も出していないのに高評価、再生回数が初心者にしては驚異の勢い、なんだって。
「ゆるっと出してるのになぁ」と、信じられないって顔をしてた。
パパの作る料理はとっても美味しいから、人気があるのはぼくも嬉しい。

そして、食べれなかった分は捨てられる、と聞いたあの世界のぼくの、悲しげな顔も想い出す。






近くのスーパーの端っこのコーナーに、本屋さんがある。
パパに頼まれていた牛乳を買うついでに寄って見ようと、なぜだか想った。

もう少し歩けば大型書店があるけど。
鉄道の時刻表は売ってるはず。

バイブルサイズの時刻表を買う。
初めて時刻表ってゆうのを買ったけどこんなに分厚いの?
ペラペラの破けそうな紙、虫眼鏡が欲しくなる数字の数々、、、。大きな文字の時刻表にすれば良かった、、、、。









おばあちゃんが今よりはしっかりしていた頃、ぼくはおばあちゃんに誘拐されそうになった。
正確には、おばあちゃんから頼まれて断りきれず手を貸してしまった大人から。
小学校の低学年だったぼくは。
見知らぬおじさんの、おばあちゃんがホテルでぼくを待ってるって聞いて、1週間前に高そうなホテルで初めて会ったおばあちゃんを想い出す。ぼくにまた会いたくなるには時間も短い気がしたけど。

優雅にロビーで待っていたおばあちゃんは、見知らぬおじさんの手をしっかりと握っていたぼくをニヤリな笑顔で見て、さあ本家に帰りますよ。と言った。
本家?ぼくの家はここにあるよ。パパとママもここにいるよ。どうしてぼくだけが帰らなくちゃいけないの?

あなたは特別な血を受け継いでいるの。こんな野蛮な土地に居ていい身分じゃないんですよ。

おばあちゃんに手を貸していたはずの見知らぬおじさんが連絡し、パパとママが助けに来てくれた。

その時、ぼくとおばあちゃんは空港で動けずにいた。
乗っていた飛行機のパイロットが、居眠りで他の飛行機にぶつかりそうになって、、、、、。



ここから離れる事は出来ない。
物心がついた頃から解ってた。

それがどういう現象を引き起こすのか。
ぼくはよく理解してなかった。












ゲームは好きだ。面白い。
でも、のめり込むほどやってもいない。
マンガも好きだけど、アニメ化したのを買うくらい。
小説は、マンガの小説版を読む程度。

ぼくの頭の中に入って来るあの映像は、ぼくの妄想なんだろうか。

ゲームやアニメを知る前から、ぼくの頭の中に紛れ込む映像。

、、、、楽しみにしていた。
ぼくだけのものだ。と感じた。








ママとパパに妄想って何だろう、と聞いた。

ママの答えは「妄想かあーー、自分の好きを混ぜ込む?かなーー」

パパの答えは「難しいなぁ。現実的ではないけどそうだったらいいなって考える事?でも人間って絶対にないってのを現実の世界に商品化までしてるからなぁ」
と、パパを悩ませてしまった。






ある雪の日。
あの世界でも雪が降っていた。
映像のぼくはまだ小学生みたいな年で、かじかんでいく青白い両手に自分の息を吹きかけていた。
暖炉に焚べる薪木はもう無くて。
ぼくの側には誰もいなくて。
さらに冷たくなってゆく部屋に、ぼくだけがいた。




暖房が効いているリビングに、パパとママがテレビを見ながら笑顔で会話をしてる。そこにぼくも入って自然と笑顔になる。
ぼくはママとパパが大好きだ。





ぼくに友達がいるか、いないか、ママもパパも聞いてはこない。
でも、いないって、わかってる。
安心させる為に誰と仲良くしてる、なんて嘘も言いたくない。

ママには友達がいるし、パパにも友達がいる。
ぼくは友達が欲しいと、想った事がない。
勉強で疑問が出たら先生や塾で教えてくれる。移動教室がどこに変更になったのか、聞けば意地悪されずに教えてくれる。2人1組みになる時、ぼくは余り物で、仕方なく先生が組んでくれる。にはならず。必ず。誰かがぼくに声をかけてくれる。学校生活で不自由になった事がない。だからなのか。
友達が欲しいと、考えた事もなかった。



