神様と友達な彼と最強くん

深園 彩月

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第一部・第一章:神様の命令はゼッタイ!

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〈爽side〉


 嵐武様に追い出された俺は、自分の部屋で学園に入学するということについて思考を巡らせていた。

「…明日、神界を出て人間界に行くのかぁ……」

 俺の年齢だと、高校1年生になるんだよな。

 学園……か。

 どういう場所なんだろう?

 楽しみ半分、怖さ半分ってとこだな。

 だって、今までいたとこから全く別の所に行かされるんだぞ?

 不安がない訳がない。

 神様から教えてもらった情報だけでどこまでやれるのか、ものすごく不安だ。

 向こうに着いたら分からないことは誰に聞けば良いんだろ?

 神様達も暇じゃないし、気軽に呼んじゃ駄目なんだろうな。

 学園って年の近い子が沢山通ってるとこなんだっけ。

 友達とか恋人とか、神様に聞いても難しく答えてくれちゃうもんだから理解できるもんも出来なかったんだよなぁ。

 とりあえず仲良くなったら友達なのか?

 わかんねぇなぁ…………

 床に座り込んでた態勢からごろんと横になる。

 あー駄目だ、色んなもんが頭の中ぐるぐるしてる。気持ち悪い。

 考えなきゃいけないのが多すぎて嫌だ。

「爽。お邪魔しますね」

「うおわっ!?白狐か、びっくりした」

 突然背後から現れたクリーム色の狐。

 びっくりした……白狐だった。

 なんで白狐っていつも背後からぬっと現れるんだろ?疑問だ。

「好きなだけ私の体を撫で繰りまわして良いですからここに居させて下さい」

 いつも人型の白狐だけど、時間のあるときは可愛らしい狐になってる。

 その姿のときはクリーム色の滑らかなもふもふの体を好きなだけ撫でて撫でて撫でまくるのが俺の日課。

 俺は触り心地の良さそうな白狐を瞳に映した瞬間飛びかかった。体のあちこちを撫で撫でしてもふもふしてひたすら満喫した。この触り心地マジ気持ち良い。

 あ、一応言っとくが変態じゃないぞ。

「明日ですね。爽が高校生になる記念する日は」

 それを聞いたとたん、白狐を撫でていた手がふと止まった。

「……うん、そうだね…」

「元気がありませんね。学園生活に不安を感じてるからですか?」

「それはもちろんだけど……それよりも、神様達が争ってることの方が気がかりでさ……」

 学園生活の件は今更どうこう言っても決定事項なんだからどうにもならないだろうから今はいい。

 けど神様達の争いは別だ。

 今回の争いは焔の戦神と雷の戦神が巻き起こしたと聞いた。

 二人とも、よくここに出入りしていた。

 嵐武様との仕事で来ていたことがほとんどだけど、特に焔の戦神こと炎縛神様は時間が空いたときに人間界のことを教えてくれたり話し相手になってくれたりした。

 性格はちょっとアレだけど根は良い神様達なのに。

「爽は他人のことを心配しすぎです。いつも言ってますが、もっと自分のために時間を費やした方が良いと思います」

 え?そうなの?

「俺結構自分のために時間使ってると思うんだけどなぁ。神様達に人間界の情報教えてーってお願いしたり、剣術や体術の稽古をお願いしたり、全部自分のためだし……」

「神の役に立ちたいと情報収集していたことは知ってます。稽古だって、次々と消えてしまう弱い神を守りたいという願いから懇願していたことも知っています」

 全くその通りで言葉が出ない。

 だがそれは数年前までの話だ。

 俺がいくら強くなっても守ることはできないと悟ったから。

 弱い神同士の戦を見て、率直に思ったことだ。

 どれだけ弱い神様でも、人間の俺に守られるほど弱くないと知ったから。

 人間の俺がどう足掻いても、努力しても、このひと達には追い付けないんだ、と。

「……昔の話じゃん。今は只のがり勉野郎だよ?俺」

「そうですね。人間風情にしては知識が満載ですもんね。知識を得すぎて脳ミソ爆発すれば良いと思います」

 あれあれ?

 白狐が若干毒舌なのは気のせいかな?

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