男装宰相と護衛騎士

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男装宰相は騎士のひざ枕で眠る

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 完全無欠の人形宰相ことラーズ・ベリィは、日が登ったばかりの王城のなかを歩いていた。その腕には小ぶりな箱がある。

 箱の中身はラーズの私物。
 寝室をともにしていた少年王から「専属騎士をつけるから、ひとり部屋で過ごすといいよ」と言われてから数日。ラーズは忙しい仕事の合間を縫って、新しい部屋へと荷物の運搬をしていた。

「宰相閣下、この箱にはなにが入っているのでしょうか」

 ラーズの半歩後ろを歩くトウが、両腕で抱えた大きな箱を見下ろしてたずねる。
 騎士だけあって鍛えているためよろめきはしないものの、彼の額にはけっこうな重みに汗がじわりとにじんでいた。

「本だね」

 ひとり部屋を手に入れたことで寝不足が解消されても、ラーズの無表情は変わらない。
 人形めいた無機質さで短く返されるが、そこで引き下がるようでは専任護衛は任されない、とばかりにトウは質問を重ねる。

「さっきも本の詰まった箱を運びましたよね?」
「あれは近隣諸国の歴史に関連する書物の箱。こっちは実用書が入ってる。作物の栽培から人心掌握術までなんでもあるよ」

 読みたければ貸そうか、と言うラーズに、トウは苦笑いを浮かべる。
 文字の読み書きは一通り身に着けているけれど、それと読書が好きか否かはまた別の問題だ。

「宰相閣下は書物が好きなのですか」

 断りの文句をくちにするかわりにトウがたずねれば、ラーズはわずかに首をかしげた。

「それらはすべて私物だけれど、好きかと言われると、どうだろうね」

 自身のことを聞かれたというのに、ラーズの反応はまるきり他人事だ。
 トウが専任護衛に着いてまだ数日。互いのことを知るには時間が足りなかった。
 なにせラーズは宰相だ。国のあらゆる方面に目を配らなければならず、その国が一度荒れたあととくれば、忙しさは天井知らず。

 ラーズがトウへの明確な問いを見つけ出すより先に、城の鐘が鳴りはじめた。

「ああ、今朝はこの荷で終わりですね」
「なかなかはかどらないな」

 残念だ、と言うラーズの顔に残念さは見て取れないけれど、トウは気にせず肩をすくめる。

「宰相閣下はお忙しいですから、仕方ないことかと。一任していただければ万事、手配しますが」

 騎士の提案に、ラーズはわずかに沈黙した。

「……ううん、いい。急ぐものはだいたいトウが運んでくれたし。王も急がなくて良いって言ってたし」
「そうですか?」

 ラーズの仕事ぶりは正確で速い。
 即断即決、決めたらすぐに動き出すよう指示を出す。
 そのせいで古くから残る貴族たちにはずいぶんと煙たがられた。若い王を唆すとささやかれ、命を狙われたことも何度かある。

 そんなラーズが私物の運搬という雑事をすばやく片付けてしまわないことを意外に思いながらも、トウは荷物についてそれ以上は聞かなかった。
 なぜなら、たどり着いたラーズの私室で物音が聞こえたからだ。

「……宰相閣下。この時間に王があなたを訪ねてくるご予定は」

 ひそめたトウの声に、ラーズは静かに首を横に振る。

「ないね」

 簡潔な答えに、トウは先に立って扉のノブに手をかけた。
 専任の騎士が視線を向けるよりはやく、ラーズは部屋のなかからは見えない位置に移動して壁を背に立っている。
 万一、部屋のなかに賊がいて斬りかかってきたとしても届かない位置だ。かつ、トウの視界にも入る場所。

(守りやすくて助かる)

 トウはラーズを視界の端に映しながらノブを回し、素早く開いた扉の向こうに大きく踏み込んだ。途端に。

「きゃあ!」

 悲鳴とともにトウの目の前に人影が現れた。

(武器は所持していないな)

 確認し、トウはぶつかりそうになったその身体を片手で抱き留めると、すばやく相手の姿に目を配る。
 侍女の服を着ているが、しっかりとおしろいが塗りこめられた顔といい、艶やかで豊かな髪の毛といい、恐らく身分のある女性だろう。

「……私の部屋は清掃不要だと通達されているはずですが」

 トウの背後から、ラーズが静かに声をかけると、女性の顔はぱっと華やいだ。

「もちろんうかがっておりますわ。ですが、閣下のお部屋にお花のひとつもないのではさぞや寂しいことと思って、わたくしお待ちしておりましたの」

 ラーズに駆け寄ろうとするご令嬢の身分をトウは知らない。だが、ラーズを守ることは王直々の命令だ。

(難癖つけられたら王さまの威を借りますよ、っと)

 迷う間も惜しいと、トウはご令嬢の前に腕を伸ばしてゆく手を阻む。

「お前、わたくしを誰だと思っているの!」

 案の定、ご令嬢が目を吊り上げてトウをしかりつけた。
 とはいえ、トウは彼女が誰なのか本気でわからない。めぼしい良家のご息女がたは、王妃の座に収まろうとやってきてはあらかた追い返されたはずなのだけれど。

「ナーリッキン男爵のご息女ですね。花が見たければ庭に出るので、帰って良いですよ」
「なっ!」

 ラーズの淡々とした声にご令嬢はカッと頬を赤らめた。
 遠まわしでも何でもない拒絶に恥ずかしさを感じたのか、あるいは怒りか。
 けれど、その赤く塗られた唇が甲高い声を発するより先にラーズが続ける。

「それに私の部屋には機密文書が多いものですから。王の許可を得ていない者が入室した場合は、国家反逆を問わねばならないのですが」

 途端に、令嬢の顔は青ざめた。

「わ、わたくしそんなことは知りませんわ! お部屋のなかのものにも触れていません!」

 ふるふると首を横に振りながら彼女はそろりとトウの腕から抜け出す。抑え込んでいたわけではない。単にラーズに向かわないよう阻んでいただけなので、令嬢は難なく離れていく。

「わかってます。今ならあなたのことは私たちしか知らない。あなたがこのまま去ってくれるのなら、私たちも忘れますから」

 ラーズの静かな声に、令嬢の顔がぱっと明るくなった。胸の前で可憐に両手を組み、涙のにじむ目で彼女は人形じみた宰相の美貌を見つめる。

「まあ! さすがは宰相閣下ですわ。わたくし、殿方に必要なのはやさしさだと思っておりますのよ」

 すかさずすり寄ろうとする令嬢をトウが阻むより前に、ラーズは一言。

「男爵位など、反逆罪で即刻消えますよ」

 ぴきり、と空気が固まったように感じたのはトウの気のせいだろうか。
 顔をこわばらせた令嬢が、そろりそろりと後退していく。
 その様はまるで熊と遭遇した野生動物のようだ、とトウはぼんやり思う。

「ご、ごきげんよう!」

 じゅうぶんな距離を取ったご令嬢は、裏返った声のあいさつを残して駆け去った。

「やれやれ、忙しい令嬢だね」

 ラーズはその後ろ姿に目もくれず、自室に入っていく。トウも後に続いた。

「よく、ご存知でしたね。新興の貴族のかたでしょうに」
「ナーリッキン。他国との貿易で儲けている商人。儲けのためには多少強引なこともするが、まあ国として見逃せる範囲におさまってるから、爵位を与える許可証に判を押したんだ」

 さらりと言われて、トウは目の前のラーズの少年めいた顔をまじまじと見つめてしまう。

(そういえば、このひと宰相なんだよな)

 見た目は、人形じみた美しさを備えた華奢な少年。
 その実、ひとつの国をまとめあげる王を補佐する宰相であり、男装した少女でもある。
 ラーズが無闇と偉ぶることをしないため、トウもつい忘れて気安く接してしまうけれど。

「宰相閣下」

 気持ちを改めて呼んだトウは、いそいそと寝床に潜るラーズを目にして口元をひきつらせる。

「何をしておいでですか?」
「んー、少しだけ休憩しようかと……」

 問いに答えるラーズの声は、すでにとろとろとふやけはじめていた。
 トウはベッドにつかつかと歩み寄り、ちいさくふくらんだ掛け布団を引き剥がす。
 ころん、と出てきたのは丸まったラーズ。
 細い手足をちいさく折りたたみ、うらみがましい瞳でトウを見上げる姿は、巣穴から引っ張りだされた小動物のよう。

(うっ)

 思わず布団をつかむ手から力が抜けかけたトウは、心を鬼にした。

「そのような時間はありません」
「だって、さっき鐘が鳴ったのに」

 ラーズが諦め悪くくちをとがらせる。仕事中は無表情を貫き通すこの宰相は、私的な時間には案外と子どもっぽいしぐさを見せると、トウが知ったのはここ数日のこと。
 つい甘やかしたくなるが、そうもいかない。

「さきほどのご令嬢とのやり取りが無ければ、すこし横になるくらいはできたのでしょうが」

 暗に、悪いのはさっきの令嬢だとトウが訴えれば、ラーズは布団のうえでごろごろと駄々をこねた。

「まったく、あの手のご令嬢は何度追い払っても現れるのはなんなんだ! それほどに宰相の妻の座が欲しいものなのか!」

 職務中のきりりとした姿しか知らないのであれば、王自ら連れて来たということ以外に出自のわからない宰相を血縁に入れたいと考える貴族もいるのかもしれない。

(ぽすぽす、と布団に拳を振り下ろすラーズはまるで幼児なのに)

 呆れた視線を隠す気もないトウの前で、ラーズは枕を抱きしめて布団をころころと転がり始める。

「貴族というのはどうして、いつもいつもひとの休息を邪魔をするんだ! 色仕掛けしたいなら王を狙えばいいのに!」
「……先ほどのようなことは、たびたびあるのですか?」

 トウが問いかけると、ラーズの回転が止まった。枕に顔を押し当てたまま、ラーズはもごもごと言う。

「よくあるね。仕事場に差し入れに来たひとや私的にお話したい、なんて手紙を送ってきたのはかわいらしいものだけれど。ひと気のない場所ですり寄って来たり、服を乱れさせて飛びかかって来られるのは困ったね」

 淡々と語るあたり慣れているらしいと思いながらも、トウはなんとなくもやもやする。
 貴族の娘たちに囲まれるラーズを想像しようとしたトウの脳裏に、着飾った女たちに取り囲まれて手足を絡め取られる美少年の図が浮かぶ。大変倒錯的で、破廉恥な光景だ。

(いやいやいや、閣下は女性だから!)

 おかしな想像をかき消して、トウは咳払いをする。
 ごほん、と明らかにわざとらしい音に顔をあげたラーズは、首をかしげながらトウを見つめた。

「でも、これからはトウが守ってくれる。でしょ?」
「んんっ」

 声をひっくり返らせなかった自分をほめてやりたい、と思いながらトウはぴしりと姿勢を正す。

「はい。持てる力の限りを尽くしてお守りいたします」

 それはトウの本心からの思いだった。
 国のため、細い肩にかかる重圧は一介の騎士が想像できる範疇を超えている。
 積み重なる問題に、手を煩わせる貴族たちに愚痴を吐きながら、それでも責務を放り出さずこなす少女をトウは間違いなく尊敬していた。

 迷いのない答えにラーズは満足げに目を細めて、わずかに口角をあげる。

「じゃあ、今ここでのひと眠りする時間を守って」
「それとこれとはまた、話が違います」

 即座に手のひらを翻すトウに、ラーズは表情を変えないまま口を尖らせる。
 けれどそれで動じる専任騎士ではない。

「さあ、起きてください。書記官たちがあなたを待っています」
「はあい」

 表向きは真面目な顔を取り繕ったトウにうながされ、ラーズはしぶしぶ体を起こした。
 必要な書類をあれこれ箱から取り出すラーズを手伝いながら、トウがふとくちを開く。

「……昼過ぎまでがんばっていただけたら、俺がなんとか時間をもぎとってきます。だから、行きましょう」

 ラーズがきょとんとするのに「行きましょう」ともう一度言って、トウは書類を手に扉へ向かった。

 ※※※

 王城には広い庭がある。
 かつては花を絶やさず貴婦人たちの目を楽しませ、数多の貴族を唸らせるほどに煌びやかであったその庭は、国政の立て直しを優先する少年王のもと自然のしたたかさを思う様、披露していた。
 つまりは、草木が伸び放題なのである。
 とんでもない金額で作られた彫像は蔦に埋もれ、小洒落たガゼボは雨垂れのあとで薄汚れていた。
 
「貴族の方々には大層、評判が悪いのですが……」

 機嫌を伺うようかトウの歯切れの悪いことばをよそに、ラーズはただでさえ大きな目をさらに見開いて、庭を見つめている。
 昼下がりの陽射しを受けたその瞳がきらきらときらめいた。

