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第一部・第二章:出会いと再会は突然に
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「ちょっと待って下さい!罰則が探検ってなんすか!?」
罰則って、もっと厳しいもんじゃなかったっけ!?何さ探検って!マンガにもなかった展開だぞ!!
「いやぁ、だって爽くん編入してきたばっかだしぃ?そんな厳しい罰則にしても……ねぇ?」
「だからって探検はないでしょう!!」
さっきのブラックオーラはなんだったんだよ!!
「いーじゃんいーじゃん☆校内探検で今後迷ったりする確率減らしたほうが爽くん的にはグッドじゃない!罰則なんてものは初めからなかったと思ってさ!」
「確かにそうですが……って、あなたがソレ言っちゃっていいんですか」
仮にも学園長だろあんた。
「まあいいのよぅ!授業中は基本人いないから、ゆっくり見てまわれるよっ!隣の校舎は霊能科だから近づかないようにね!じゃあ行った行った!」
さらっと受け流されたうえに半ば無理矢理食堂から追い出されるかたちになった。うどん食べ終わったとたんにこの状況かよ!
言うことがメチャクチャだよ、本当……
ちなみにチラッと見たらイオリちゃんは親子丼をがっつり食べていて、食欲の塊みたいだなぁって思った。
そんで、最後まで助け船はなかった。
………世の中って、甘くないんだなぁ。
ほんの少しだけそう思った。
多分、嵐武様と白狐が甘すぎるんだと思うけど。
食堂の入口を出て言われた通り校舎を見てまわろうとしたのだが、不意に学園長が呼び止めた。
「あ、待って爽くん!」
自分が追い出したくせに何故呼び止めたのか、と思い振り返り「なんですか?」と問う。
「霊能科には近づかないように、って言ったそばから悪いけど、授業放棄する子が霊能科にいるの。霊能科の近く通ったときに見かけたら授業に出るように言ってくれる?」
なんでそんなこと俺に押し付けるんですか!と口にしそうになったがあいにくそれはできなかった。
何故なら、学園長の顔がひきつった笑みを浮かべていたから。
何故だろう。口調はさっきとそう大差ないのに真剣にお願いされた気分になっていた。
その授業に出ない人は何かあって授業放棄してるのか?
いや、そんな深く考えなくてもいいんじゃん。絶対そうしないといけない訳じゃないし。
「見かけたら言っときます」と一言残し校舎の出入口を探しに廊下に出た…が、なんか知らないけど、俺を見た女子がほぼ全員赤面して道を譲ってくれた。
なんで皆して道譲ってくれたんだろ?中には学園内のこと粗方教えてくれた女の子もいたし。あと別れ際に名前教えてって言われたのも疑問だし。
主に女の子達が俺に視線を向けたままひそひそ話してたのがすんごい気になったんだけど。俺の身体に何かついてる?まさか、制服の着方が違うとか?
うわーどうしよう大丈夫かな。もう授業中なのか、誰も廊下歩いてないみたいだし誰かに聞くこともできねぇし!ましてや校舎の外には野良猫ぐらいしかいないし!
野良猫に「ねえねえ制服の着方違うかな?」なんて馬鹿な質問できないし。
あー、1人だと不安になるなぁ。
なんて考えながら普通科の校舎のまわりをぐるぐる闊歩してる俺。
もう何周目だよって自分でも思っちゃうよ。
だってまだ勇気が貯まってないもん!
霊能科の近く行く勇気ないんだもん!!
罰則受ける覚悟はあるのにたかが違う校舎に行くぐらいのことで勇気がないっておかしいわ!!笑っちゃうわ!!
覚悟と勇気は別もんなんだよ……!!
「てか、なんで俺が霊能科に行かなきゃいけないんだ?」
そんな必要ないよな?学園長が勝手にお願いしてきただけだし、無視してもいいんじゃん?
そうだよ無視しよう。そうしてしまおう!
さーてまずは男子寮に行くかぁ!男子寮男子寮……
『お願いね』
その言葉が頭を過る。
深くため息をもらしたあと、女子生徒が教えてくれた霊能科に続く道を歩き出した。
お願いされたんだから、無視することはできない。
探検……というよりは人探しだけど、罰則ついでに霊能科に行くか。
「さぁて、どこにいるかなー」
両手を挙げて伸びをしながら歩を進める俺だが、学園長の言ってた授業に出ない人との出会いが俺の今後を左右するなんて微塵も思わなかったんだ。
俺とその人との運命が交錯するとき、すでにいろんな事が手遅れになっていただなんて
少しも心になかったんだ………
罰則って、もっと厳しいもんじゃなかったっけ!?何さ探検って!マンガにもなかった展開だぞ!!
