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第8話
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公爵家でのメイドの仕事は、どこかで今回の話を聞きつけたスティーブン様に憧れている侍女やメイドに嫌がらせされるんじゃないかと密かにヒヤヒヤしていたけれど、今までと変わりなく、何ひとつ問題もなく働けて安心ている。
スティーブン様は毎日忙しく仕事をされているみたいで公爵家で顔を見ることはほぼない。
もちろん魅了にかかった初日のように突撃して来ることもない。
そのかわり、毎朝かなり早い時間帯に弟達が喜びそうなお菓子や文房具と、薔薇を1本持ってジェレミーさんと家に現れる。
弟達はそれはもう大喜びだ。
狭い居間のテーブルには新しく購入したティーカップが2客置かれ、この家で一番上手なジャックが紅茶を淹れると、それを飲みながらお喋りする。
スティーブン様はたまに私の顔をじっと見ているけれど、それくらいのもので、これで5倍のお給金が貰えるなんて悪い人になった気分になる。
そんな日々が1週間ほど過ぎた頃だろうか。
早朝に我が家を訪れての帰り際、毎日恒例になっているジャンを肩車した後に、スティーブン様が恥ずかしそうに口を開いた。
「その、明日なんだが、ジョイとデートしたいんだ」
デート?!
その響きに一瞬動揺する。でも、すぐに執事のヘンリーさんと交わした契約を思い出した。
「姉ちゃん、行ってきなよ。
明日は俺達、教会で勉強する日だしさ」
「きょーかい、きょーかい」
「ジャンは僕が居るから大丈夫だよ」
「ジョイさん、公爵家から一人弟さん達を見守る者を使わせますのでご安心を」
「そっか、明日は教会の日か。
ジェレミーさんもありがとうございます。
公爵様、わかりました。
ちなみに、どこに行く予定ですか?」
約束した務めをしっかり果たさなくては。
それにしても、みんな協力的だなぁ。
「騎士団の奴らがデートなら話題のカフェがいい。と話しているのを小耳に挟んだんだが。どうだろうか」
「あっ、それは楽しみです」
「姉ちゃん、お土産頼んだよー」
「よー」
「任せておいてくれ。
ジョンはパイ、ジャックはクッキー、ジャンは赤ちゃん用のお菓子だな」
「すごいですねー、スティーブン様。
弟さん達の好みを覚えている上、名前も間違えない。
僕なんて、呼び間違えては指摘されまくってますよ」
「当たり前のことだ。
そういえばお前もジェレミーだから似てるな」
じゃあジェレミーさんは長男ですね。なんてジャックが笑っていた。
翌日はお昼前にスティーブン様とジェレミーさんが迎えに来て、平民でも行けそうなお洒落なレストランでビーフシチューを食べた。
その後は大きな公園へ行き、スティーブン様のエスコートつきで散歩したり、池ではボートに乗った。
途中で日差しが強い。と言って、どこからともなく白いレースのついた上品な日傘を出して、ボートに乗る私に差し出してきた。
ボートは二人乗りだ。
“5倍の給金の務め”と思っても、目の前にいるスティーブン様を見ると、私を見て微笑んでいて落ち着かなくなった。
整った顔立ちに、濃いブルーの瞳。
ブラウンの髪は少しクセではねている。
沈黙が嫌で、弟達の話をした。
スティーブン様が昨日話していたカフェは、若い女性や恋人同士でいっぱいだった。
予約されていたのか、窓際の景色の良い席に3人で座ったが、周りの女性はスティーブン様に見惚れてざわついている。
スティーブン様は慣れているのか気にもしていなかった。
さすがは人気店、おすすめのチーズケーキといちごのタルトは驚くほどに美味しかった。
家に帰って開けたお土産にくれた箱の中には、パイ、クッキー、赤ちゃんでも食べられるケーキに、私の好きないちごのタルトもはいっていた。
いちごのタルトが好きなんて話していないはずなのに。
スティーブン様は毎日忙しく仕事をされているみたいで公爵家で顔を見ることはほぼない。
もちろん魅了にかかった初日のように突撃して来ることもない。
そのかわり、毎朝かなり早い時間帯に弟達が喜びそうなお菓子や文房具と、薔薇を1本持ってジェレミーさんと家に現れる。
弟達はそれはもう大喜びだ。
狭い居間のテーブルには新しく購入したティーカップが2客置かれ、この家で一番上手なジャックが紅茶を淹れると、それを飲みながらお喋りする。
スティーブン様はたまに私の顔をじっと見ているけれど、それくらいのもので、これで5倍のお給金が貰えるなんて悪い人になった気分になる。
そんな日々が1週間ほど過ぎた頃だろうか。
早朝に我が家を訪れての帰り際、毎日恒例になっているジャンを肩車した後に、スティーブン様が恥ずかしそうに口を開いた。
「その、明日なんだが、ジョイとデートしたいんだ」
デート?!
その響きに一瞬動揺する。でも、すぐに執事のヘンリーさんと交わした契約を思い出した。
「姉ちゃん、行ってきなよ。
明日は俺達、教会で勉強する日だしさ」
「きょーかい、きょーかい」
「ジャンは僕が居るから大丈夫だよ」
「ジョイさん、公爵家から一人弟さん達を見守る者を使わせますのでご安心を」
「そっか、明日は教会の日か。
ジェレミーさんもありがとうございます。
公爵様、わかりました。
ちなみに、どこに行く予定ですか?」
約束した務めをしっかり果たさなくては。
それにしても、みんな協力的だなぁ。
「騎士団の奴らがデートなら話題のカフェがいい。と話しているのを小耳に挟んだんだが。どうだろうか」
「あっ、それは楽しみです」
「姉ちゃん、お土産頼んだよー」
「よー」
「任せておいてくれ。
ジョンはパイ、ジャックはクッキー、ジャンは赤ちゃん用のお菓子だな」
「すごいですねー、スティーブン様。
弟さん達の好みを覚えている上、名前も間違えない。
僕なんて、呼び間違えては指摘されまくってますよ」
「当たり前のことだ。
そういえばお前もジェレミーだから似てるな」
じゃあジェレミーさんは長男ですね。なんてジャックが笑っていた。
翌日はお昼前にスティーブン様とジェレミーさんが迎えに来て、平民でも行けそうなお洒落なレストランでビーフシチューを食べた。
その後は大きな公園へ行き、スティーブン様のエスコートつきで散歩したり、池ではボートに乗った。
途中で日差しが強い。と言って、どこからともなく白いレースのついた上品な日傘を出して、ボートに乗る私に差し出してきた。
ボートは二人乗りだ。
“5倍の給金の務め”と思っても、目の前にいるスティーブン様を見ると、私を見て微笑んでいて落ち着かなくなった。
整った顔立ちに、濃いブルーの瞳。
ブラウンの髪は少しクセではねている。
沈黙が嫌で、弟達の話をした。
スティーブン様が昨日話していたカフェは、若い女性や恋人同士でいっぱいだった。
予約されていたのか、窓際の景色の良い席に3人で座ったが、周りの女性はスティーブン様に見惚れてざわついている。
スティーブン様は慣れているのか気にもしていなかった。
さすがは人気店、おすすめのチーズケーキといちごのタルトは驚くほどに美味しかった。
家に帰って開けたお土産にくれた箱の中には、パイ、クッキー、赤ちゃんでも食べられるケーキに、私の好きないちごのタルトもはいっていた。
いちごのタルトが好きなんて話していないはずなのに。
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