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第四話 自信はないけど、がんばってます
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「小此木さん、どのぐらいのペースで書き進められますかねー。急に思い立ったわけですし、初めてのことですから、それなりの時間がかかりますよね、きっと」
会社に戻り、スケジュールを組もうとしてから、パソコンのキーを打つ手を止める。そして先に戻っていた河野さんに、声をかけた。
「回顧録は普通の小説と違って、その人の人生というはっきりとした道筋がある。進めていくことに関しては、そこまでハードルは高くないはずだ。本人の文才しだいな面もあるが」
最初の原稿受け取りは、小此木さんと相談して一週間後になった。二回目以降は、書くペースと治療のスケジュールを見つつ、日程を決めていくことになっている。今はまだ0文字状態。ある程度は書きだめてもらわないと、たとえベテランの河野さんが担当になっても、先に進めようがない。
「そうですか? 漠然としすぎて、文才があっても、まとまらない気がしますけど」
「とりあえずは、本人の書きたいように書いてもらえ。話はそこからだ」
「そこからが怪しいから、悩んでるんじゃないですか。回顧録ですよね? 人生六十年以上の人の過去から現在までの回顧って、情報量は膨大ですよね?」
「だが、いわゆる小説のような起承転結は、そこまで必要ないだろ? 人生山あり谷ありではあるが、あくまでも過去から現代まで単純な一本道だ」
河野さんが言っていることもわかる。だが相手は初めて書く人だ。
「書きたいように書いてもらった結果が、こーんな原稿量だったらどうするんですか。ずっと東都銀行一筋だったらしいですから、銀行マン人生分だけでも、すっごい長そうですよ?」
両手で、積み上げられた原稿用紙のイメージを作る。これぐらいだと、標準的な単行本でだいたい五十冊分ぐらいの量だ。それを見て河野さんは「そんな量、書けるか」と笑うが、万が一ということもある。
「ここまで多くないかもしれませんけど、この半分ぐらいならあり得るのでは?」
「万が一そうなったら、いさぎよく超分厚い辞書みたいな単行本を作るか、編集権限でどんどん削るかだな」
いさぎよく辞書なみの単行本。想像しただけでもめまいがする。
「編集権限、そこは片手間でも、助けてくれるんですよね?」
「あくまでも俺はサポートだ。どこをどう削るかは、お前が主体となって決めるんだぞ?」
その顔つきから、それなりに助けてくれるつもりはありそうで安心した。
「それとですね……」
近くに他の人がいないことを確認してから、話を続ける。
「締め切りの設定をどうしようかと。治療も始まるみたいですし」
河野さんも周囲を見渡した。大丈夫、今のところ、私と河野さんの周囲のデスクは無人だ。
「……そのへんの話は聞いたか?」
「あ、はい。奥様からだいたいは。今やっている検査の結果が出たら、投薬治療を始めるそうです」
「それはどのぐらいの期間だ? その間はずっと入院なのか?」
治療予定を書いた手帳を、バッグから取り出す。
「三週間に一度の投薬治療を三ヶ月。その結果から、手術か投薬続行かを決めるそうです。手術をした後は、術後の経過次第ですが、さらに投薬治療を三ヶ月ぐらい。今のところ、自宅に戻らずってことです」
「あの特別室で半年以上か。差額ベッド代だけで、いくらするんだろうな」
「河野さん、気になるのはそこですか?」
真っ先に出た言葉に呆れてしまった。
「気にならないか?」
「そりゃあ……ちょっとは気になりますけど」
人は、この手の好奇心をなかなか抑えられないものだ。その点は申し訳なく思う。
「頭取さんぐらいの人なら、いい保険に入っているでしょうから、あまり困らないんじゃないですかね。で、話が横道にそれましたけど、そんな感じですし、闘病中の患者さんを急かすのも、あまりよくない気がして」
投薬治療では、副作用が出るという話だった。どのような副作用が出るかは薬によって違うそうだが、そんな状況で果たして書き続けられるだろうか。
