悪の魔女は王子の溺愛から逃れられない

ナカナカ田

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魔女のメイド奮闘記2

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ほどなくして、年かさの女性がやってきた。なんというか、貫禄がある。なんのかんのうるさい王子を追いだして彼女に聞く。

「忙しいところすまない。貴方はコレを頭に付けていないようだが、付けなくていいのか?最初は付け方を聞こうと思ったんだが、付けなくていいのなら、やめてもいいのだろうか?」

女性は一瞬驚いたような顔をした。しかし、すぐに冷静な顔に戻る。

「仕事の上で必要かと言われれば、必要ありません。しかし、付けていた方が殿下は喜ばれるかと。私は殿下の乳母に当たりますので、ソレは付ける必要がないのです」

「なるほど。…必要はないのか…」

必要ないなら付けたくはない。

(…邪魔そうだし)

魔女の中には雰囲気というか、ビジュアルを重視するものもいる。だが、私は全く重視していない。着心地と動きやすさ重視だ。

「殿下はつけた方が喜ばれるかと」

「そこは私にとってあまり重要ではないんだ」

さきほどと同じことを言われたが、それならつけなくていい気がした。

「…念のため、つけ方を聞いておいてもいいだろうか」

「では、おつけいたしましょう」

「いや、それでは私には分からないのでは…」

おそらくつけないだろうから、念のため聞いておこうと思ったら、女性がグイグイきた。つけさせる気マンマンである。

(さすがは王子の連れてきた人物だ)

押しの強さがハンパない。

おそらく不審人物である私に対しても臆することがない。

そうこうしているうちに、取りつけが完了した。どうやら両耳の後ろーー首の上ーーあたりでリボンの両端を結べばいいようだ。

「案外簡単なのだな」

これなら自分でもつけられそうだ。ーーつける気はサラサラないが。

「ありがとう。下がってくれてかまわない」

言いながら、頭のソレを外そうとすると、その手をそっとつかまれた。

「もう少し、お待ちください」
「ねぇ、まだなの?そろそろ休憩にしたいんだけど…」

コンコンというノックと同時に王子の声がした。

「では、私は失礼します」

フッと笑って女性は去っていった。

代わりに王子がやってくる。

「準備完了…かな?」

とてもいい笑顔である。

メイド生活1日目。まだまだ始まったばかりである。
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