「いやぁ、だって爽くん編入してきたばっかだしぃ?そんな厳しい罰則にしても……ねぇ?」
「だからって探検はないでしょう!!」
さっきのブラックオーラはなんだったんだよ!!
「いーじゃんいーじゃん☆校内探検で今後迷ったりする確率減らしたほうが爽くん的にはグッドじゃない!罰則なんてものは初めからなかったと思ってさ!」
「確かにそうですが……って、あなたがソレ言っちゃっていいんですか」
仮にも学園長だろあんた。
「まあいいのよぅ!授業中は基本人いないから、ゆっくり見てまわれるよっ!隣の校舎は霊能科だから近づかないようにね!じゃあ行った行った!」
さらっと受け流されたうえに半ば無理矢理食堂から追い出されるかたちになった。うどん食べ終わったとたんにこの状況かよ!
言うことがメチャクチャだよ、本当……
ちなみにチラッと見たらイオリちゃんは親子丼をがっつり食べていて、食欲の塊みたいだなぁって思った。
そんで、最後まで助け船はなかった。
………世の中って、甘くないんだなぁ。
ほんの少しだけそう思った。
多分、嵐武様と白狐が甘すぎるんだと思うけど。
食堂の入口を出て言われた通り校舎を見てまわろうとしたのだが、不意に学園長が呼び止めた。
「あ、待って爽くん!」
自分が追い出したくせに何故呼び止めたのか、と思い振り返り「なんですか?」と問う。
「霊能科には近づかないように、って言ったそばから悪いけど、授業放棄する子が霊能科にいるの。霊能科の近く通ったときに見かけたら授業に出るように言ってくれる?」
なんでそんなこと俺に押し付けるんですか!と口にしそうになったがあいにくそれはできなかった。
何故なら、学園長の顔がひきつった笑みを浮かべていたから。
何故だろう。口調はさっきとそう大差ないのに真剣にお願いされた気分になっていた。
その授業に出ない人は何かあって授業放棄してるのか?
いや、そんな深く考えなくてもいいんじゃん。絶対そうしないといけない訳じゃないし。
「見かけたら言っときます」と一言残し校舎の出入口を探しに廊下に出た…が、なんか知らないけど、俺を見た女子がほぼ全員赤面して道を譲ってくれた。
なんで皆して道譲ってくれたんだろ?中には学園内のこと粗方教えてくれた女の子もいたし。あと別れ際に名前教えてって言われたのも疑問だし。
主に女の子達が俺に視線を向けたままひそひそ話してたのがすんごい気になったんだけど。俺の身体に何かついてる?まさか、制服の着方が違うとか?
うわーどうしよう大丈夫かな。もう授業中なのか、誰も廊下歩いてないみたいだし誰かに聞くこともできねぇし!ましてや校舎の外には野良猫ぐらいしかいないし!
野良猫に「ねえねえ制服の着方違うかな?」なんて馬鹿な質問できないし。
あー、1人だと不安になるなぁ。
なんて考えながら普通科の校舎のまわりをぐるぐる闊歩してる俺。
もう何周目だよって自分でも思っちゃうよ。
だってまだ勇気が貯まってないもん!
霊能科の近く行く勇気ないんだもん!!
罰則受ける覚悟はあるのにたかが違う校舎に行くぐらいのことで勇気がないっておかしいわ!!笑っちゃうわ!!
覚悟と勇気は別もんなんだよ……!!
「てか、なんで俺が霊能科に行かなきゃいけないんだ?」
そんな必要ないよな?学園長が勝手にお願いしてきただけだし、無視してもいいんじゃん?
そうだよ無視しよう。そうしてしまおう!
さーてまずは男子寮に行くかぁ!男子寮男子寮……
『お願いね』
その言葉が頭を過る。
深くため息をもらしたあと、女子生徒が教えてくれた霊能科に続く道を歩き出した。
お願いされたんだから、無視することはできない。
探検……というよりは人探しだけど、罰則ついでに霊能科に行くか。
「さぁて、どこにいるかなー」
両手を挙げて伸びをしながら歩を進める俺だが、学園長の言ってた授業に出ない人との出会いが俺の今後を左右するなんて微塵も思わなかったんだ。
俺とその人との運命が交錯するとき、すでにいろんな事が手遅れになっていただなんて
少しも心になかったんだ………
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