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しおりを挟む黒瀬の運転で到着したのは食欲をそそる焼肉の匂いが立ち込めた老舗の地元の人気店。自動ドアが開くと若い店員が笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「二人」
店員の問いかけに黒瀬が短く答える。
「お煙草は吸われますか?」
「吸う」
「禁煙で」
ポケットに手を入れてタバコとライターの在り処を確認しながら黒瀬が店員の問いかけに答える。しかしそれに被せるように蓮が黒瀬の言葉を遮った。同時に返ってきた真逆の二つの答えに店員は困惑した表情を浮かべている。
「えー、吸わせてや!お願い!」
「ダメ」
黒瀬が大袈裟に両手を合わせて天に突き上げて、蓮に頼み込むが、蓮の意思は固く黒瀬を一刀両断する。結局、早々に黒瀬が折れて二人は禁煙席に着席した。
「食べ放題のご注文でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
「食べ放題のコースはカジュアル、スタンダード、プレミアムとございます。いかがされますか?」
「プレミアムコースでお願いします」
「迷いないなぁ」
迷い無く一番高いコースを選ぶ蓮に黒瀬は嬉しそうに笑った。
「ご注文はこちらのダブレットからお願いします」
「はいはい」
タブレットを店員から受け取った黒瀬は流れるように蓮にタブレットを手渡した。蓮は慣れたな手つきで画面を操作する。
「お酒は?」
「車で来たやろ」
「じゃあジンジャエールね。ご飯はどうしますか?」
「そんないらん」
「じゃあ中にしておきます」
ほどなくして、グラスいっぱいのカルピスとジンジャエールが運ばれてきた。二人はグラスを軽くぶつけて乾杯をする。
それから、怒涛のように料理が運ばれてきた。上牛タンが10人前、上ハラミが10人前、そして黒毛和牛ロースのタレが10人前。あっという間にテーブルの上が埋め尽くされる。
「よお食うな」
「男子高校生だもん」
そう言いながら黒瀬は楽しそうに肉を豪快に焼いていく。網の上でジューッと音を立てて広がる肉の脂が食欲をそそる。
蓮もトングで肉をひっくり返しながら、ふいに真剣な眼差しで黒瀬を見つめた。
「ねえ黒瀬さん」
「ん?」
「なんで僕を抱いてくれないの?」
蓮の真っ直ぐな言葉に黒瀬は思わず吹き出しそうになった。慌てて肉を口に押し込んで表情を隠す。
「急にぶっこんでくるやん」
「急じゃないよ。さっきも言った」
「……俺なりに大事にしてんねん。ほら肉焼けたで」
それは本心からの言葉であったが、黒瀬は誤魔化すように、焼けた肉を蓮の皿に乗せて話を切り替えた。
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