 一国の宰相の貴重な時間を割いて、荒れ放題の庭に連れ出したトウは、ほっと息をつく。

「宰相閣下は庭でくつろぐお時間も無かったのでは、と思いまして」
「うん、はじめて来た。草だらけでどこに賊や不埒な輩が潜んでいるかわからないから、とソイルに止められていたんだ」

 ラーズは伸びた草のうえで足踏みし、とがらせたくちで王の名を呼ぶ。幼い子どもめいた仕草に顔をほころばせてたトウは、明るい声で答える。

「王には許可をいただきました。私がお守りするので、と」
「そっか」

 膝まである花をぴょんと飛び越え、ラーズは生い茂る草を踏んで進む。

「ソイルはあなたを信用しているんだねえ」

(そう言うあなたこそ、ずいぶんと王を信頼しておいでだ)

 王が許した、と聞いた途端に庭を歩き始めたラーズの背を追いながら、トウはなんとなくおもしろくない。
 それでもせっかく忙しい合間を縫って作った時間だ、と思い直した。
 
「右手に見える木の下がおすすめです」
「ガゼボじゃなく?」
「ええ、見ていただければわかるかと」
「ふぅん」

 向きを変えたラーズは、言われた通りの木を目指して歩く。
 ほどなくしてたどり着いた木の下で、ラーズが目を輝かせるのをトウは見た。

 伸び放題の草に囲まれた木の下は、そこだけ下草が短く整えられており、まるで緑の敷物を敷いてあるようだ。
 太陽の陽射しは木の枝葉でほどよく遮られ、ゆるやかに吹き過ぎる風が心地よい。

「どうしてここだけ草がないんだろう」

 ふしぎそうに木の下に立つラーズの隣に並び、トウは内緒話をするようにささやく。

「騎士にも、息抜きは必要ということです。ここは見回りルートからも外れていますし」

 それだけでラーズは理解したらしい。
 大きな目をひとつ瞬かせ、トウを見上げる。

「そんな場所を私に教えてしまっていいの?」
「私も騎士ですから、ちょっと息抜きに来ただけです。とはいえ私の仕事は閣下の警護ですから、警護対象から離れるわけにもいきませんからね。お付き合いくださいますか?」

 たずねられて、ラーズはこっくりうなずいた。
 
「では、失礼して」

 トウが率先して木の下に腰を下ろす。彼は剣帯から外した剣を左手の側に置いて、あぐらをかいた自身の横にマントを敷いた。

「どうぞ、こちらへ」
「ん」

 言われるまま草に膝をついたラーズは、トウが敷いたマントを片手に彼のひざにごろんと寝転んだ。

「えっ!」
「ん?」

 ひざに寝転がったラーズは、真上にあるトウの顔を見上げながらいそいそとマントを自分の体にかける。
 寝る気だ。
 ラーズは頭の位置を決めかねるらしくもぞもぞと身動きする。
 一方で、ひざを枕にされたトウは驚き固まっていた。

「あ、の……宰相閣下?」
「ラーズ」
「へ」

 間抜けな声をあげたトウをちらりと横目に見上げるラーズは、体勢を整えたらしい。
 動くのをやめてじっと騎士を見つめている。

「宰相とか閣下は仕事中だけでいいから。ラーズ」
「ラーズ、さま?」

 こくん、とうなずいたラーズは、マントを肩まで引き上げてまぶたを閉じた。

「さま、も無くていいよ。私はそもそも爵位も何も持たないのだし」

 話す声がだんだんとあやふやになっていく。
 はやくも眠りに沈もうとしているらしい。

「そ、そこで寝るおつもりか!」
「んん……すこし経ったら、おこし、て……」

 すう、とラーズの声が寝息にとってかわり、彼女の体から力が抜ける。

「遊び疲れた子どもでもあるまいに……」

 すばらしい寝付きの良さにトウは呆れ混じりにつぶやきかけて、ふと気がついた。
 ふたりきりになったときのラーズの口調やしぐさの幼さを。
 朝、どこぞのご令嬢を相手にしたときにはそれらの幼さは見られなかったことを。

(気を許してくれている、のか?)

 そうであればうれしいのに、とラーズを見下ろすトウの顔は甘くほころんでいる。

「おやすみなさい、ラーズさま」

 ちいさく告げたトウは、大切な守るべきひとの寝顔に足が痺れる覚悟を決めたのだった。
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