3 / 20
3
しおりを挟む
今日は王立学院の入学式である。
学校にしてはやや華美な全校生徒を集めるホールの壇上で、王子が新入生代表の挨拶をしている。
キラキラと輝く金髪。明るい空のような透き通った青い瞳。整った目鼻立ちに品よくスラリとしたいでたち。制服を着た王子。まさに王子様である。
(なんというか、多少の雰囲気の違いはあれど、ラブラビに出てきた王子にソックリね)
まぁ、ルナも人のことを言えた義理でないが。
ピンクブロンドにエメラルドの瞳、肌は白く小柄で守ってあげたくなるような儚げな雰囲気。あくまでしゃべらなければだが。
(新入生代表の挨拶は入試のトップがするはずで、私は当然断ったから、その次は王子ってこと?…それなりに優秀なのかしら?)
入試の挨拶を断った時のことを思い出し、ルナはフッと笑ってしまう。
(私が断ることを全力で祈っている顔をしてたわね)
学院にやってきた日、学院長室に呼び出されて行ってみればその話で、コンコンとノックして中に入れば、見るからに動揺し目が泳いでいる学院長がそこにいた。
「にゅ、入学式での新入生代表の挨拶は、にゅ、入試のトップの者がするものなのだが、こ、今回は、こ、今回の入試のトップは、あ、アース男爵令嬢、あ、あなたなのだが。なのだが…」
壊れた人形のように、なのだがを繰り返す学院長。
そんな学院長にルナは丁重に挨拶をお断りしたのだった。
あからさまにホッとした表情を浮かべた学院長。
(小娘相手に腹芸もできない、あんなおどおどした人がよく学院のトップである学院長になれたわね)
王国1の学力を誇るはずの王立学院である。その学院長ともなれば学術界ではかなりの力を持つ人物になるはずなのだが。
「今の挨拶で面白いトコあったか?」
隣に座るノーヴァがこっそり聞いてくる。
ルナは前を向いたままこっそり答える。
「挨拶?あぁ、聞いてないわよ。そんなの。ただ、挨拶を断った時の学院長の様子を思い出していたのよ」
「あぁ。なのだが人形だったっていう学院長な。今日の様子からは想像もつかねーけど」
「そうね。それは私も驚いたわ。今日はずいぶん立派に見えるもの。あれなら立派に学院長に見えるわ」
そんな失礼なことをノーヴァとアレコレ話していると入学式はあっという間に終わった。
今日は入学式だけなので授業はない。入学式のあとは自然解散で自宅や寮に帰るもの、学院を見てまわるものなど様々だ。
ルナとノーヴァは帰宅組だ。というか、ルナは現在ノーヴァの家に居候している。アース家には、王都に住む屋敷などあるはずもなく、最初ルナは寮暮らしをしようと思っていたが、ノーヴァも学院に行くということで、エトワール家にお世話になることになったのだ。もちろんお互いの両親公認のもとである。
ノーヴァと一緒にホールから外に出るための廊下を歩いていると、反対から賑やかな一団がやってきた。
王子とその側近そしてその取り巻きである。
(やれやれ)
と思いつつ、ルナは廊下の端により道をあける。
動きの悪いノーヴァに、
「アンタもさっさと避けなさいよ」
と注意しているとあちらもこちらに気づいたらしい。
ルナはなるべく王子達の方を見ないようにして、王子達が去るのを待った。
(さっさと通りすぎてくれますように。さっさと通りすぎてくれますように。さっさと通りすぎてくれますように)
ひたすらそう心の中で呟いていたのだが。
王子がふとルナの隣に来たときに足をとめた。
「君がアース男爵家の令嬢だろうか?」
そしてこう声をかけてきた。
その瞬間、私の隣にいるノーヴァが私にだけ聞こえるくらいの舌打ちをした。
私もまさに同じ気持ちだったが、なんとかこらえた。
「顔をあげてくれないか?君がアース男爵家令嬢なんだろう?」
もう一度、王子が言った。
その場はなんとも嫌な雰囲気だった。
王子に悪気はないのかもしれない。だが、王子の周りの者や遠巻きに私たちを見ている者からは、侮りや嫌悪など、悪意しか感じられない。
なぜ王子はわざわざいわくつきの私に声をかけるのだろう?