学校の教室の休み時間。
クラスメイト達が、話題の劇場アニメを熱心に語って盛り上がってたり。
休日の待ち合わせに何を着て行くか話していたり。
今度行きたいパンケーキ屋の話題。
人気アイドルのコンサート、いつこっちのドームでやるんだろうか、とか。
喧騒はいつもので。小学生の頃の教室と変わらない様な話題や笑い声。

クラスメイト達が賑やかにしているのに。
ぼくはぼくがその中にいないのを、寂しいと感じてさえもいない。

話しかけられれば答えられる。
ぼくから質問したりもする。
少しとぼけたり、ちょっと笑わせたり。
クラスメイト達は皆んなぼくに優しい。
ぼくを仲間はずれには絶対にしない。

なぜかな、神様。









精神科に行った方がいいんだろうか。
ぼくの頭は、異常、だ。
ここではない世界の映像が頭の中に現れるなんて。
この世界のどこかにある国じゃない。のがわかる。
この世界に昔あった国じゃない。のもわかる。
似てはいるけどまったくの別の次元の先にある異世界だって、ぼくは知ってる。


ぼくが勝手に頭の中で妄想したモノ?

ぼくが小さな頃からだから重症だ、、、。

隔離施設に入れられる?

鉄格子付きの重い鋼鉄のドアの向こうからがぼくの新しい部屋?


狂ってる人は、自分を狂ってるとは言わない。
と、聞いた。
ぼくは自分が狂ってるとは想わないし、言わない。
だからぼくの頭はヘンで狂ってる?


あの世界に戻らないといけない。
あの国に帰らないと。

そう考えてしまうぼくは、もう手の施しようがない?

カウンセリングしても、もう手遅れ?






まるで、ぼくが生きやすい様に、整えられていく環境。
ぼくの周りの人達は皆んなぼくに優しくて親切だ。
悪意を向けられた事が1度もない。
それってヘンだよね。
神様。








時刻表をママが見たらしい。
分厚い時刻表を隠すわけでもなく。ぼくは机の上に置きっぱなしにしていた。
「1人旅の計画でも立ててるの?」
ママが言う。
「自転車で道内1周はまだ諦めてないぞ、今度は必ず行くからその時は一緒だぞ」
パパが言う。

来年には中3になる。
高校受験の勉強には意識が向かない。
パパやママにその事で注意されたりはしないけど、、、、、。





今は冬休み。
大晦日やクリスマスにはまだまだ早い。
道内の天気予報は、今月の降る雪の量は平均的、穏やかな気圧配置、と言っていた。家の前の雪かきはぼくの仕事だ。




神様は間違ってると想うんだ。
ぼくと誰かを。
この世界には自分と似ている人間が3人はいるって言うし。
ぼくの顔は目と鼻と口が正確に機能してるってだけだし。
性格も気弱だし。
誰かに好きになってもらえる魅力?ってゆうのはもちろんない。
リーダーシップを発揮するはあり得ない。

だから神様。
ぼくの頭の中に映像を見せないで下さい。
もっと相応しい人がいる。
その人に見せて下さい、、、。
、、、、、。










円卓での、話し合いを楽しんでいたぼくは、怒号と足音で会議室になだれて来た敵に、とってもあっさりと捕まっていた。当初からの計画だったらしい。会議室にいた何人かは敵側に寝返っていた。ぼくの大切な親友も、敵側にいた。ぼくを見て、裏切り者、と、憎しみのこもった言葉を投げる。違う!と反論する前に、誰かに殴られ、ぼくは床に倒れた。





映像はランダムだ。
大人になっているぼくもいれば、あの世界で生まれたばかりのぼくもいた。
泣いて幼馴染みの男の子に甘えるぼく。
叱られているぼくを庇う女の子。
初恋の大人の男の人が、実はぼくを探してくれた人だと気づいてはしゃぐぼく。そんなぼくを親友はため息をつきながらも笑っていた。





神様は1人しかいない、とは想っていない。
この国だけでも100人以上はいるし。

あの世界の神様達とこの世界の神様達は、仲が悪かったりする?

本当はあの世界で生まれるはずだったぼくは、どっちかの神様の間違いでこの世界に来てしまった?

あの映像は、もう終わってしまった過去の出来事?

それとも、これから始まる未来の映像?

ぼくがこの国で生を受けたのはどうして?
この国でゆっくり生きていなさいって事?

ぼくの頭の中に現れる映像は、小さい頃に見たのより確実に多い。

あの世界の神様がぼくに早く帰って来て欲しいって、伝えてる?


、、、、、何か予期しない事が起きた?










神話の絵本も、パパは読み聞かせをしてくれた。
気まぐれな神々にあたふたする人間達。
ご機嫌を直して頂こうと堂々巡りに奮闘していくお話し。えらい人やえらくない人、全員で知恵をしぼり出す。
最後は神様もこころ良く受け入れてくれて。
すべて世はこともなし。
で、終わった。




あまねく全ての世界は事も無し。
残った人間達のささやかな日常は、これからも変わる事なく続けられていく。





パパの読み聞かせが終わると、ぼくはさっそく聞いた。
神様は人間をなんだと想ってるの?


その言葉で笑いころげているパパ。
ぼくのほっぺたをつつきながらどう答えてくれたのか。
想い出せない。








「神様のところに行って聞いてみる?」















街での買い物はママの運転する車で来る。
今日はパパやママと一緒じゃない。
地下鉄を乗り継ぎ、駅前に来ている。
冬休みのこの時期は人がたくさん。
毎年、今年最後の月になると、なぜか皆んなが一斉に急がしそうになる。
好きな人との時間をいつも以上に大切にしたいから、仕事を早く済ませたい?

雪が降る前から飾られている。1人の、外国の神様の誕生日ディスプレー。
毎年、豪華になっていく。駅の天井まで届きそう。
すごい、、、、、。

本州から来た老舗デパートの数ある自動ドアの前で交差する人達。皆んなプレゼントを買ってるんだろうな。

駅の地下街。と、駅の地上周辺にあるトレンドばかりを集合させた、とママが言っていた、ビルの列は。再来年を目指してのリニューアルオープンの準備のせいで、営業してないお店や仮店舗の所もある。

駅の案内所。の隣が、改修工事の都合で白いペンキを塗った通路になっている。わりと長い迷路みたいな感じ。
つい、何度も往復した。






往復した前方に駅の鉄道の改札口がある。
この場所にあったかな。
時々にしか来ないからなあ。
道内旅行もママの運転だったから鉄道を利用しなかった。

今度は鉄道で家族旅行したくなった。
何線とか、地下鉄と似たような呼び方をするから間違えそう。パパなら詳しい?


いつでも乗れると想い、今まで乗ろうとも、しなかった。


なぜだろう。、、、。



、、、、、、、ぼくだけが。

、、、、、、乗って無い。



気がする、、、、、。






冬用ジャケットのあったかいポケットのスマホには、パパとママの誕生日プレゼントを買った後の残高はまだある。

これでどこまで行ける?









パパとママは12月の生まれ。
ぼくは11月。
「おしいっ」とママは言っていた。
ぼくも本当にそう想う。
3人、同じ月の誕生日をお祝いするのはどんなに嬉しいだろう。

ママやパパからお祝いされるのはとっても嬉しい。2人を独り占め出来るから。

パパからの誕生日プレゼントは、お小遣いの増額だった。ぼくがあんまり買い物とかしないから、もっと好きな物を買いなさいって事?
ママからの誕生日プレゼントは、筋肉に役立つトレーニングメニューだった。
、、、続けてみるよ、、、、。


誕生日に作ってくれたパパの料理はやっぱり美味しくて。3人で食べきれるサイズの可愛いバースデーケーキを自慢したパパ。柔らかい甘さで美味しかった。
その料理を上げていた動画。まだ再生回数が止まってないらしい。


パパは友達に手伝ってもらい、撮影をキッチンでしていた。
ママは仕事の帰りに忘年会があるから、帰りはいつもより遅くなるって言っていた。








この階段であってるはず。

他にも別への通路や階段やエスカレーター、あっちこっちにあって。人の型の多量のピクトグラム、左や右や上や下や。目印や矢印や売店や数字や花屋、、、、があって。


なんか古すぎる、ちょっと欠けたとこもあるコンクリート階段。

あっちのエスカレーターの方にしておけば良かったかなあ。






外の冷気が頬に押しつけに来る。
見上げた大屋根プラットフォーム。
待ってる人の数が少ない。
駅に来るまで混雑していたけど。
時間的にあまり乗る人がいないだけ?
昼間のこの時間、皆んなプレゼントや買い物に夢中なんだろうなあ。





