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つかの間の平穏
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あれからなんとかハンドベルに仕掛けをし、呪い以外で呼んでも来ないと再三念を押した後、私はやっと王宮から帰ることができた。
ハンドベルには私の手元に戻るまで、1度だけしか鳴らないよう魔法をかけておいた。
これでひと安心だ。
私は静かに暮らしたい。王子の呪いは魅力的だが、王子自体には興味はない。交流などもってのほかだ。
「アリア。またね」
と。別れぎわに王子は言った。
名を呼び捨てにされるようになったことより、"またね"というのが、耳についた。
それはまるで予言のようで、魔女であるはずの私が思わずヒヤリとしてしまった。
◇
◇
◇
去りぎわのヒヤリが杞憂であったかのように、その後、数年は静かで穏やかな日々を送ることができた。
なんなら、王子とのやりとりも忘れるほど平和だった。
20-30年寿命を延ばすことができたのはとても幸運だった。いくら強力なものでも、1度で10年以上をかせぐ糧に出会えることなど、そうそうない。1年延びるだけでもなかなか良質な糧なのだ。これはと思い、期待して行っても数ヶ月ならまだいい方で、中には数週間、酷いものだと数時間しか延びないものもある。数時間では、出かける時間とあわせるとプラマイゼロどころかマイナスである。
効率よくやろうと思えば、戦場や病院など、狭いエリアで一気に稼ぐこともできるが、私はそれらの凄惨な様子や陰鬱な雰囲気が好きではなかった。それに、魔女がそういう場所をウロウロしていると、捕まえようと攻撃してくる輩がいる。私は魔女だが、物理的に強いわけでも攻撃魔法が得意なわけでもない。魔女が人間に捕まっていいことなど何もないので、捕まるようなリスクは犯さない。
ひと握りの人間に、本人にも気づかれないくらいコッソリと近づき、ひっそりと事を成すことで、私は自分の寿命を延ばしてきた。
その事を思えば、王子は非常に効率的で、忍びこみやすいところに住んでいる、そして捕まる可能性の低い、いうなればいいカモだった。
(…だったはずなんだがなぁ…)
そんなことを思いつつ、私はつかの間の平穏を満喫した。
ハンドベルには私の手元に戻るまで、1度だけしか鳴らないよう魔法をかけておいた。
これでひと安心だ。
私は静かに暮らしたい。王子の呪いは魅力的だが、王子自体には興味はない。交流などもってのほかだ。
「アリア。またね」
と。別れぎわに王子は言った。
名を呼び捨てにされるようになったことより、"またね"というのが、耳についた。
それはまるで予言のようで、魔女であるはずの私が思わずヒヤリとしてしまった。
◇
◇
◇
去りぎわのヒヤリが杞憂であったかのように、その後、数年は静かで穏やかな日々を送ることができた。
なんなら、王子とのやりとりも忘れるほど平和だった。
20-30年寿命を延ばすことができたのはとても幸運だった。いくら強力なものでも、1度で10年以上をかせぐ糧に出会えることなど、そうそうない。1年延びるだけでもなかなか良質な糧なのだ。これはと思い、期待して行っても数ヶ月ならまだいい方で、中には数週間、酷いものだと数時間しか延びないものもある。数時間では、出かける時間とあわせるとプラマイゼロどころかマイナスである。
効率よくやろうと思えば、戦場や病院など、狭いエリアで一気に稼ぐこともできるが、私はそれらの凄惨な様子や陰鬱な雰囲気が好きではなかった。それに、魔女がそういう場所をウロウロしていると、捕まえようと攻撃してくる輩がいる。私は魔女だが、物理的に強いわけでも攻撃魔法が得意なわけでもない。魔女が人間に捕まっていいことなど何もないので、捕まるようなリスクは犯さない。
ひと握りの人間に、本人にも気づかれないくらいコッソリと近づき、ひっそりと事を成すことで、私は自分の寿命を延ばしてきた。
その事を思えば、王子は非常に効率的で、忍びこみやすいところに住んでいる、そして捕まる可能性の低い、いうなればいいカモだった。
(…だったはずなんだがなぁ…)
そんなことを思いつつ、私はつかの間の平穏を満喫した。
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