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第2章 ランベルトスの陰謀
第17話 古代より続くもの
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酒場の店主に案内されたドアの先――。
そこは、石と土色レンガによって造られた、小さな中庭らしき場所だった。
庭の中央には肉を解体するための大きな台が置かれ、壁際には食材用の洗い場も確認できる。
「ここだ……」
地面に設置された蓋状の扉前に五人を案内し、店主は壁に設置されたレバーを引く。すると、滑車に吊られた鎖が耳障りな音と共に巻き上がり、地下へと続く階段が出現した。
「おッ、スゲェな! この先って何なんだ?」
「こん中ぁ、涼しくってな。浅い所ぁ貯蔵庫として使ってんのさ……」
「じゃあ、深いところは?」
「街ん中の、いたる所ん通じてる……。商人ギルドにも、な。だが、古ぃ洞窟だ。中にゃ、瘴気も溜まってやがるぜ……?」
アリサの質問に、店主が答える。
若干聞き取りづらい口調だが、これが彼の本来の話し方なのかもしれない。
「魔物が出るッてことか……。でも、なんだッて街中にこんなモンが?」
「なんでも、〝地下墓地〟ってヤツの跡らしい。創生紀ん頃にゃ、死んだ連中を大地に埋めてたんだとよ……」
「うげッ……そうなのか。まッ、とにかく地下を抜けりゃいいッてことだな!」
「ふっふー! いよいよミーの正義が爆発する時なのだー!」
「エルス――。すまないが、オレはドミナの所へ向かう。さっきの話で、少々気になることがあってな」
「おッ?――ッていうか、潜入といえばニセルの出番なんだけどなぁ」
「なぁに。戦い方でもそうだが、お前さんは仲間や敵の動きを上手く取り入れている。潜入でも問題ないさ」
「そうか? んー、自分じゃよくわからねェや……」
「ふっ、自信を持て――。そうだ、念のためこれを渡しておこう」
ニセルは不思議な形をした鍵を取り出し、エルスに手渡す。
それを見たクレオールは、思わず驚きの声を上げた。
「それは〝盗賊の鍵〟では……!? やはり、貴方は……」
「まっ、そういうことさ。エルスなら、間違っても悪用はしないだろう?」
「ああッ! ありがたく使わせてもらうぜ!」
エルスは鍵を冒険バッグの中へ仕舞い、小さく右手を挙げる。
ニセルも軽く手を挙げ、彼は店内へと戻っていった――。
「クレオールさん。ここは彼らに任せて、貴女も戻った方がいいですぜ……?」
「いえ……。お邪魔かもしれませんが、私も共に行かせて頂きます!――可能ならば、自分の眼でも確かめておきたいのです」
「えッ、いいのか?」
「はい! それになんだか、冒険者になったみたいでワクワクしますものっ!」
そう言うとクレオールは帽子とマントを脱ぎ、軽く頭を振る。
マントの下からは白いドレスが――帽子の下からは尖った耳と、縦に巻かれた長く美しい金髪が現れた。どうやら彼女は、ハーフエルフ族だったようだ。
「へへッ、そうか! わかった、それじゃ一緒に行こうぜッ!」
「よろしくね、クレオールさんっ!」
エルスはクレオールに、右手を差し出す。
彼女は少し戸惑いながらも、彼の右手を固く握り締めた。
四人が互いに挨拶を交わしていると――店側のドアが開き、給仕姿の女性が現れた。彼女は優しげな笑みを浮かべ、エルスに包みを差し出す。
「はい、どうぞ。さきほどは、召し上がる時間が無かったでしょう?」
「おッ、さっきの朝飯か!? 助かるぜッ!」
「そいつぁ俺の妻さんだ……。いい女だろ?」
「おうッ! ありがとな、マスター! それに姉さんも!」
――エルスは受け取った包みを、マントの下にぶら下げる。
様々な物を収納できる冒険バッグだが、命を宿したものや、それに由来する物品を仕舞うことはできない。革製品などは加工の際に薬品や魔法による処理を行うが、処理を口に入れる食品類に行うことは不可能なのだ。
「マスター。あのような失礼な頼みにも応じて頂き、本当に――」
「――おっと、礼なら成功した後に――。アンタらぁ、お嬢さんのこと、頼んだぜ……?」
「ああッ、任せてくれ!――よし、皆ッ! それじゃ行こうぜッ!」
店主夫妻に別れを告げ、四人は地下へ続く階段を静かに下りてゆく――。
階段の途中には横穴があり、突き当たりには積まれた木箱や樽が見える。それらを横目に奥へ進むと、金属の枠で補強された木製の扉が現れた。
「この先だな……。鍵は掛かってないみてェだし、開けるぜ?」
「ふふー、準備は万端なのだ!」
エルスはゆっくりと、扉を押し開ける。
分厚い扉の先には、さらに下る階段が続いていた。
「暗ェな……。アリサ、頼むぜ!」
「任せてっ。ソルクス――っ!」
アリサの照明魔法が発動し、彼女の掌から光の球が生まれ出る!
光球は四人の間を不規則に飛びまわり、やがて空中で静かに停止した!
「サンキュー! それじゃ、コイツを剣に――あッ、そうだ」
剣に手をかけたエルスだったが、思いついたように右手に短杖を出現させる。
杖を光に近づけると綺麗に吸い込まれ、先端の魔水晶に光を宿した、即席の魔力灯が完成した。
「よしよし、思った通りだッ!」
「おー! それじゃ張り切って行くのだー!」
足元に注意を払いつつ、一行は階段を下りる。
人工的だった階段は次第に崩壊が目立ち始め、岩をむき出した自然の洞窟へと変化してゆく。やがて下り坂も終わり、目の前には広々とした闇の空間が現れた――。
「なんだか空気が変わったねぇ。魔物が出るかも」
「ああッ、これは瘴気だな。ここは、もう〝街の外〟と変わらねェってことか」
「しかし――。こう長く下りてきては、ギルドの方向も判りませんわね……」
「ふっふー、任せるのだ! あの大きな建物なら、こっちなのだ!」
――ミーファは自信満々に言い、一行が進むべき方向を指さす。
「ドワーフの国は洞窟の中に在るのだ! ミーにかかれば余裕なのだー!」
「お、なるほどなッ! よし、そっちに進んでみようぜ!」
「うんっ。ありがとね、ミーファちゃん!」
エルスたちは暗闇を照らしながら、慎重に奥へと進む――。
足元には石の塊のほか、霧の及ばない地下ゆえか、崩れた人工物なども見受けられる。魔物が飛び出してくる様子はないが、延々と纏わりつく不気味な気配は消えないままだ。
「なぁ、クレオールさん。そういえば、〝冒険者ギルド〟なんてのもあるのか?」
「クレオールで結構ですわ。そうですね、冒険者の方が作った従者級ギルドはありますけど、すべての冒険者を束ねるようなギルドを作るのは――おそらく不可能ですわね……」
「そうなのか。まッ、冒険者といえば〝自由〟が一番だもんなッ!」
「ふふっ――。私も、そこが冒険者の魅力だと思っていますわ。だからこそ、皆様に来て頂けたのですから。本当に、ありがとう……!」
クレオールは喜びに満ちた表情を浮かべながら、エルスに優しく微笑み掛ける。
初めて見かけた時とは違い、今の彼女には高圧的な態度は微塵も感じられない。彼女の笑顔を見たエルスは思わず、照れたように頭を掻いた。
「まッ……まぁ! 何にせよ、早く辿り着かねェとな!」
「うん。それにしても広いねぇ――。上の街も大っきかったけど、同じくらいあるのかも?」
アリサがそう言った瞬間――。
足元から少しずつ、鈍い振動が迫りくるのを感じる。
同時に頭上からは、コウモリのものと思わしき金切り声が聞こえはじめた――!