(関わりたくないのはお互いさまだろうに)
だが、これは逆にいい機会かもしれない。
(ちょうどたくさんギャラリーもいるしね)
学校にしてはやや華美な全校生徒を集めるホールの壇上で、王子が新入生代表の挨拶をしている。
キラキラと輝く金髪。明るい空のような透き通った青い瞳。整った目鼻立ちに品よくスラリとしたいでたち。制服を着た王子。まさに王子様である。
(なんというか、多少の雰囲気の違いはあれど、ラブラビに出てきた王子にソックリね)
まぁ、ルナも人のことを言えた義理でないが。
ピンクブロンドにエメラルドの瞳、肌は白く小柄で守ってあげたくなるような儚げな雰囲気。あくまでしゃべらなければだが。
(新入生代表の挨拶は入試のトップがするはずで、私は当然断ったから、その次は王子ってこと?…それなりに優秀なのかしら?)
入試の挨拶を断った時のことを思い出し、ルナはフッと笑ってしまう。
(私が断ることを全力で祈っている顔をしてたわね)
学院にやってきた日、学院長室に呼び出されて行ってみればその話で、コンコンとノックして中に入れば、見るからに動揺し目が泳いでいる学院長がそこにいた。
「にゅ、入学式での新入生代表の挨拶は、にゅ、入試のトップの者がするものなのだが、こ、今回は、こ、今回の入試のトップは、あ、アース男爵令嬢、あ、あなたなのだが。なのだが…」
壊れた人形のように、なのだがを繰り返す学院長。
そんな学院長にルナは丁重に挨拶をお断りしたのだった。
あからさまにホッとした表情を浮かべた学院長。
(小娘相手に腹芸もできない、あんなおどおどした人がよく学院のトップである学院長になれたわね)
王国1の学力を誇るはずの王立学院である。その学院長ともなれば学術界ではかなりの力を持つ人物になるはずなのだが。
「今の挨拶で面白いトコあったか?」
隣に座るノーヴァがこっそり聞いてくる。
ルナは前を向いたままこっそり答える。
「挨拶?あぁ、聞いてないわよ。そんなの。ただ、挨拶を断った時の学院長の様子を思い出していたのよ」
「あぁ。なのだが人形だったっていう学院長な。今日の様子からは想像もつかねーけど」
「そうね。それは私も驚いたわ。今日はずいぶん立派に見えるもの。あれなら立派に学院長に見えるわ」
そんな失礼なことをノーヴァとアレコレ話していると入学式はあっという間に終わった。
今日は入学式だけなので授業はない。入学式のあとは自然解散で自宅や寮に帰るもの、学院を見てまわるものなど様々だ。
ルナとノーヴァは帰宅組だ。というか、ルナは現在ノーヴァの家に居候している。アース家には、王都に住む屋敷などあるはずもなく、最初ルナは寮暮らしをしようと思っていたが、ノーヴァも学院に行くということで、エトワール家にお世話になることになったのだ。もちろんお互いの両親公認のもとである。
ノーヴァと一緒にホールから外に出るための廊下を歩いていると、反対から賑やかな一団がやってきた。
王子とその側近そしてその取り巻きである。
(やれやれ)
と思いつつ、ルナは廊下の端により道をあける。
動きの悪いノーヴァに、
「アンタもさっさと避けなさいよ」
と注意しているとあちらもこちらに気づいたらしい。
ルナはなるべく王子達の方を見ないようにして、王子達が去るのを待った。
(さっさと通りすぎてくれますように。さっさと通りすぎてくれますように。さっさと通りすぎてくれますように)
ひたすらそう心の中で呟いていたのだが。
王子がふとルナの隣に来たときに足をとめた。
「君がアース男爵家の令嬢だろうか?」
そしてこう声をかけてきた。
その瞬間、私の隣にいるノーヴァが私にだけ聞こえるくらいの舌打ちをした。
私もまさに同じ気持ちだったが、なんとかこらえた。
「顔をあげてくれないか?君がアース男爵家令嬢なんだろう?」
もう一度、王子が言った。
その場はなんとも嫌な雰囲気だった。
王子に悪気はないのかもしれない。だが、王子の周りの者や遠巻きに私たちを見ている者からは、侮りや嫌悪など、悪意しか感じられない。
なぜ王子はわざわざいわくつきの私に声をかけるのだろう?
(関わりたくないのはお互いさまだろうに)
だが、これは逆にいい機会かもしれない。
(ちょうどたくさんギャラリーもいるしね)
12
あなたにおすすめの小説
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
無実ですが、喜んで国を去ります!
霜月満月
恋愛
お姉様曰く、ここは乙女ゲームの世界だそうだ。
そして私は悪役令嬢。
よし。ちょうど私の婚約者の第二王子殿下は私もお姉様も好きじゃない。濡れ衣を着せられるのが分かっているならやりようはある。
━━これは前世から家族である、転生一家の国外逃亡までの一部始終です。
いや、無理。 (本編完結)
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。
一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。
もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、
「わかってくれるだろう?ミーナ」
と手を差し伸べた。
だから私はこう答えた。
「いや、無理」
と。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる