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本編
第十七話 まったりな日常
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「あのパイロットさん、ここ最近はどうなの?」
休み時間に亜子ちゃんが質問をしてきた。
「ん? どうって?」
「デート、ちゃんとしてる?」
「うん。ご飯食べに行ってるよ」
「え、それってデートっていう?」
「いわないの?」
「うーん、私の知ってるデートとは違うものな気がする……」
学生の私と自衛隊のパイロットの但馬さん。私達の休みが同じ日になる日は、思っていた以上に少なかった。たまに休みが重なっても、但馬さんが遠方に出かけることが難しいので、一緒にご飯を食べに行くぐらいだ。そして私がデートしているらしいと知って、話を聞きたがる友達も、それを知ると今の亜子ちゃんみたいに拍子抜けといった顔をする。
「次に観たい映画が来るのが、お正月なんだもん。それまでは、お食事デートがメインかな」
あまりデートデートと連呼すると但馬さんが恥ずかしがるので、この単語は言わないようにしてるけど。
「普通のデートっぽく、どこかに出かけるとかないの?」
「あっちの都合もあるから、今のところはね。でも但馬さんのおかげで、地元の美味しいお店の知識が、すごく充実したものになったよ。ただ、自分が知っているお店は関係者のお客さんが多いから、油断ができないし困りものだって言ってるけど」
「うっわー……」
そんな私の言葉を聞いて、友達の亜子ちゃんは盛大に不憫がってみせているけど、本心では面白がっていることを私は知っている。そして私も、但馬さんに連れていってもらうお店が、次はどんなところかといつも楽しみにしているのだ。
「最近のほなみの様子を見ていると、いつも一緒にいることだけが大事なんじゃないって、気がしてくるよ」
亜子ちゃんが生温かい微笑みを浮かべる。
「それって、いつもカレシ君がお迎えに来てくれるあの子と、私を比べてるってことでOK?」
「うん。大事なのは本人達が満足しているかどうかなんだなって。ああそう言えば、最近やっと警備員のおじさんに顔を覚えてもらったらしいよ、あの子」
「それは良かった」
そう答えながら、あの警備員さんに、但馬さんが顔を覚えてもらえる日は来るかなと考える。毎日来るあの子ですらこれだけ時間がかかったのだ、めったに来ない但馬さんは、私が卒業する日まで頑張っても無理な気がしてきた。
「私と但馬さんは、会ってもお料理の感想とか、レンタル屋さんで借りて観た映画の感想ぐらいしか話せないんだけどね。それでもすごく楽しいよ。そのお蔭もあって、ここ最近は災害モノB級映画に詳しくなったよ~」
お互いに観たい映画がお正月まで来ないのは分かっていたから、レンタル屋さんで映画を借りることが多くなっていた。しかも一緒に観るんじゃなく、次に会う日までの宿題で、顔を合わせた時にその感想を披露し合うというものだ。最近は、そのパターンがすっかり定着してしまっている。そのせいか私も但馬さんも、B級映画にかなり詳しくなっていた。
「十分にリア充してるねえ。普通のカップルのリア充とは、ちょっと違う気がするけど」
〝ちょっとどころかかなりかな〟と亜子ちゃんは首をかしげる。
「少なくとも、私は不満に思ってないかな。但馬さんは、任務で忙しくてなかなか会う時間が作れなくて申し訳ないって言うけど、それは私も同じでしょ? 私だって但馬さんがお休みでも、平日は講義があって時間が作れないんだもん」
「たしかにね」
実のところ、但馬さんはなかなか会えないことで、私に愛想つかされるんじゃないかって心配しているらしい。だけど、思うように時間が作れないのは私も同じで、但馬さんだけのせいじゃない。だから但馬さんが気に病む必要は、まったくないんだけどなって思う。
「なんかね。自衛隊の人って、そういうパターンで早々に別れちゃう人が多いんだって」
「なかなか会えないってこと?」
「うん」
陸海空にかかわらず、部外者に話せないことが多い自衛隊の人達。その仕事によっては、いきなり音信不通になることも少なくないらしい。そういう時って、お互いの信頼関係が試されるわけだけど、付き合い始めたばかりだと、信頼関係もなにもあったものじゃない。だからうまくいかずに、破綻してしまうことも多いそうだ。
「そういう話はリアルだねえ……」
「付き合う前に、きちんと説明しておいてもうまくいかない場合があるんだって。本当に大変だよね、自衛隊の人って」
そんな話を聞いているから、但馬さんとしては私が不満に思ってないか、色々と心配なのかもしれない。
「それで? ほなみとそのカレシさんは、どうやってそれを乗り切るのかな?」
「私と但馬さん? 私と但馬さんは竜巻モノはそろそろ見飽きたから、次は隕石モノにしようかって相談してるとこ。B級映画ってあなどれないよ? 超大作って騒がれてるのより面白いのが多いから。同じ映画を見てても着目点が全然違うから、お互いの感想を披露するのがすごく楽しみだし」
「まったくたくましいなあ、ほなみは」
亜子ちゃんは、そう言いながら笑った。
「そりゃ、会えないより会えたほうが良いに決まってるよ。そこは認める。だけど、会えないなら会えないなりのやり方ってあるじゃない? 今の時代はメールという文明の利器があるんだもの、不満を言う前に、それを十分に活用しなくちゃ」
だいたい、付き合っているからって、メールが来たら何分以内に返信しないとダメなんていう、謎ルールは馬鹿げてる。航空祭の予行の時は例外だったけど、私と但馬さんのメールなんて、半日とか一日スパンでのやり取りなんだから。
「なんだか、ここはなにがあっても大丈夫な気がしてきた」
「ま、私が但馬さんに愛想をつかされないかぎりは?」
私の言葉に、亜子ちゃんはとんでもないと目をむいた。
「ほなみみたいないい子に、愛想つかす男なんていないでしょ!」
「だと良いんだけど」
「そんなことしたら私、基地まで押し掛けて文句言ってあげるからね!」
亜子ちゃんがそう言うと、本当に押しかけそうで怖いかな。あの基地の平和のためにも、そうならないことを祈っておかなくちゃ。
「あ、それと映画とは別に、最近は戦闘機も見るようにもなったかな。これって、但馬さんが招待してくれた航空祭の影響だよね。けっこう電車の中から見かけることも多いから、そのうち新しいカメラを買おうかなって考えてるの」
「それで最近は、座らずいつも入口のところで立ってるのかー」
「だって座っちゃうと外が見にくいんだもん」
どんなコースをどんなふうに飛ぶかなんて知らないから、いつも内陸側に立って電車の中から空を見上げていた。そしてたまにあの青い機体が飛んでいると〝もしかして但馬さんが飛ばしているのかな?〟と思うのだ。
「意外なものに興味が出たね」
「だって、但馬さんが飛ばしてるかもしれないじゃない? まあ、ほとんどは違う人なんだろうけどさ」
「うっわー。まさかそういうマニアックなネタで、惚気を聞かされるとは思わなかった」
「失礼な。これは惚気じゃありません、事実です」
「いやいや、それって絶対に惚気だから。ごちそうさまです~、このままだとほなみの惚気で私、太っちゃうかも~」
そんな亜子ちゃんの言葉に抗議しようとしたところで、次の授業が始まるのを知らせるチャイムが鳴った。
+++
「そんなにマニアックかなあ……」
「十分にマニアックでしょ」
その日、自宅に帰る途中の電車の中で、いつものように出入口のドア越しに外を見上げながら呟くと、亜子ちゃんが即答してきた。
「そう?」
「だってさ、普通のカレシさんは空を飛んでないから」
「そうかなあ……」
そう言いながら、どんどん暗くなっていく空を見上げる。今のところ、それらしき機影が飛んでいる気配はない。この時間は滅多に飛ばないと言っていたっけ。飛ぶとしたら、たまにある夜間訓練とスクランブルの時だけって話だったはず。ということは、残念だけど見れないことのほうが、私達にとっては平和だってことだ。
「少なくとも、私も周りで飛んでるカレシさん持ちなのは、ほなみだけだよ? ほなみの周りにそういう人いる?」
「たしかに私も自分以外に、そういうカレシさん持ちって聞いたことないかな……もちろん飛んでる旦那さん持ちも」
私の周囲は父親や姉達の影響もあってか、自衛官より消防士や警察官が多い。そしてそのほとんどは、いわゆる消防士さんだったりお巡りさんだったりで、ヘリコプターを飛ばしている人はいなかった。私が知っているのも、但馬さんと但馬さんの僚機さんだけだ。
「そんなカレシさんが飛んでないかって、通学途中の電車から空を見上げるなんて、かなりマニアックだよ」
「そう?」
「うん、かなり。もう小説の中の話だと思う」
「そこまで?」
「うん、そこまで」
私と但馬さんて、亜子ちゃんの中では小説の住人扱いなのかと、微妙な気持ちになる。私達の間では、小説のようなドラマチックなことなんてなにもないんだけどな。
「あ、ほなみ、あれ、戦闘機だよね?」
そろそろ降りる駅が近づいてきたころ、外を見ていた亜子ちゃんが指をさす。その先には、お尻の丸い部分から青白い光を吐きながら飛び立っていく戦闘機の機影があった。ここからだと、その光以外は黒いシルエットでしか見えなくて、それが但馬さんが飛ばしている機体かどうかまでは分からない。
「暗くてイマイチわからないけど、三沢基地からだと米軍機かもしれないよね?」
「だよね。私もそこまでは分からないんだー」
「まあこれだけ暗いと、素人目にはなにが飛んでるかなんて、分かんないよね」
夜間訓練やスクランブルだけではなく、どこかで災害が起きたりすると、それを確認するために戦闘機が飛び立つことがあるって、但馬さんが言っていたことがある。どちらにしろ大したことじゃなければ良いんだけどな……そんなことを考えながら、遠ざかっていく戦闘機の光を見送った。
休み時間に亜子ちゃんが質問をしてきた。
「ん? どうって?」
「デート、ちゃんとしてる?」
「うん。ご飯食べに行ってるよ」
「え、それってデートっていう?」
「いわないの?」
「うーん、私の知ってるデートとは違うものな気がする……」
学生の私と自衛隊のパイロットの但馬さん。私達の休みが同じ日になる日は、思っていた以上に少なかった。たまに休みが重なっても、但馬さんが遠方に出かけることが難しいので、一緒にご飯を食べに行くぐらいだ。そして私がデートしているらしいと知って、話を聞きたがる友達も、それを知ると今の亜子ちゃんみたいに拍子抜けといった顔をする。
「次に観たい映画が来るのが、お正月なんだもん。それまでは、お食事デートがメインかな」
あまりデートデートと連呼すると但馬さんが恥ずかしがるので、この単語は言わないようにしてるけど。
「普通のデートっぽく、どこかに出かけるとかないの?」
「あっちの都合もあるから、今のところはね。でも但馬さんのおかげで、地元の美味しいお店の知識が、すごく充実したものになったよ。ただ、自分が知っているお店は関係者のお客さんが多いから、油断ができないし困りものだって言ってるけど」
「うっわー……」
そんな私の言葉を聞いて、友達の亜子ちゃんは盛大に不憫がってみせているけど、本心では面白がっていることを私は知っている。そして私も、但馬さんに連れていってもらうお店が、次はどんなところかといつも楽しみにしているのだ。
「最近のほなみの様子を見ていると、いつも一緒にいることだけが大事なんじゃないって、気がしてくるよ」
亜子ちゃんが生温かい微笑みを浮かべる。
「それって、いつもカレシ君がお迎えに来てくれるあの子と、私を比べてるってことでOK?」
「うん。大事なのは本人達が満足しているかどうかなんだなって。ああそう言えば、最近やっと警備員のおじさんに顔を覚えてもらったらしいよ、あの子」
「それは良かった」
そう答えながら、あの警備員さんに、但馬さんが顔を覚えてもらえる日は来るかなと考える。毎日来るあの子ですらこれだけ時間がかかったのだ、めったに来ない但馬さんは、私が卒業する日まで頑張っても無理な気がしてきた。
「私と但馬さんは、会ってもお料理の感想とか、レンタル屋さんで借りて観た映画の感想ぐらいしか話せないんだけどね。それでもすごく楽しいよ。そのお蔭もあって、ここ最近は災害モノB級映画に詳しくなったよ~」
お互いに観たい映画がお正月まで来ないのは分かっていたから、レンタル屋さんで映画を借りることが多くなっていた。しかも一緒に観るんじゃなく、次に会う日までの宿題で、顔を合わせた時にその感想を披露し合うというものだ。最近は、そのパターンがすっかり定着してしまっている。そのせいか私も但馬さんも、B級映画にかなり詳しくなっていた。
「十分にリア充してるねえ。普通のカップルのリア充とは、ちょっと違う気がするけど」
〝ちょっとどころかかなりかな〟と亜子ちゃんは首をかしげる。
「少なくとも、私は不満に思ってないかな。但馬さんは、任務で忙しくてなかなか会う時間が作れなくて申し訳ないって言うけど、それは私も同じでしょ? 私だって但馬さんがお休みでも、平日は講義があって時間が作れないんだもん」
「たしかにね」
実のところ、但馬さんはなかなか会えないことで、私に愛想つかされるんじゃないかって心配しているらしい。だけど、思うように時間が作れないのは私も同じで、但馬さんだけのせいじゃない。だから但馬さんが気に病む必要は、まったくないんだけどなって思う。
「なんかね。自衛隊の人って、そういうパターンで早々に別れちゃう人が多いんだって」
「なかなか会えないってこと?」
「うん」
陸海空にかかわらず、部外者に話せないことが多い自衛隊の人達。その仕事によっては、いきなり音信不通になることも少なくないらしい。そういう時って、お互いの信頼関係が試されるわけだけど、付き合い始めたばかりだと、信頼関係もなにもあったものじゃない。だからうまくいかずに、破綻してしまうことも多いそうだ。
「そういう話はリアルだねえ……」
「付き合う前に、きちんと説明しておいてもうまくいかない場合があるんだって。本当に大変だよね、自衛隊の人って」
そんな話を聞いているから、但馬さんとしては私が不満に思ってないか、色々と心配なのかもしれない。
「それで? ほなみとそのカレシさんは、どうやってそれを乗り切るのかな?」
「私と但馬さん? 私と但馬さんは竜巻モノはそろそろ見飽きたから、次は隕石モノにしようかって相談してるとこ。B級映画ってあなどれないよ? 超大作って騒がれてるのより面白いのが多いから。同じ映画を見てても着目点が全然違うから、お互いの感想を披露するのがすごく楽しみだし」
「まったくたくましいなあ、ほなみは」
亜子ちゃんは、そう言いながら笑った。
「そりゃ、会えないより会えたほうが良いに決まってるよ。そこは認める。だけど、会えないなら会えないなりのやり方ってあるじゃない? 今の時代はメールという文明の利器があるんだもの、不満を言う前に、それを十分に活用しなくちゃ」
だいたい、付き合っているからって、メールが来たら何分以内に返信しないとダメなんていう、謎ルールは馬鹿げてる。航空祭の予行の時は例外だったけど、私と但馬さんのメールなんて、半日とか一日スパンでのやり取りなんだから。
「なんだか、ここはなにがあっても大丈夫な気がしてきた」
「ま、私が但馬さんに愛想をつかされないかぎりは?」
私の言葉に、亜子ちゃんはとんでもないと目をむいた。
「ほなみみたいないい子に、愛想つかす男なんていないでしょ!」
「だと良いんだけど」
「そんなことしたら私、基地まで押し掛けて文句言ってあげるからね!」
亜子ちゃんがそう言うと、本当に押しかけそうで怖いかな。あの基地の平和のためにも、そうならないことを祈っておかなくちゃ。
「あ、それと映画とは別に、最近は戦闘機も見るようにもなったかな。これって、但馬さんが招待してくれた航空祭の影響だよね。けっこう電車の中から見かけることも多いから、そのうち新しいカメラを買おうかなって考えてるの」
「それで最近は、座らずいつも入口のところで立ってるのかー」
「だって座っちゃうと外が見にくいんだもん」
どんなコースをどんなふうに飛ぶかなんて知らないから、いつも内陸側に立って電車の中から空を見上げていた。そしてたまにあの青い機体が飛んでいると〝もしかして但馬さんが飛ばしているのかな?〟と思うのだ。
「意外なものに興味が出たね」
「だって、但馬さんが飛ばしてるかもしれないじゃない? まあ、ほとんどは違う人なんだろうけどさ」
「うっわー。まさかそういうマニアックなネタで、惚気を聞かされるとは思わなかった」
「失礼な。これは惚気じゃありません、事実です」
「いやいや、それって絶対に惚気だから。ごちそうさまです~、このままだとほなみの惚気で私、太っちゃうかも~」
そんな亜子ちゃんの言葉に抗議しようとしたところで、次の授業が始まるのを知らせるチャイムが鳴った。
+++
「そんなにマニアックかなあ……」
「十分にマニアックでしょ」
その日、自宅に帰る途中の電車の中で、いつものように出入口のドア越しに外を見上げながら呟くと、亜子ちゃんが即答してきた。
「そう?」
「だってさ、普通のカレシさんは空を飛んでないから」
「そうかなあ……」
そう言いながら、どんどん暗くなっていく空を見上げる。今のところ、それらしき機影が飛んでいる気配はない。この時間は滅多に飛ばないと言っていたっけ。飛ぶとしたら、たまにある夜間訓練とスクランブルの時だけって話だったはず。ということは、残念だけど見れないことのほうが、私達にとっては平和だってことだ。
「少なくとも、私も周りで飛んでるカレシさん持ちなのは、ほなみだけだよ? ほなみの周りにそういう人いる?」
「たしかに私も自分以外に、そういうカレシさん持ちって聞いたことないかな……もちろん飛んでる旦那さん持ちも」
私の周囲は父親や姉達の影響もあってか、自衛官より消防士や警察官が多い。そしてそのほとんどは、いわゆる消防士さんだったりお巡りさんだったりで、ヘリコプターを飛ばしている人はいなかった。私が知っているのも、但馬さんと但馬さんの僚機さんだけだ。
「そんなカレシさんが飛んでないかって、通学途中の電車から空を見上げるなんて、かなりマニアックだよ」
「そう?」
「うん、かなり。もう小説の中の話だと思う」
「そこまで?」
「うん、そこまで」
私と但馬さんて、亜子ちゃんの中では小説の住人扱いなのかと、微妙な気持ちになる。私達の間では、小説のようなドラマチックなことなんてなにもないんだけどな。
「あ、ほなみ、あれ、戦闘機だよね?」
そろそろ降りる駅が近づいてきたころ、外を見ていた亜子ちゃんが指をさす。その先には、お尻の丸い部分から青白い光を吐きながら飛び立っていく戦闘機の機影があった。ここからだと、その光以外は黒いシルエットでしか見えなくて、それが但馬さんが飛ばしている機体かどうかまでは分からない。
「暗くてイマイチわからないけど、三沢基地からだと米軍機かもしれないよね?」
「だよね。私もそこまでは分からないんだー」
「まあこれだけ暗いと、素人目にはなにが飛んでるかなんて、分かんないよね」
夜間訓練やスクランブルだけではなく、どこかで災害が起きたりすると、それを確認するために戦闘機が飛び立つことがあるって、但馬さんが言っていたことがある。どちらにしろ大したことじゃなければ良いんだけどな……そんなことを考えながら、遠ざかっていく戦闘機の光を見送った。
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