「おッ、ついに来やがったな! みんな、戦闘開始だ――ッ!」
そこは、石と土色レンガによって造られた、小さな中庭らしき場所だった。
庭の中央には肉を解体するための大きな台が置かれ、壁際には食材用の洗い場も確認できる。
「ここだ……」
地面に設置された蓋状の扉前に五人を案内し、店主は壁に設置されたレバーを引く。すると、滑車に吊られた鎖が耳障りな音と共に巻き上がり、地下へと続く階段が出現した。
「おッ、スゲェな! この先って何なんだ?」
「こん中ぁ、涼しくってな。浅い所ぁ貯蔵庫として使ってんのさ……」
「じゃあ、深いところは?」
「街ん中の、いたる所ん通じてる……。商人ギルドにも、な。だが、古ぃ洞窟だ。中にゃ、瘴気も溜まってやがるぜ……?」
アリサの質問に、店主が答える。
若干聞き取りづらい口調だが、これが彼の本来の話し方なのかもしれない。
「魔物が出るッてことか……。でも、なんだッて街中にこんなモンが?」
「なんでも、〝地下墓地〟ってヤツの跡らしい。創生紀ん頃にゃ、死んだ連中を大地に埋めてたんだとよ……」
「うげッ……そうなのか。まッ、とにかく地下を抜けりゃいいッてことだな!」
「ふっふー! いよいよミーの正義が爆発する時なのだー!」
「エルス――。すまないが、オレはドミナの所へ向かう。さっきの話で、少々気になることがあってな」
「おッ?――ッていうか、潜入といえばニセルの出番なんだけどなぁ」
「なぁに。戦い方でもそうだが、お前さんは仲間や敵の動きを上手く取り入れている。潜入でも問題ないさ」
「そうか? んー、自分じゃよくわからねェや……」
「ふっ、自信を持て――。そうだ、念のためこれを渡しておこう」
ニセルは不思議な形をした鍵を取り出し、エルスに手渡す。
それを見たクレオールは、思わず驚きの声を上げた。
「それは〝盗賊の鍵〟では……!? やはり、貴方は……」
「まっ、そういうことさ。エルスなら、間違っても悪用はしないだろう?」
「ああッ! ありがたく使わせてもらうぜ!」
エルスは鍵を冒険バッグの中へ仕舞い、小さく右手を挙げる。
ニセルも軽く手を挙げ、彼は店内へと戻っていった――。
「クレオールさん。ここは彼らに任せて、貴女も戻った方がいいですぜ……?」
「いえ……。お邪魔かもしれませんが、私も共に行かせて頂きます!――可能ならば、自分の眼でも確かめておきたいのです」
「えッ、いいのか?」
「はい! それになんだか、冒険者になったみたいでワクワクしますものっ!」
そう言うとクレオールは帽子とマントを脱ぎ、軽く頭を振る。
マントの下からは白いドレスが――帽子の下からは尖った耳と、縦に巻かれた長く美しい金髪が現れた。どうやら彼女は、ハーフエルフ族だったようだ。
「へへッ、そうか! わかった、それじゃ一緒に行こうぜッ!」
「よろしくね、クレオールさんっ!」
エルスはクレオールに、右手を差し出す。
彼女は少し戸惑いながらも、彼の右手を固く握り締めた。
四人が互いに挨拶を交わしていると――店側のドアが開き、給仕姿の女性が現れた。彼女は優しげな笑みを浮かべ、エルスに包みを差し出す。
「はい、どうぞ。さきほどは、召し上がる時間が無かったでしょう?」
「おッ、さっきの朝飯か!? 助かるぜッ!」
「そいつぁ俺の妻さんだ……。いい女だろ?」
「おうッ! ありがとな、マスター! それに姉さんも!」
――エルスは受け取った包みを、マントの下にぶら下げる。
様々な物を収納できる冒険バッグだが、命を宿したものや、それに由来する物品を仕舞うことはできない。革製品などは加工の際に薬品や魔法による処理を行うが、処理を口に入れる食品類に行うことは不可能なのだ。
「マスター。あのような失礼な頼みにも応じて頂き、本当に――」
「――おっと、礼なら成功した後に――。アンタらぁ、お嬢さんのこと、頼んだぜ……?」
「ああッ、任せてくれ!――よし、皆ッ! それじゃ行こうぜッ!」
店主夫妻に別れを告げ、四人は地下へ続く階段を静かに下りてゆく――。
階段の途中には横穴があり、突き当たりには積まれた木箱や樽が見える。それらを横目に奥へ進むと、金属の枠で補強された木製の扉が現れた。
「この先だな……。鍵は掛かってないみてェだし、開けるぜ?」
「ふふー、準備は万端なのだ!」
エルスはゆっくりと、扉を押し開ける。
分厚い扉の先には、さらに下る階段が続いていた。
「暗ェな……。アリサ、頼むぜ!」
「任せてっ。ソルクス――っ!」
アリサの照明魔法が発動し、彼女の掌から光の球が生まれ出る!