「だからと言って、だらだらと先延ばしするのも良くない。ある程度は緊張感を持って書かさないと。絶筆になりでもしたら、シャレにならんだろ」
「ちょっと河野さん。いくらリストラ強行されたからって、その言い方はひどくないですか?」
「いや、これは悪意があって言ってるわけではなくだ。病状によってはそうなるだろ。そんなことになったら、家族もだが、本人だって無念で心残りだろうが」
「それはそうですけど……」
看護師さんからは、無理をさせるなとクギをさされている。これはなかなか難しい案件だ。
「次の打ち合わせで、どれだけ書いたか、どんなものを書いているかを見て、判断すれば良いんじゃないか?」
「そうですね。まだ一枚も書いてない状態ですし、小此木さんがどんな文章を書くのかも、わかりませんし」
「ま、案ずるより産むがやすしって言うからな。意外と芥川賞なみの文才があるかもしれんぞ。気楽にいけ」
「河野さん、なにげにひどいことばかり言いますね」
「リストラの恨みは大きいんだよ」
そういった顔は、わりと本気っぽかった。
「しかし半年以上の入院か。そのうちどこかでバレそうだな」
「ですねー」
「だがそれまでは、内密にな」
「はい」
+++++
小此木さんの担当になったからと言って、他の仕事がなくなったわけではない。あいもかわらず、忙しい河野さんの代理で、あちらこちらに原稿を取りに行く毎日だった。それでも初めて任された編集担当。自分なりに回顧録のことをおさらいしておこうと、あいている時間に読むつもりで、今までにうちが出版した自分史的な本を何冊か買ってみた。
「これ、経費で落ちないかな」
漫画や小説と違って、なかなかのお値段だ。だめもとで経理に提出してみよう。
「自分史の本って、けっこう色々なパターンがあるんだなあ……」
買ってきたのは、とある落語家さんの半生記、大手商社社長の駐在員時代の体験記、そして作家さんが小さい頃からの話を書きつづったエッセー風の本。
「やっぱりこの、駐在体験記みたいなものになるのかなー」
パラパラと中身を流し読みしながら見当をつける。これを書いたのも商社の社長さんだ。小此木さんは銀行の頭取だから、恐らくこんな感じになるだろう。……だがしかし。
「この落語家さんの半生記、おもしろい」
それまでこの手の本を読んだことがなかったせいか、これがなかなか新鮮でおもしろい。文章も読みやすいし、仕事のことを忘れて、読みふけってしまいそうだ。
「やっぱり話を聞かせる人って、この手の話を書くのも得意なのかな」
ページを進めていくと、落語家さんの幼少期の写真や、育った家の写真や風景の写真が載っていた。奥さんがアルバムを持ってくると話していたことを思い出す。そのアルバムから、何枚か選ぶのも良いかもしれない。
「……あ、そうだ。肝心なこと、確認するの忘れてた」
気になっていたことを確かめようと、編集部内を見渡す。河野さんは、加茂先生のお宅に校正返しを届けるにいったため不在だ。ということは、編集長に聞くしかない。席を立つと、足早に編集長のデスクに向かった。
「あの、編集長」
「ん? どうしたんだ?」
「一つ、確認しておきたいことがありまして」
「なんだい?」
編集長が顔をあげる。
「今回の回顧録の件なんですが、予算はどの程度みてるんですか?」
「決まってない」
「は?」
そんなことあるわけがない。いくら事情が事情でも、予算に制限がないはずがない。
「全部あちら持ちなんだよ。今回の件は、なにもかもがイレギュラーな案件でね。発行までのあれこれはうちが窓口になるけど、金銭的負担はすべてあちらが持つと言っている」
「つまり、うちは立て替えだけってことですか?」
「そういうことになるね。常識範囲での営業利益の上乗せも、認めてもらっている。たとえば羽織屋君の人件費とかね。ただし、良いものを作ってほしいというのが、第一条件だ」
そこで編集長がニヤッと笑った。それを見てイヤな予感がした。こういう顔をする時の編集長は、本当に油断がならない。
「だからさ、表紙の紙質とかこだわってみたくない? 普段やらないような特殊印刷を使うとか。印刷の現場で話を聞いてきたんだ」
嬉々として、自分が持っている装丁案を話し始める。
「……編集長。あちらはそういう意味で、良いものとおっしゃったわけじゃないと思いますけど」
「そう? でも、最低でもフルカラーにしない?」
「しないと思います。これは同人誌じゃないですよ?」
編集長はしょんぼりとした顔になった。
「そういうのは、ご自分で回顧録を作る時にすれば良いと思います」
「でも高いからなあ……色々と試してみたかったんだがなあ……」
最初は気の乗らない業務命令だったけれど、小此木さんにとっては、私が担当になって良かったかもしれない。
会社に戻り、スケジュールを組もうとしてから、パソコンのキーを打つ手を止める。そして先に戻っていた河野さんに、声をかけた。
「回顧録は普通の小説と違って、その人の人生というはっきりとした道筋がある。進めていくことに関しては、そこまでハードルは高くないはずだ。本人の文才しだいな面もあるが」
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「そこからが怪しいから、悩んでるんじゃないですか。回顧録ですよね? 人生六十年以上の人の過去から現在までの回顧って、情報量は膨大ですよね?」
「だが、いわゆる小説のような起承転結は、そこまで必要ないだろ? 人生山あり谷ありではあるが、あくまでも過去から現代まで単純な一本道だ」
河野さんが言っていることもわかる。だが相手は初めて書く人だ。
「書きたいように書いてもらった結果が、こーんな原稿量だったらどうするんですか。ずっと東都銀行一筋だったらしいですから、銀行マン人生分だけでも、すっごい長そうですよ?」
両手で、積み上げられた原稿用紙のイメージを作る。これぐらいだと、標準的な単行本でだいたい五十冊分ぐらいの量だ。それを見て河野さんは「そんな量、書けるか」と笑うが、万が一ということもある。
「ここまで多くないかもしれませんけど、この半分ぐらいならあり得るのでは?」
「万が一そうなったら、いさぎよく超分厚い辞書みたいな単行本を作るか、編集権限でどんどん削るかだな」
いさぎよく辞書なみの単行本。想像しただけでもめまいがする。
「編集権限、そこは片手間でも、助けてくれるんですよね?」
「あくまでも俺はサポートだ。どこをどう削るかは、お前が主体となって決めるんだぞ?」
その顔つきから、それなりに助けてくれるつもりはありそうで安心した。
「それとですね……」
近くに他の人がいないことを確認してから、話を続ける。
「締め切りの設定をどうしようかと。治療も始まるみたいですし」
河野さんも周囲を見渡した。大丈夫、今のところ、私と河野さんの周囲のデスクは無人だ。
「……そのへんの話は聞いたか?」
「あ、はい。奥様からだいたいは。今やっている検査の結果が出たら、投薬治療を始めるそうです」
「それはどのぐらいの期間だ? その間はずっと入院なのか?」
治療予定を書いた手帳を、バッグから取り出す。
「三週間に一度の投薬治療を三ヶ月。その結果から、手術か投薬続行かを決めるそうです。手術をした後は、術後の経過次第ですが、さらに投薬治療を三ヶ月ぐらい。今のところ、自宅に戻らずってことです」
「あの特別室で半年以上か。差額ベッド代だけで、いくらするんだろうな」
「河野さん、気になるのはそこですか?」
真っ先に出た言葉に呆れてしまった。
「気にならないか?」
「そりゃあ……ちょっとは気になりますけど」
人は、この手の好奇心をなかなか抑えられないものだ。その点は申し訳なく思う。
「頭取さんぐらいの人なら、いい保険に入っているでしょうから、あまり困らないんじゃないですかね。で、話が横道にそれましたけど、そんな感じですし、闘病中の患者さんを急かすのも、あまりよくない気がして」
投薬治療では、副作用が出るという話だった。どのような副作用が出るかは薬によって違うそうだが、そんな状況で果たして書き続けられるだろうか。
「だからと言って、だらだらと先延ばしするのも良くない。ある程度は緊張感を持って書かさないと。絶筆になりでもしたら、シャレにならんだろ」
「ちょっと河野さん。いくらリストラ強行されたからって、その言い方はひどくないですか?」
「いや、これは悪意があって言ってるわけではなくだ。病状によってはそうなるだろ。そんなことになったら、家族もだが、本人だって無念で心残りだろうが」
「それはそうですけど……」
看護師さんからは、無理をさせるなとクギをさされている。これはなかなか難しい案件だ。
「次の打ち合わせで、どれだけ書いたか、どんなものを書いているかを見て、判断すれば良いんじゃないか?」
「そうですね。まだ一枚も書いてない状態ですし、小此木さんがどんな文章を書くのかも、わかりませんし」
「ま、案ずるより産むがやすしって言うからな。意外と芥川賞なみの文才があるかもしれんぞ。気楽にいけ」
「河野さん、なにげにひどいことばかり言いますね」
「リストラの恨みは大きいんだよ」
そういった顔は、わりと本気っぽかった。
「しかし半年以上の入院か。そのうちどこかでバレそうだな」
「ですねー」
「だがそれまでは、内密にな」
「はい」
+++++
小此木さんの担当になったからと言って、他の仕事がなくなったわけではない。あいもかわらず、忙しい河野さんの代理で、あちらこちらに原稿を取りに行く毎日だった。それでも初めて任された編集担当。自分なりに回顧録のことをおさらいしておこうと、あいている時間に読むつもりで、今までにうちが出版した自分史的な本を何冊か買ってみた。
「これ、経費で落ちないかな」
漫画や小説と違って、なかなかのお値段だ。だめもとで経理に提出してみよう。
「自分史の本って、けっこう色々なパターンがあるんだなあ……」
買ってきたのは、とある落語家さんの半生記、大手商社社長の駐在員時代の体験記、そして作家さんが小さい頃からの話を書きつづったエッセー風の本。
「やっぱりこの、駐在体験記みたいなものになるのかなー」
パラパラと中身を流し読みしながら見当をつける。これを書いたのも商社の社長さんだ。小此木さんは銀行の頭取だから、恐らくこんな感じになるだろう。……だがしかし。
「この落語家さんの半生記、おもしろい」
それまでこの手の本を読んだことがなかったせいか、これがなかなか新鮮でおもしろい。文章も読みやすいし、仕事のことを忘れて、読みふけってしまいそうだ。
「やっぱり話を聞かせる人って、この手の話を書くのも得意なのかな」
ページを進めていくと、落語家さんの幼少期の写真や、育った家の写真や風景の写真が載っていた。奥さんがアルバムを持ってくると話していたことを思い出す。そのアルバムから、何枚か選ぶのも良いかもしれない。
「……あ、そうだ。肝心なこと、確認するの忘れてた」
気になっていたことを確かめようと、編集部内を見渡す。河野さんは、加茂先生のお宅に校正返しを届けるにいったため不在だ。ということは、編集長に聞くしかない。席を立つと、足早に編集長のデスクに向かった。
「あの、編集長」
「ん? どうしたんだ?」
「一つ、確認しておきたいことがありまして」
「なんだい?」
編集長が顔をあげる。
「今回の回顧録の件なんですが、予算はどの程度みてるんですか?」
「決まってない」
「は?」
そんなことあるわけがない。いくら事情が事情でも、予算に制限がないはずがない。
「全部あちら持ちなんだよ。今回の件は、なにもかもがイレギュラーな案件でね。発行までのあれこれはうちが窓口になるけど、金銭的負担はすべてあちらが持つと言っている」
「つまり、うちは立て替えだけってことですか?」
「そういうことになるね。常識範囲での営業利益の上乗せも、認めてもらっている。たとえば羽織屋君の人件費とかね。ただし、良いものを作ってほしいというのが、第一条件だ」
そこで編集長がニヤッと笑った。それを見てイヤな予感がした。こういう顔をする時の編集長は、本当に油断がならない。
「だからさ、表紙の紙質とかこだわってみたくない? 普段やらないような特殊印刷を使うとか。印刷の現場で話を聞いてきたんだ」
嬉々として、自分が持っている装丁案を話し始める。
「……編集長。あちらはそういう意味で、良いものとおっしゃったわけじゃないと思いますけど」
「そう? でも、最低でもフルカラーにしない?」
「しないと思います。これは同人誌じゃないですよ?」
編集長はしょんぼりとした顔になった。
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