2 / 24
第2話
しおりを挟む
「私も。ルーク、元気だった?」
「ああ、アリソンに会えなくて寂しかったけど、毎日忙しく過ごしていたから、少しは気分も紛れたよ」
私の頬に唇を寄せると、
「しばらく見ないうちに、また一段と綺麗になった」
そっと囁き、ソファに座ることを勧められた。
そこでソファに座る女性を思い出したのか、紹介したい人がいるんだ。と待ちきれないように口を開いた。
「アリソン、こちらは治療師のマリア。
マリア、こちらは私の婚約者のアリソン。
アリソン・グレイ男爵令嬢だよ」
私を紹介する時に、立ち上がったマリアと呼ばれる治療師とルークが見つめ合っているように見えて、さっきからざわざわしていた胸の辺りが一瞬苦しくなったように感じたが、何事もなかったかのように微笑みを浮かべ挨拶を交わした。
「ほら、大丈夫だっただろう」
挨拶が済むと、マリアさんを安心させるかのようにルークは彼女に微笑みかけていた。
え??
女性にあれだけそっけないルークが?
しかも、『ほら、大丈夫だっただろう』?
どういう意味?
「実は、10日前に不意打ちで毒矢の攻撃を受けたんだ。
街のど真ん中で。買い物中だったからアリソンの治療薬も持ち歩いていなくて」
毒矢だと分かると、侍従のゲイリーが慌てて毒が回らないよう応急処置をし、護衛は治療薬を取りに城へ急いだ。
でも、顔色はどんどん土色に変化して、身体中痺れ始めて。
そんな時、街で優秀な治療師として働くマリアさんが治療を名乗り出てくれた。
過去に回復魔法を受けた後、何日も続く酷い不調の記憶が蘇ったが、そんな事を言ってる場合じゃないくらいに命の危険を感じて、治療を頼んだ。
マリアさんが腕に手をかざすと、穏やかな温かなものが身体中に広がっていき、次第に痺れも痛みも消えていった。
それってーー
「毒矢でやられたのをマリアに救われたんだ。
アリソン!回復魔法が効いたんだよ!」
私を抱きしめて大喜びするルーク。
そんなルークの背中を優しくさすった。
「ルーク、良かった・・・・・・」
次期辺境伯として、常に危険と隣り合わせのルークが回復魔法を受けられずに、受けたとしても苦しむ姿を幼い頃からずっと見てきた。
良かった、本当にーー
嬉しくてしばらくそうしていると、侍従のゲイリーの咳払いが聞こえて、私達はやっと距離をとった。
向かいのソファに座るマリアさんの存在を忘れて、抱き合っていた自分の行動を反省していると、マリアさんも居心地悪そうにしていた。
「それで、しばらく前からマリアと行動を共にしているんだ。
回復魔法が効いたのは偶然だったのか、それとも、次も効くのかを確認したい」
すでにマリアさんの勤務先である治療院にも代わりの治療師を派遣して、ご両親にも理由を話し了承を得て、現在は城に滞在しているらしい。
回復魔法の確認のために行動を共にするのは、まぁ、理解できる。
共にとは言っても、侍従のゲイリーに護衛騎士数名も一緒だから二人きりになることはまずないだろう。
でも、この城に暮らす必要ってあるのか。
昔から難攻不落の要塞といわれるほど頑丈で、過去に1人の侵入者もいないと聞くここでルークが負傷するとは思えない。
使用人だって、新人は決して辺境伯夫妻やルークには近づけないから、毒の心配も無いに等しい。
仮に毒を摂取したとしても、我がグレイ男爵家の最高傑作といわれる、あらゆる毒に効く解毒剤なるものがある。
どう考えても、マリアさんがこの城に暮らす理由が分からなかった。
「ああ、アリソンに会えなくて寂しかったけど、毎日忙しく過ごしていたから、少しは気分も紛れたよ」
私の頬に唇を寄せると、
「しばらく見ないうちに、また一段と綺麗になった」
そっと囁き、ソファに座ることを勧められた。
そこでソファに座る女性を思い出したのか、紹介したい人がいるんだ。と待ちきれないように口を開いた。
「アリソン、こちらは治療師のマリア。
マリア、こちらは私の婚約者のアリソン。
アリソン・グレイ男爵令嬢だよ」
私を紹介する時に、立ち上がったマリアと呼ばれる治療師とルークが見つめ合っているように見えて、さっきからざわざわしていた胸の辺りが一瞬苦しくなったように感じたが、何事もなかったかのように微笑みを浮かべ挨拶を交わした。
「ほら、大丈夫だっただろう」
挨拶が済むと、マリアさんを安心させるかのようにルークは彼女に微笑みかけていた。
え??
女性にあれだけそっけないルークが?
しかも、『ほら、大丈夫だっただろう』?
どういう意味?
