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第20話
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ここ最近は公爵夫人としての仕事やお茶会の合間に、ロージーと自分のドレスに刺繍をいれている。
ドレスはどちらも生地が薄く透けているので慎重に針を進めていく。
3ヶ月後に王城で、6歳の第二王子殿下と4歳の王女殿下がお茶会を開かれる。
殿下達に年の近い令息令嬢が招待されるこのお茶会は、お二人の婚約者を決めるものでははないかと噂されている。
ロージーはもうすぐ4歳。
柔らかな金髪に大きなブルーの瞳。
白くふっくらした頬は薔薇色で、誰もが目を奪われてしまう美少女だ。
見た目に関しては・・・・・・。
今は3ヶ月後のお茶会へ向けて恥ずかしくないようにマナーを学んでいるがーー
『わたくし、ノアお兄さまとけんじゅつをやりたいの!!』
ノアのシャツとズボンをどうやって入手したのかは謎だが、そのサイズの合わないブカブカのスタイルで登場しては、侍女やマナー講師を困らせていた。
何度も続くこのやり取りを旦那様に相談した。
『みんなを困らせないで、マナーを学んで、お茶会が終わったら、剣術を学ぶことを許可します』
ロージーは大喜びして、散々困らせた侍女とマナー講師に謝った。
それからは、真面目に取り組んでいるようだ。
「おかあさま、ししゅう?」
「ええ、ロージーのお茶会のドレスよ」
ふ~ん。と興味なさ気に答える。
今はドレスよりも騎士服に興味津々らしく、護衛のカイに纏わりついている。
「それは?」
「お母様のドレスよ」
私は滅多に夜会には出席しないが、以前のブルージェ王国の国王様の一件以来、他国の王族や来賓が参加の夜会のみ出席を促されている。
3週間後に、ブルージェ王国の国王様が結婚後に旅行も兼ねて立ち寄るらしい。
それまでに、このブラウンのドレスに刺繍を完成させたかった。
「キラキラできれいね」
「ありがとう、ロージー」
ロージーに褒められた薄いブラウンに金糸で花をモチーフにした細かい刺繍はブルージェ王国の基本の刺繍でもあり、光の加減によって輝きを変化させる。
このドレスを、刺繍を、見せたい人がいた。
久しぶりに旦那様のエスコートで夜会に出席すると、会場のあちこちから視線を感じ、何やらひそひそ話をする女性も数多く目にはいった。
「ミラ・・・・・・」
「大丈夫ですよ、旦那様」
以前なら胸を痛めたかもしれないが、今は特に何も感じなかった。
「・・・・・・そうか」
心配そうにする旦那様と近頃のロージーの話をしていると王族が入場し、その後ブルージェ王国の国王様と王妃様が紹介された。
私の目はある人物を探すが、その人は見当たらなかった。
「失礼します。
エヴァンス公爵様、少しよろしいでしょうか」
「・・・ああ、わかった。
済まない、ミラ。
すぐに戻るから、後でダンスを踊ろう」
「はい」
国王様の側近である旦那様は忙しい。
すぐに戻るとは言ったけれど、そうとは思えずお母様を探すことにした。
お母様の周りには人が集まるから・・・・・・
辺りを見渡しながら、女性が集まっている所を探す。
すると、
人混みの向こうに黒髪に緑の瞳の、探していた人を見つけた。
[ローリー!]
思わず大きな声でそう呼びそうになったのを、
咄嗟に飲み込んだ。
人混みで見えていなかったローリーの右側には、ブロンドヘアの美しい女性が居た。
女性をエスコートして、楽しそうにお喋りして、時折女性に笑顔を見せている。
挨拶に行こう。
久しぶりの従兄に。
そう思っているのに、何故か足が地面に縫い付けられてしまったように動けなかった。
ドレスはどちらも生地が薄く透けているので慎重に針を進めていく。
3ヶ月後に王城で、6歳の第二王子殿下と4歳の王女殿下がお茶会を開かれる。
殿下達に年の近い令息令嬢が招待されるこのお茶会は、お二人の婚約者を決めるものでははないかと噂されている。
ロージーはもうすぐ4歳。
柔らかな金髪に大きなブルーの瞳。
白くふっくらした頬は薔薇色で、誰もが目を奪われてしまう美少女だ。
見た目に関しては・・・・・・。
今は3ヶ月後のお茶会へ向けて恥ずかしくないようにマナーを学んでいるがーー
『わたくし、ノアお兄さまとけんじゅつをやりたいの!!』
ノアのシャツとズボンをどうやって入手したのかは謎だが、そのサイズの合わないブカブカのスタイルで登場しては、侍女やマナー講師を困らせていた。
何度も続くこのやり取りを旦那様に相談した。
『みんなを困らせないで、マナーを学んで、お茶会が終わったら、剣術を学ぶことを許可します』
ロージーは大喜びして、散々困らせた侍女とマナー講師に謝った。
それからは、真面目に取り組んでいるようだ。
「おかあさま、ししゅう?」
「ええ、ロージーのお茶会のドレスよ」
ふ~ん。と興味なさ気に答える。
今はドレスよりも騎士服に興味津々らしく、護衛のカイに纏わりついている。
「それは?」
「お母様のドレスよ」
私は滅多に夜会には出席しないが、以前のブルージェ王国の国王様の一件以来、他国の王族や来賓が参加の夜会のみ出席を促されている。
3週間後に、ブルージェ王国の国王様が結婚後に旅行も兼ねて立ち寄るらしい。
それまでに、このブラウンのドレスに刺繍を完成させたかった。
「キラキラできれいね」
「ありがとう、ロージー」
ロージーに褒められた薄いブラウンに金糸で花をモチーフにした細かい刺繍はブルージェ王国の基本の刺繍でもあり、光の加減によって輝きを変化させる。
このドレスを、刺繍を、見せたい人がいた。
久しぶりに旦那様のエスコートで夜会に出席すると、会場のあちこちから視線を感じ、何やらひそひそ話をする女性も数多く目にはいった。
「ミラ・・・・・・」
「大丈夫ですよ、旦那様」
以前なら胸を痛めたかもしれないが、今は特に何も感じなかった。
「・・・・・・そうか」
心配そうにする旦那様と近頃のロージーの話をしていると王族が入場し、その後ブルージェ王国の国王様と王妃様が紹介された。
私の目はある人物を探すが、その人は見当たらなかった。
「失礼します。
エヴァンス公爵様、少しよろしいでしょうか」
「・・・ああ、わかった。
済まない、ミラ。
すぐに戻るから、後でダンスを踊ろう」
「はい」
国王様の側近である旦那様は忙しい。
すぐに戻るとは言ったけれど、そうとは思えずお母様を探すことにした。
お母様の周りには人が集まるから・・・・・・
辺りを見渡しながら、女性が集まっている所を探す。
すると、
人混みの向こうに黒髪に緑の瞳の、探していた人を見つけた。
[ローリー!]
思わず大きな声でそう呼びそうになったのを、
咄嗟に飲み込んだ。
人混みで見えていなかったローリーの右側には、ブロンドヘアの美しい女性が居た。
女性をエスコートして、楽しそうにお喋りして、時折女性に笑顔を見せている。
挨拶に行こう。
久しぶりの従兄に。
そう思っているのに、何故か足が地面に縫い付けられてしまったように動けなかった。
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