光球は四人の間を不規則に飛びまわり、やがて空中で静かに停止した!
「サンキュー! それじゃ、コイツを剣に――あッ、そうだ」
剣に手をかけたエルスだったが、思いついたように右手に短杖を出現させる。
杖を光に近づけると綺麗に吸い込まれ、先端の魔水晶に光を宿した、即席の魔力灯が完成した。
「よしよし、思った通りだッ!」
「おー! それじゃ張り切って行くのだー!」
足元に注意を払いつつ、一行は階段を下りる。
人工的だった階段は次第に崩壊が目立ち始め、岩をむき出した自然の洞窟へと変化してゆく。やがて下り坂も終わり、目の前には広々とした闇の空間が現れた――。
「なんだか空気が変わったねぇ。魔物が出るかも」
「ああッ、これは瘴気だな。ここは、もう〝街の外〟と変わらねェってことか」
「しかし――。こう長く下りてきては、ギルドの方向も判りませんわね……」
「ふっふー、任せるのだ! あの大きな建物なら、こっちなのだ!」
――ミーファは自信満々に言い、一行が進むべき方向を指さす。
「ドワーフの国は洞窟の中に在るのだ! ミーにかかれば余裕なのだー!」
「お、なるほどなッ! よし、そっちに進んでみようぜ!」
「うんっ。ありがとね、ミーファちゃん!」
エルスたちは暗闇を照らしながら、慎重に奥へと進む――。
足元には石の塊のほか、霧の及ばない地下ゆえか、崩れた人工物なども見受けられる。魔物が飛び出してくる様子はないが、延々と纏わりつく不気味な気配は消えないままだ。
「なぁ、クレオールさん。そういえば、〝冒険者ギルド〟なんてのもあるのか?」
「クレオールで結構ですわ。そうですね、冒険者の方が作った従者級ギルドはありますけど、すべての冒険者を束ねるようなギルドを作るのは――おそらく不可能ですわね……」
「そうなのか。まッ、冒険者といえば〝自由〟が一番だもんなッ!」
「ふふっ――。私も、そこが冒険者の魅力だと思っていますわ。だからこそ、皆様に来て頂けたのですから。本当に、ありがとう……!」
クレオールは喜びに満ちた表情を浮かべながら、エルスに優しく微笑み掛ける。
初めて見かけた時とは違い、今の彼女には高圧的な態度は微塵も感じられない。彼女の笑顔を見たエルスは思わず、照れたように頭を掻いた。
「まッ……まぁ! 何にせよ、早く辿り着かねェとな!」
「うん。それにしても広いねぇ――。上の街も大っきかったけど、同じくらいあるのかも?」
アリサがそう言った瞬間――。
足元から少しずつ、鈍い振動が迫りくるのを感じる。
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