「実は、10日前に不意打ちで毒矢の攻撃を受けたんだ。
街のど真ん中で。買い物中だったからアリソンの治療薬も持ち歩いていなくて」
毒矢だと分かると、侍従のゲイリーが慌てて毒が回らないよう応急処置をし、護衛は治療薬を取りに城へ急いだ。
でも、顔色はどんどん土色に変化して、身体中痺れ始めて。
そんな時、街で優秀な治療師として働くマリアさんが治療を名乗り出てくれた。
過去に回復魔法を受けた後、何日も続く酷い不調の記憶が蘇ったが、そんな事を言ってる場合じゃないくらいに命の危険を感じて、治療を頼んだ。
マリアさんが腕に手をかざすと、穏やかな温かなものが身体中に広がっていき、次第に痺れも痛みも消えていった。
それってーー
「毒矢でやられたのをマリアに救われたんだ。
アリソン!回復魔法が効いたんだよ!」
私を抱きしめて大喜びするルーク。
そんなルークの背中を優しくさすった。
「ルーク、良かった・・・・・・」
次期辺境伯として、常に危険と隣り合わせのルークが回復魔法を受けられずに、受けたとしても苦しむ姿を幼い頃からずっと見てきた。
良かった、本当にーー
嬉しくてしばらくそうしていると、侍従のゲイリーの咳払いが聞こえて、私達はやっと距離をとった。
向かいのソファに座るマリアさんの存在を忘れて、抱き合っていた自分の行動を反省していると、マリアさんも居心地悪そうにしていた。
「それで、しばらく前からマリアと行動を共にしているんだ。
回復魔法が効いたのは偶然だったのか、それとも、次も効くのかを確認したい」
すでにマリアさんの勤務先である治療院にも代わりの治療師を派遣して、ご両親にも理由を話し了承を得て、現在は城に滞在しているらしい。
回復魔法の確認のために行動を共にするのは、まぁ、理解できる。
共にとは言っても、侍従のゲイリーに護衛騎士数名も一緒だから二人きりになることはまずないだろう。
でも、この城に暮らす必要ってあるのか。
昔から難攻不落の要塞といわれるほど頑丈で、過去に1人の侵入者もいないと聞くここでルークが負傷するとは思えない。
使用人だって、新人は決して辺境伯夫妻やルークには近づけないから、毒の心配も無いに等しい。
仮に毒を摂取したとしても、我がグレイ男爵家の最高傑作といわれる、あらゆる毒に効く解毒剤なるものがある。
どう考えても、マリアさんがこの城に暮らす理由が分からなかった。
241
あなたにおすすめの小説
【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜
よどら文鳥
恋愛
※当作品は全話執筆済み&予約投稿完了しています。
夫婦円満でもない生活が続いていた中、旦那のレントがいきなり離婚しろと告げてきた。
不倫行為が原因だと言ってくるが、私(シャーリー)には覚えもない。
どうやら騎士団長との会話で勘違いをしているようだ。
だが、不倫を理由に多額の金が目当てなようだし、私のことは全く愛してくれていないようなので、離婚はしてもいいと思っていた。
離婚だけして慰謝料はなしという方向に持って行こうかと思ったが、レントは金にうるさく慰謝料を請求しようとしてきている。
当然、慰謝料を払うつもりはない。
あまりにもうるさいので、むしろ、今までの暴言に関して慰謝料請求してしまいますよ?
二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。
今日は私の結婚式
豆狸
恋愛
ベッドの上には、幼いころからの婚約者だったレーナと同じ色の髪をした女性の腐り爛れた死体があった。
彼女が着ているドレスも、二日前僕とレーナの父が結婚を拒むレーナを屋根裏部屋へ放り込んだときに着ていたものと同じである。
【完結】妹が旦那様とキスしていたのを見たのが十日前
地鶏
恋愛
私、アリシア・ブルームは順風満帆な人生を送っていた。
あの日、私の婚約者であるライア様と私の妹が濃厚なキスを交わすあの場面をみるまでは……。
私の気持ちを裏切り、弄んだ二人を、私は許さない。
アリシア・ブルームの復讐が始まる。
婚約者に値踏みされ続けた文官、堪忍袋の緒が切れたのでお別れしました。私は、私を尊重してくれる人を大切にします!
ささい
恋愛
王城で文官として働くリディア・フィアモントは、冷たい婚約者に評価されず疲弊していた。三度目の「婚約解消してもいい」の言葉に、ついに決断する。自由を得た彼女は、日々の書類仕事に誇りを取り戻し、誰かに頼られることの喜びを実感する。王城の仕事を支えつつ、自分らしい生活と自立を歩み始める物語。
ざまあは後悔する系( ^^) _旦~~
小説家になろうにも投稿しております。
【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?
よどら文鳥
恋愛
デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。
予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。
「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」
「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」
シェリルは何も事情を聞かされていなかった。
「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」
どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。
「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」
「はーい」
同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。
シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。
だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。
【完結】旦那様は、妻の私よりも平民の愛人を大事にしたいようです
よどら文鳥
恋愛
貴族のことを全く理解していない旦那様は、愛人を紹介してきました。
どうやら愛人を第二夫人に招き入れたいそうです。
ですが、この国では一夫多妻制があるとはいえ、それは十分に養っていける環境下にある上、貴族同士でしか認められません。
旦那様は貴族とはいえ現状無職ですし、愛人は平民のようです。
現状を整理すると、旦那様と愛人は不倫行為をしているというわけです。
貴族の人間が不倫行為などすれば、この国での処罰は極刑の可能性もあります。
それすら理解せずに堂々と……。
仕方がありません。
旦那様の気持ちはすでに愛人の方に夢中ですし、その願い叶えられるように私も協力致しましょう。
ただし、平和的に叶えられるかは別です。
政略結婚なので、周りのことも考えると離婚は簡単にできません。ならばこれくらいの抵抗は……させていただきますよ?
ですが、周囲からの協力がありまして、離婚に持っていくこともできそうですね。
折角ですので離婚する前に、愛人と旦那様が私たちの作戦に追い詰められているところもじっくりとこの目で見ておこうかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる