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序章:死神先生と死学の時間
さあ、授業を始めようか 3
しおりを挟む1人の青年がメガホン片手にデモが行われている最前線にするりと現れた。
「お前ら、お待ちかねの死学の時間だ。よく聞け、蟻ども。
死学、つまり死生観学習授業。
これに反対する抗議デモが今、正に行われてるよな?」
語尾を荒げて、煽るような言い方の青年にデモに参加していた人々が一瞬、静まり返った。
死学の時間……
そう言われただけで、人々は黙り込んだ。
死生観学習授業は何も学校だけで行われる授業ではない。
国民が成人した後も、時折、死について教え、教わり、意見し、議論し、死について考える時間、それが死学の時間。
一度、死学の時間が始まれば、その者の話が終わるまで黙って聞いてなければならない。
「俺は、神代 薫。死を察知する者だ。
あぁ、別に信じなくていいぜ?俺もそういう淡い期待はとうの昔に捨てた。
だがな、俺は、俺なりに死についてずっと見てきたし、感じてきたし、救えなかった命も沢山ある。
今、死ぬやつ、明日死ぬやつ、いろんな死が俺には分かっちまう。
人が死んだらどうなる?
ただの肉の塊に過ぎねえ。
天国だ地獄だ、魂だ、なんて知らねえ。
あるのは肉の塊だ。
死んだら等しく肉の塊なんだよ。
人は必ず死ぬ。
死ななきゃならねえ。
それが人に生まれた結果だ。
死を怖がるのは人も動物も命あるモノは等しく持ってる感情だ。
動物の命を貰って生きてる俺たちはその罪を背負ってる。
だから死ななきゃならねえ。
死の痛み、恐怖、苦しみ。
うまいモン食って生きてる、いや、生かされてる俺たちは死を受け入れてはじめて、罪という荷を下ろすことを許される。
だからさ、今ここにいるあんたら、全員、死を受け入れろ。
これからもうまいモン食っていい暮らしがしてえならな」
彼は、嬉々として語り、メガホンを投げ捨て、するりと人混みに紛れ、消えていった。
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