ふうわりと霧のような粉雪を巻き込みながら。
年月を越えてなお使われ続けられる錆びた臙脂色の車両。

が、ぼくの前に止まる。

、、、、、、ここであってるよね。


あっ、あの分厚い時刻表!
なんで今想い出すかな!
せっかく買ってたのに。


あれがないといけない気がしたのに。

















ぼくは自分を、どっかおかしい人間だってやっと認めてあげれた。

生まれつき可哀想な頭をもってしまったって。


ぼくは、恵まれすぎている環境に感謝してる。


ぼくはこの頭の病気とこれからも付き合って生きないと。


人に暴力を振るうとか、そっちの方じゃなくて良かった。



ぼくの頭の中のことは、パパとママには言わない。

今まで通りの日常を過ごしたい。





雪が降って道が歩きずらくなる前にと、飛行機で会いに来るおばあちゃん。

あの懐かしい見知らぬおじさんも一緒だった。仲直りしたらしい。


おばあちゃんは認知症になったとパパが言っていた。
ぼくをパパと間違えていたけど。

、、、、、、前とまったく変わってないよ。







誰もこっちの車両に乗って来ない。
広々な空間を占領した。
ぼくだけの座席数‼︎
自分のテンションが変だ、とわかる。
なんでぼくこんなに嬉しいんだろう。
初めて乗るから?



広告とかないけど禁止されてるのかな。
座席は車両と同じに古さを感じる。

観光客も増える期間だから車両の数が足りなくてずっと眠っていたのを出して来た?
、、、それとも財政難?
パパがたまに言ってたのを想い出す。


暖房機が動く鈍い音が足元からしてる。
足が暖かい。いや、熱い。少し離した。

燻んだ群青色の座席。

窓の外は晴れていて、、、、。

、、、いつ動き出したんだろう。
アナウンスとか、しないものなの?


ママとパパの誕生日プレゼント‼︎
どこで落とした⁇

、、、駅の、コインロッカー。

なんで、預けたんだろ、、、、、








ぼくは自分は嫌いだ。
だけど、妄想の映像のぼくは嫌いになれない。

ぼくは恋愛感情とか持った事ないけど、ぼくの小指にキスした男の人は気になる。
あれはあっちの世界の軽めの挨拶?
ぼくの小指だけ真っ黒だった。
なんで?

また妄想の映像が現れてその理由がわかったらいいのに。

最近は妄想の映像が現れて来ない。



、、、、いい事なはずなのに。
それを望んでいたのに。

映像が見れなくなると不安になる。

ぼくがぼくでなくなるような気がする。

大事なものを無くしてしまった感じさえしている。

ぼくはここにいてママもパパもいるのに。

これ以上に大事なものなんてないのに。






きのうは夜ふかししなかった。
でも、眠くなってきてる。

冬休みの宿題、まだ残ってた。
早く終わらせないと。

足元があったまって気持ちいい。

ぼくからパパへの今年の誕生日プレゼントはモコモコ手袋。
ママへの誕生日プレゼントは雪だるま柄のブランケット。
ママはリビングのソファーにそのまま寝ちゃって朝まで起きない事がある。風邪ひくよ。

いろんな事考えたいのに、なんでこんなに眠い?


ぼくはどこまで行ける?

道内の、、、、、。

お金の残高ゼロになってた。

片道切符?

途中で降りてパパとママに連絡?

それとも行けるところまで?




窓の外が雪になってる。
いつから?
降ってる量も、増えている。
今月の降る雪は平均的じゃなかった?

猛吹雪になった。

、、、異常気象じゃないよね?


窓からの景色、見たかったのに。

雪が邪魔して見れなくしてくる。

、、、意地悪だなあ、、、。







ぼくは。
眠りに落ちかけ。
ながら。


今まで見れなかった夢。
と、ゆうものがやっと見れる、と確信していて。

そして。
家の玄関前が雪で大変になる前に雪かきしなきゃと考えて。

意識を離した。
















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